毎日一冊! Kennie の読書日記

面白い本をガンガン紹介していきます!!

2020-01-01から1年間の記事一覧

『運命の湯/運命の人はどこですか?』 瀬尾まいこ

「運命の人探し」という恋愛アンソロジー企画の一篇らしい。親に付けられた「ジュリエット」という名前。疎ましく思いながらも「ロミオ」を探しちゃう女子のお話です。 「運命の人は思っているよりそばにいる」 というのは、王道の展開だけど中々斬新で衝撃…

『ゴーストコール: 電話線のない黒電話』 初瀬明生

数世代にまたがるミステリ、家族の絆の崩壊と再生、少年少女の淡い恋物語、幽霊が登場する軽いホラーなどなど、たくさんの要素が詰め込まれたお話。その分かなりのボリュームがある作品になっています。子供の視点から見た「大人たちになりきれていない大人…

『ジョゼと虎と魚たち』 田辺聖子

9つの恋愛短編集です。女性視点の恋愛ストーリーで、正直感情移入がしにくい。でもその分「こういう世界の見え方もあるのか!」という驚きがありました。 「好きな傾向の本」ばかり読んでいると、視界が狭まってしまうのだなと感じます。たまには無理をして…

『准教授・高槻彰良の推察 民俗学かく語りき』 澤村 御影

人の嘘が分かってしまう深町尚哉が、大学教授 高槻彰良の助手となって「怪奇現象」を調査するお話です。「オカルト+ミステリ」には、「オカルトを全肯定して、その中でのルールで謎解きをするもの」と「オカルトに見える現象を、リアルな視点で解き明かすも…

『「言葉にできる」は武器になる。』 梅田悟司

「伝える技術」を磨くより「伝えるべき内容」をちゃんと育てるのが先決でしょう、という当たり前の内容。当たり前だけど見過ごしがちな内容でした。「思考を深める」系の本では良くあるように、本書でも「紙に書きだす」ことを勧めています。こういう本を読…

『875』 ヤマダマコト

「トイレの花子さん」や「人面犬」などの「都市伝説」をモチーフにした3つの短編集です。 『875』で「怪異」を受け入れた少女は、異世界に引き込まれてしまったけれど、おそらく彼女は幸せだった。 『犬畜生な私』で、「怪異」と戦った主人公はどんどん深…

『作家刑事毒島』 中山七里

いままで読んだ中山七里さんの作品で一番好きかも。作家志望者に親でも殺されたのか、というくらい容赦ない毒舌。出版業界の異常な労働環境や、そこに働く人々の捻くれっぷり。これはさすがに「話を盛ってるな」と思いきや、奥付で この物語は完全なるフィク…

『天才を殺す凡人 職場の人間関係に悩む、すべての人へ』 北野唯我

「天才の創造性」が生み出したアイデアを、「秀才の再現性」がビジネスとしてカタチにし、「凡人の共感力」が拡げていく、「才能」をキーとしたバリューチェーン論です。天才・秀才・凡人 それぞれの才能を分析して、衝突を避け、お互いの強みを活かす組織作…

『見えない誰かと』 瀬尾まいこ

瀬尾まいこさんのエッセイです。「そして、バトンは渡された」が大好きだったのでエッセイも読んでみました。 先生として働いていた時期の話が多いですね。周囲に素敵な人がたくさん集まってくるように見えるのは、瀬尾さん自身の視点が、人の「良い所」を拾…

『人生で起こること すべて良きこと: 逆境を越える「こころの技法」』 田坂広志

「人生で起こること、すべて良きこと」という心構えが人生を拓く、という内容です。本当に厳しい状況に陥ったとき「良きこと」と思うのは難しいかもしれません。それでも「そこには深い意味がある」と考え正対していくことが、乗り越える助けになるのかもし…

『虚構推理 スリーピング・マーダー』 城平京

「虚構推理」シリーズ第3弾!「たった一つの真実」を探すのではなく、より好都合な「虚構」を見つけ出すスタイルのミステリです。さらに今作は、ラストにもう一捻り入る展開でした。ひっくり返される「真実」と「虚構」の関係が面白いですね。「真実」に従う…

『もういちど生まれる』 朝井リョウ

20歳の青春群像劇です。前5話の連作短編形式で、それぞれに視点を変えて立体的に物語が紡がれていきます。最初の2話くらいは、大学生の恋愛ものっぽい感じで、正直読みにくかったのですが、3話目くらいからそれぞれの繋がりが見えてくると、俄然面白くなりま…

『虚構推理短編集 岩永琴子の出現』城平京

虚構推理シリーズ第2弾!今回は短編集です。「あやかしたちの報告」で最初から真相が分かっているので、ある種の「倒叙ミステリ」といえるのですが、一般的な倒叙形式が持つ「犯人視点での追いつめられる緊迫感」がある訳ではありません。「真相」よりも都合…

『名探偵の事件簿』 如月恭介

「名探偵」の話ですが、いわゆる「ミステリ上の名探偵」とは違います。扱うのは実際の探偵業にもありそうな割と地味な案件。交際相手の素行調査だとか、失踪人探しだとか。捜査スタイルも地味。「切れ味鋭い推理で謎を解く」のでもなく、足を使い人脈を駆使…

『世界一やさしい「やりたいこと」の見つけ方 人生のモヤモヤから解放される自己理解メソッド』八木 仁平

「やりたいこと」との「運命的な出会い」を待っているのは人生の無駄遣い。 論理的に自己分析して、できるだけ早く「やりたいこと」を見つけるべきだという内容です。「大事なこと=Why」「得意なこと=How」「好きなこと=What」の重なる部分から、「やりた…

