毎日一冊! Kennie の読書日記

面白い本をガンガン紹介していきます!!

神話ゲーム 歴史バトラーつばさ

歴史バトラーつばさ 私立ヒミコ女学園「和風文化研究会」

の続編です。

 

前作から続く本筋の伏線を豪快に無視したまま

さらに風呂敷を広げています。

そこは無視して「歴史ミステリ」を

楽しむのが正解のようです。

 

【タイトル】

 神話ゲーム 歴史バトラーつばさ

 

【作者】

鯨藤一郎

 

【あらすじ・概要】

前作から継続する和風文化研究会とSOJの争い 

 

笑いとは何か

ヒミコ女学園に来た交換留学生ジェイムズを巡り

和風研とSOJが争う。

 

今回の文化討論会のお題は

「江戸時代に創られた落語がどうして現代でも笑えるのか」

 

SOJは「笑えるものだけが残ったから」

 というシンプルな解を提示する。

 

これに対しつばさは

「笑いの本質はそれほど変わらない」という。

「相手が強力な敵ではないことが分かり、

安心ですること」が笑いを引き起こすと

笑いの本質を分析する。

ボケが面白いのも、

落語家が自分の位置を落として語るのも

すべて相手を安心させるからだと解釈する。

 

仮面の告白

神社で祭りを楽しんでいた和風研に

いきなり文化討論会が仕掛けられた。

 

お題は「能狂言ではなぜ面を用いるのか」

 

SOJは「男が女性を演じるため」だとする。

昔は能楽師は男性だけだったため、

女性を演じるのに面が必要だったという見方だ。

 

これに対しつばさは

「同じように男が女性を演じる歌舞伎は

面を使っていない」と反論する。

 

能の原型である「散学」と同じ時期に

インドから「猿回し」が伝わっていたこと、

能や狂言の起源となった「猿楽」の呼称などを傍証に

「当初は猿に芝居させるため面をつけていた」と

解釈した。

 

1/2の神話

 大磯海水浴場に臨海学校で訪れていたところ

急遽文化討論会が開催される。

 

お題は「日本神話と西洋神話の類似は伝播か偶然か」

「イザナキ・イザナミとオルペウス神話」や

「ヤマタノオロチとヨハネ黙示録の七頭竜」

等に見られる類似性は何故起こったのかという疑問だ。

 

SOJは偶然説を取る。

どれも「よくある話」だし、細部が異なっていることから

たまたまの類似だとする。

 

これに対しつばさは

「伝言ゲームで細部が変わっていくのは当然」と反論し

「玉手箱とパンドラの箱」など

日本に伝わっている話には海=外から伝わっている

イメージが伴っていることなどから

伝播説を主張した。

 

 

【感想・考察】

学校の乗っ取りや、諜報組織や

5人のパワーが集まるととんでもないことが起きるとか

今回も伏線は華麗にスルーされている。

 

一方で文化討論のテーマは

単なる歴史の話を超えて

「笑いの本質」、「ペルソナ」、

「神話の類似性にみる構造」など

かなり突っ込んだ内容になっている。

 

特に神話の類似性は興味深い。

「伝播した部分もあるし偶然もある」のだろうが、

「偶然の類似」が起きた背景に

構造的な普遍性があるとすれば、それは何なのか。

もっと考察を深めていくことができるだろう。

 

 

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