『オーダーメイド殺人クラブ』 辻村深月
スクールカースト上位を自認する中学2年生の小林アン。
非リア男女を軽蔑し、ダサい教師をキモいと評し、垢抜けない母親を恥ずかしく思う、ごく普通のリア充女子だ。
だがアンは、少年犯罪の記事を切り抜いたり、死体を模した人形の写真集に耽溺したり「ダークサイド」に惹かれる中二病属性を持っていた。
小動物をビニル袋に入れて踏み潰す「少年A」候補の同級生に「私を殺して欲しい」という。
自分の命を使って、人々の記憶に残る「自分の事件」を作り上げたいと願った。
という、中二病バリバリ全開のお話だけど、本作品の影の主役は「ダサい大人」たちですね。
完璧を求める中二から見れば、不完全で垢抜けない大人は「軽蔑の対象」ですが、大人になってみると、実はカッコいい。
踏み込み過ぎず突き放さず、娘への愛を示す母は「垢抜けなく」てもカッコいいし、
生徒との距離感を掴みきれない教師は「キモい」くても、真摯さがある。
30過ぎてカワイイ系を目指すのは、「みっともなく」見えても、その裏に強さがある。
同年代のコミュニティーが「世界のすべて」になってしまう中二だけど、「ダサい大人」は意外と頼りになるものです。
リンク先にあらすじと感想をあげました。