『虚構推理』 城平京

「虚構」と「虚構」が争う、新しい切り口のミステリです。人は「真実」より「自分が信じたい物語」を信じるものです。「たった一つの真実」を探すミステリではなく、より深く人の心をつかむ「虚構」を求めていく、斬新なストーリー展開でした。続編を読んで…

『どこかでベートーヴェン』 中山七里

岬洋介シリーズ第4弾!岬の高校時代を描く「エピソード・ゼロ」的な位置づけです。前作『いつまでもショパン』は、音楽描写が圧巻で「音楽自体の力」に焦点を当てた作品でしたが、今回はミステリ側に振り戻したうえで「才能」の問題に踏み込んでいます。「特…

『知性を磨く~「スーパージェネラリスト」の時代~』 田坂 広志

・専門化による「知と知」の分断、・分業化による「知と行」の分断、・客観的であろうとする「知と情」の分断、が、統合された「知性」の醸成を妨げている、という内容です。「思想」「ビジョン」「志」「戦略」「戦術」「技術」「人間力」各レベルでの思考…

『心の闇に灯りを点せ~不思議な少女の物語~』 まつながみつる

全3篇の短編集です。表題作の『心の闇に灯りを点せ』は霊感の強い少女の話。スピリチュアルな要素強めですが、日本人の宗教観が透けて見えたりして面白いです。『家庭教師』での心理描写もすばらしく、良い感じの恋愛ストーリーになってました。 リンク先に…

『いつまでもショパン』 中山七里

岬洋介シリーズ第3弾です。音楽と暴力の戦い、平和への祈りに満ちた物語でした。「音楽の力で戦いを止める」とか非現実的で普通に読んでいたら白けてしまいそうだけれど、そこに至るまでの畳みかけるような音楽描写が圧倒的で飲み込まれてしまいました。実際…

『あなたを変える52の心理ルール』 メンタリスト DaiGo

DaiGoさんによる実践的な心理学の本です。個別の内容にそれほど目新しいものはないのですが、その知識を「どうやって実際のアウトプットにつなげていくか」という部分に重点を置いています。とても実践的な内容です。「本を読んでもその内容を実践する人は3…

『僕は僕の書いた小説を知らない』 喜友名トト

前向性健忘となり、2年前の事故以降の記憶が保てなくなった小説家アキラのお話です。 アキラは、パソコンに「引継ぎ」記録を残し、妹や友人の力を借りて生活する。 周囲の人たちが前に進む中、自分だけが「何も積上げられない」ことを怖れ、少しずつ小説を書…

『時間は存在しない』 カルロ・ロヴェッリ

「ループ量子重力論」を唱える物理学者 カルロ・ロヴェッリによる「時間論」です。数式などはほとんど出てこないのですが、難易度は高く、正直すべては理解できてはいません。それでも、「過去から未来へという時間の方向性」「原因から結果という因果律」が…

『月の娘にスープを送る』 高山環

絆を取り戻していく家族の物語です。夫婦がそれぞれ関わったスマートスピーカーを何者かが乗っとる。未来から来た「ダイオウグソクムシのドッグ」は「娘が犯行に関わっている」という。夫婦と娘を翻弄する犯人と闘う中で、家族は再び繋がっていく。というお…

『雨の降る日は学校に行かない』 相沢沙呼

女子中学生たちの「学校での生き辛さ」との闘いを描く短編集です。相沢沙呼さんといえば、『medium 霊媒探偵城塚翡翠』とか『ロートケプシェン、こっちにおいで』とか、ミステリ名手のイメージが強いですが、本作ではミステリ要素はほとんどありません…

『横浜1963』 伊東潤

1963年の横浜で起きた連続殺人事件を追うミステリです。ハーフで白人系の顔を持つ日本人警察官と、日系三世で日本人の顔を持つ米国人軍人のダブル主人公。逆ベクトルから「異文化」「異人種」の問題を考えさせられました。個人的には1960年代の横浜の風景描…

『護られなかった者たちへ』 中山七里

手足を拘束され「餓死」させられた連続殺人事件から始まり、社会保障制度の矛盾へとつながる「社会派ミステリ」です。現行社会保障制度の不合理への怒りをにじませながら「それでもその条件で生き残っていくためにはどうすればいいのか」を訴えようとしてい…

『涼宮ハルヒの驚愕(後)』 谷川流

SF

涼宮ハルヒシリーズ第11弾!『涼宮ハルヒの分裂』から始まる三部作の完結編です。2つに分裂した世界がそれぞれ描かれ、本作の最終章で二つの世界が重なり合います。加速していく展開に引き込まれました。『涼宮ハルヒの消滅』 が、ロボットだった長門有希が…

『涼宮ハルヒの驚愕(前)』

SF

涼宮ハルヒシリーズ第10弾! 前作『涼宮ハルヒの分裂』から続く三部作の真ん中です。前作で二つに分かれた世界線をそれぞれに描き、次作の結末に向けて物語が加速されていきます。前作からの新規登場キャラたちが魅力的で、引き込まれる話でした。三部作完結…

『僕たちはもう働かなくていい』 堀江貴文

AI・ロボットが進化し、望まない仕事を代行してくれれば、人間は本当に「やりたいこと」を追求して生きていくことができる内容です。堀江氏らしい テクノロジーに対する楽観的でポジティブな見方には全面賛同です。技術に対する恐れより、どう活用するかを考…

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