毎日一冊! Kennie の読書日記

面白い本をガンガン紹介していきます!!

静かな月夜の不確かなこと

 「青い月夜の特別なこと「月なき夜の幸せなこと」の続編となる「青い月夜」シリーズの3作品目です。

 独特で不思議な、でもなぜか強烈なリアリティーを持った世界観に魅了されているので、続編が出たのは嬉しいです。かなり独特な世界なので、前作から続けて読まないと理解できないかもしれません。シリーズ初めから読むことをお勧めします。

 

【作者】

 赤井五郎

 

【あらすじ・概要】

 前作で、探偵の双一郎が罠にはめられた後の話。大きな痛手を負った双一郎は隠匿を考えていたが、出発の直前に調査の依頼を受ける。貴族の屋敷で働き、盗みを疑われた女中から疑いを晴らして欲しいという依頼だが、完全に施錠された別館で合鍵を持つ女中以外の侵入は不可能と思われた。双一郎は新たに助手として働くティティアの助けを借りながら謎を解いていく。

 

【感想・考察】

 ミステリ作品として読むと、密室の謎はトリックが特殊すぎて微妙だったが、読者の視点を欺く叙述トリック的な仕掛けの方は驚くほど鮮やかだ。前作でも絶妙なミスリードに騙されたし、本作でも常に双一郎の手を引くティティアのイメージに騙された。

 私としてはミステリ要素以上に、作り込まれた独特の世界観に魅力を感じる。架空の世界ではあるが、そこにいる虫たちや、虫を加工する技術、そこにすむ人々の生活などが、ちょっと偏執的なくらいに書き込まれていて、シリーズを通して読むうちに圧倒的な映像イメージを伴って感じられるようになってくる。そして、どこか寂しく切ない「青い月」に照らされた夜のような世界の雰囲気に飲み込まれてしまう。

 双一郎たちを描くのではなくても、この世界をベースにした物語をまた読めれば嬉しい。

 

【オススメ度】

 ★★★★☆

 

当ブログは、Amazon.co.jpを宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイトプログラムであ「Amazonアソシエイト・プログラム」に参加しています。