毎日一冊! Kennie の読書日記

面白い本をガンガン紹介していきます!!

インデックス 警部補 姫川玲子

ブルーマーダー」 に続く

姫川玲子シリーズ7作目です。

 

今回は短編集です。

じっくりと書かれる長編も良いのですが

誉田さんの作品は短編もいいですね。

ちょっと不気味さとかやるせなさを感じる話も

短くサクッと落としてくれるので気持ちがいい。

 

解散した「姫川班」が徐々に再結成される様子も

描かれていて、先が楽しみなる展開でした。

 

 

【タイトル】

インデックス 警部補 姫川玲子

 

【作者】

誉田哲也

 

【あらすじ・概要】

ブルーマーダー事件の後、 

姫川玲子が池袋署から捜査一課に戻るまでの

いくつかの事件や挿話を8つの短編にしている。

 

アンダーカヴァー

硝子食器の卸問屋社長が自殺した。

商品を横流しする取込詐欺にあっていたことが分かり

玲子は古物商やディスカウント店のバイヤーに

調査の網を広げる。

 

逮捕された主犯格の男は

「欲望に理由は要らない、子供のゲームと同じ。

人生をかけて金を稼ぐゲームをしているだけ」という。

 

女の敵

玲子の捜査一課配属直後、

ストロベリーナイト事件で殉職した大塚刑事と

出会った時の出会いの話。

 

マンションの一室で男が合成麻薬により死んでいた。

大塚は男の死亡推定時刻前後に近くのコンビニで

車にぶつけられた女性に目を付け聞き込みを行うが

彼女は玲子を見ておびえた様子を見せた。 

 

彼女がいたカフェ

大学生時代の玲子が書店併設のカフェで

勉強していた頃の話。

カフェ店員の視点から玲子の初々しい姿を描く。

 

インデックス

ブルーマーダー事件の後日談。

 

玲子たちは余罪確認のため、

同時期に行方不明になった人を調査していた。

行方不明になった暴力団組長の関係者に話を聞き

その人物像から、玲子にはブルーマーダーの犯人が

ターゲットとしたとは思えなかった。

 

お裾分け

地主の資産かが自宅で刺殺された。

被害者は自宅に多額の現金を置いていることを

スナックで吹聴していたため、

そこで話を聞いた客やその関係者が疑われていた。

 

玲子は被害者から土地を借りていた借地人や

地域の不動産業者に話を聞き、

被害者はかなり強欲な地主で悪評が立っていたことを知る。

 

落としの玲子

玲子の捜査一課への復帰が決まり

人事について玲子と上司の今泉が居酒屋で話している。

その席で今泉は、前話の事件の取り調べで

玲子の厳し過ぎる追い込みに苦言を呈したが

玲子から手痛い反撃を受けてしまう。

 

夢の中

日中の繁華街で刃物を持った男による

殺傷事件が発生した。

犯人は確保されたが自殺を試み意識不明となった。

 

目撃証言から、犯人のターゲットは

重傷を負った女性だったことが分かる。

玲子たちは彼女の周辺を調べ、

彼女には就学歴のない私生児がいたことが分かった。

 

闇の色

前話の続き。 

玲子たちは被害者女性とその私生児が

十数年前まで住んでいた家を訪れ重大な発見をする。

その後、意識を取り戻した犯人に

玲子は意外な言葉を投げかけた。

 

 

【感想・考察】

 アンダーカヴァーの犯人が怖い。

 

誉田哲也さんは様々な犯罪者の類型を描いている。

ストロベリーナイトの犯人の様な倒錯した人間や

守りたい人のため罪を犯してしまう人間や

自己防衛と私欲にまみれた官僚や

正義感から殺人を重ねる人間など。

 

ただ、アンダーカヴァーの犯人 吉田勝也は

怒りや不足や愛情や正義があるわけではなく

「欲望に理由は要らない」として

ゲームのスコアを競う子供のように

金を稼ぐこと自体を楽しんで、違法であっても気にしない。

 

この男が犯したのは直接的には盗品売買という

経済犯罪でだけで、

他の話にある連続殺人のような凄惨さはないが

それでも不気味に感じてしまう。

 

「目的や理由の見えない行為」が

人を不安にさせるのかもしれない。

犯罪報道で必死に理由を探すのも理解できる。

 

よくよく考えれば自分の行動も

それほど合理的ではないし、

常に理由付けできるわけではない。

自分自身も理性で制御できなくなることの恐れが

不気味さの原因なのだろうか。

 

グロくて凄惨な犯罪とは

ちょっと切り口の違う怖さを見せられた。

 

 

 

 

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