毎日一冊! Kennie の読書日記

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『遠まわりする雛』 米澤穂信

「古典部シリーズ」第4弾は短編集。

高校1年の入学直後から2年になる前までの、シリーズの前3作の間を保管するような話です。

1年を通して、えると奉太郎の関係が少しずつ変わり始めているのがいいですね。

 

タイトル

『遠まわりする雛』 「古典部」シリーズ

 

作者

米澤穂信

 

あらすじ・概要

全7作の短編集。

高校1年の入学直後から2年生になる前の春休みまでの話。

古典部シリーズの前3作で描かれた出来事の合間にあった事件の話。

 

  • やるべきことなら手短に

高校1年の春、「氷菓」で折木奉太郎が千反田えると出会った直後の話。

奉太郎は友人の福部里志から、放課後の誰もいないはずの音楽室からピアノの音が聞こえるという「学校の怪談」聞いていた。ちょうどその時 二人の元に現れた えるに奉太郎は 「秘密倶楽部のメモ」の噂を伝え、真偽を確かめに行くことになった。

奉太郎の信条、「やらなくてもいいことなら、やらない。やらなければいけないことなら手短に」を実践した話。

 

  • 大罪を犯す

6月の話。

時期的には「氷菓」と重なる。

普段は温厚な えるが、授業中に声を荒げる。授業範囲を勘違いして男子生徒を理不尽に責めていた数学教師に憤慨していたのだが、なぜそのような勘違いが起こったのだろうか。

数学教師ならではの勘違いに奉太郎が気付く。

 

  • 正体見たり

夏休みの話。

愚者のエンドロール」とほぼ同時期。

古典部のメンバーは温泉で合宿をする。

部員である伊原摩耶花の親戚が経営する温泉旅館で、摩耶花の親戚の姉妹と一緒に過ごしていた。夜中に怪談をした翌朝、える と 摩耶花は部屋で首吊りした人間の影を見たといってきた。

湯あたりして怪談には参加していなかった奉太郎が首吊りの影の謎を解く。

 

  • 心あたりのある者は

 11月の話。

クドリャフカの順番」が終わった後か。

放課後の部室で「10月31日、駅前の巧文堂で買物をした心当たりのある者は、至急職員室柴崎のところまで来なさい」という校内放送を聞いた えると奉太郎は、その放送内容だけで何があったのかを推理していく。

これだけの内容から推理を展開させていくのはさすが。

 

  • あきましておめでとう

 1月1日、元旦の話。

地元の神社に初詣に来ていた える と奉太郎は、荷物を取りに行った納屋に閉じ込められてしまう。巫女のバイトをしていた摩耶花とそれをからかいに来た里志に助けを求める。

リアル脱出ゲーム。

 

  • 手作りチョコレート事件

 2月14日、バレンタインデーの話。

前年のバレンタインデーに里志は摩耶花からチョコを受け取るのを拒んでいた。溶かして固めただけのチョコは「手作りチョコレート」ではない、という無理やりな理屈をつけて。

今年のバレンタインデーに摩耶花は、里志への復讐を果たすため、本格的な「手作りチョコレート」を準備したが、部室に置いておいたわずかな時間に何者かに盗まれてしまった。

部室にいた えるは責任を感じ、奉太郎ともにチョコレートの行方を捜す。

後に犯人は「3日くらい、ごめんなさいしか言えない可哀そうな生きもの」になったという。

 

  • 遠まわりする雛

新年度を控えた春休みの話。

地元神社で行われる「生き雛祭り」で、えるは雛として集落を巡る。奉太郎はえるに頼まれ、傘持ちとして行列に参加した。

順路途中にある橋の工事延期の連絡が上手くいっておらず、行程は大幅にずれてしまった。何者かが工事会社に虚偽の連絡をしたことが原因のようだが、誰が何の目的で行ったのだろうか。

奉太郎が える に恋に落ちた瞬間。

 

感想・考察

える と奉太郎、摩耶花と里志の、登場人物同士の関係が徐々に変化してます。

「コナン時間」的な圧縮はなく、ちゃんと月日が流れていて、それぞれが成長する姿が良いなと思うと同時に、過ぎ去った学生時代を思い切なくもなりました。

登場人物が育っているので、この「古典部シリーズ」は順番に読んでいくのが良いようですね。

続きを読みたい。

 

 

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