かいじゅうタイムズ
小説家 乙一さんが新聞に寄稿したエッセイ集。中田永一さんが同一人物だと知り少し驚きました。乙一としてはホラー色の強い作品が多いですが、中田永一としては暖かい作風で、幅の広さを感じました。
【作者】
乙一
【あらすじ・概要】
乙一氏が西日本新聞に寄稿した50編のエッセイを集めたもの。
高専時代のボッチ話や、食べ物の話など日常の話題が多いが、ずば抜けた部分も垣間見られる。一人がいいから小説を書いていたら17歳で入賞しデビューしたとか、奥さんが押井守の娘だったとか、やはり普通ではない話もある。
【感想・考察】
エッセイでは友達がいないコミュ障という設定だが、フリーで仕事をするのは相当のコミュニケーション能力があるのだろう。
また感性の鋭さを感じさせる描写もある。
映画「グーニーズ」の話で、病弱な少年が偉大な海賊「片目のウィリー」の骸骨と対峙し、ウィリーの眼帯を外し「君は僕と同じだ」といったシーンに言及している。少年はウィリーが後天的な怪我で片目になったのではなく、先天的に隻眼だったこと確認していた。
その少年にとっては海賊の財宝より「身体的なハンディを克服し、偉大な成果を残した先人がいた」ことの方が大事だったのだろう、と乙一氏は考察している。
私も昔見たがそのシーンは全く記憶に残っていない。優れた作家は他人があsりげなく物語に込めたメッセージを読み解くことにも長けているのだろう。
【オススメ度】
★★☆☆☆