四季 夏 Red Summer
【作者】
森 博嗣
【あらすじ・概要】
前作「四季 春」が幼少期の四季の話だったが、今作は13歳で思春期を迎えた四季の話。今作でも天才の内面の描写が鋭く、思考に追いつかない鈍重な現実に苛立ちつつも、現実世界の中で人との関わりに興味を持ち始めている。叔父への興味、自分を支えてくれる人たちへ向ける感情、両親への思いなど。
100年先を見通すような鋭さで計画を進めている。「すべてがFになる」の舞台となる孤島の研究所が建設され、その事件の起点となった殺人事件が詳細に語れれる。
【感想・考察】
四季は人間を超越した天才として描かれているが、今作では人間が不合理であることに理解を示しつつある。超越的な内面描写がなされているが、外部から起こったことだけを見ると、思春期の少女が恋に落ちた相手に思い焦がれ、関係を拗らせつつあった両親にヒステリックな怒りをぶつけただけにも見える。ある意味極めて人間的な面が見え、四季の魅力がさらに膨らんできた。
「すべてがFになる」を再読したくなってきた。