火焔の凶器―天久鷹央の事件カルテ―
サヴァン症候群の女医である鷹央(たかお)と、見習い内科医の小鳥遊(たかなし)の掛け合いが楽しい医療ミステリです。
内科医の経歴を持つ作者だけあって、医療現場の描写にはリアリティーがあります。医療系の話は暗くなりがちですが、登場人物の賑やかさのおかげで楽しく読めました。
【作者】
知念実希人
【あらすじ・概要】
歴史を研究する大学教授が、平安時代の陰陽師である蘆屋炎蔵の墓を暴く。
言い伝えられる、炎蔵の呪いなのか、教授の一人は嘔吐を繰り返して部屋に閉じこもり精神を衰弱させ、一人は気胸を悪化させる。共同研究者である助教授は自室で「人体自然発火」としか思えない焼け方で死んでいた。
鷹央たちも墓に入り、教授たちが衰弱した原因を突き止めるが、その後も遺体の発火や放火など、炎にまつわる被害が止まない。
「炎蔵の呪い」を利用しているのは誰なのか。
【感想・考察】
天久鷹央シリーズでは医療知識が事件解決のカギとなる話が大半だが、本作では医療の話は前面には出てこない。
本作で面白いと思ったのは、徐々に変化していく鷹央と小鳥遊の関係だ。シリーズの最初の頃には、天才的な頭脳を持つ鷹央に振り回されていた小鳥遊だが、いつの間にか成長し、彼女を支える立場になっている。
【オススメ度】
★★★☆☆