ナベちゃんのヨメ
【作者】
辻村 深月
【あらすじ・概要】
大学時代にコーラス部で一緒だった男友達、ナベちゃんが結婚するという知らせを受けた。コーラス部の女性陣にとってナベちゃんは親切で良い友達だったが、男性として意識されることはなかった。ナベちゃんの婚約者は、束縛が強く大学教授にストーカー行為を働き退学となった女性でメンヘラの気があり、結婚式での要求も非常識で非礼だった。結局結婚式へは呼ばれず、ナベちゃんとの関係も切れてしまう。ナベちゃんのヨメの非礼さや異常さを肴に女子会は盛り上がるが、結局ナベちゃんが求めていたもの、自分を一番に必要としてくれる相手が見つかったということで、彼にしてみれば幸せなのだろう、と考える。
【感想・考察】
生々しいリアルさがあり、男性側・女性側双方のエゴが醜く感じられるが、なぜか読後に優しさが残る。幸せの形は人それぞれで、自分が与えてあげるのでなければ無責任に評論をすべきではないというのは納得できる。
ちょっとミステリ的な見方をすると、ナベちゃんとヨメの関係に異常さも感じる。招待メールは昔のアドレスだが、その後の連絡はフリーメールだったり、電話で直接の連絡が取れなくなったり、単なる嫉妬深い妻と夫の関係以上の不自然さもある。
短い作品だが、読後に独特の印象が残った。