ゴーストフォビア
幽霊の話とか、普段あまり怖いと思わないのだけれど
この話は結構マジで怖い。
蓮コラをイメージするお岩さんの衣装とか、
血まみれでビルの階段を這って自殺を繰り返す女子高生とか
口をひん曲げて笑う人形だとか合わせ鏡の部屋とか、
ビジュアル的に怖いシーンが多いし、
内面の心理描写も不気味でした。
深夜に一人で読まないほうが良い本です。
【タイトル】
ゴーストフォビア
【作者】
美輪 和音
【あらすじ・概要】
サイキック探偵を名乗る 等々力芙二子は
妹の三紅を無理やり連れ出し捜査に乗り出す。
三紅は接触恐怖症 だったが、
事故物件を扱う不動産屋の男 神凪怜 と
体が触れると、聴力を失ったはずの右耳から
霊の声が聞こえるようになった。
また 怜 の方も三紅と触れている時には
怜の姿が見えるようになる。
芙二子と三紅と怜の3人が事件を解く
4話の連作短編集。
ゴーストフォビア
サイキック探偵となった芙二子は
演劇部部長から依頼を受け、行方不明になった
主演女優 向日葵を探しに行く。
失踪した向日葵の部屋は、かつて女性が監禁され亡くなり
ハコさん呪いとして都市伝説になった現場だった。
その物件を扱っていた不動産屋の 怜 も
部屋に来ていたが、三紅と怜が触れ合った瞬間に
三紅は助けを呼ぶ声を聞き、
怜は風呂蓋の下から伸びる白い手を見た。
空飛ぶブラッディマリー
とあるマンションで女子高生が飛び降り自殺をした後
彼女の友達2人も相次いで同じ建物から飛び降り自殺した。
最初に自殺したマリが血まみれで彷徨い
道連れにする人をさがしているという
「ブラッディマリー」の都市伝説が広がっていた。
芙二子と三紅は、マンション住人から依頼を受け
真相を探る。
ドールの鬼婚
人形作家の九条月子は娘の雛子を事故で亡くした。
自分の作った人形に雛子の霊が宿っていると言い
黒板を通じて伝えられる彼女の望みを全て叶えようとしていた。
心配した妹の佐代里はサイキック探偵の芙二子に
姉を説得するよう依頼したが、
ある時から月子は人形を恐れるようになってしまう。
雨が降り出す前に
連続殺人犯だった堂平大吾の霊を呼ぼうとした清水鏡子は
急遽姿を消してしまう。
心配した友人はサイキック探偵の芙二子に捜査を依頼した。
芙二子たちは堂平の実家に赴くが、
そこはかつて怜の親戚が命を失った場所でもあった。
三紅と怜との過去からの因縁が明かされる。
【感想・考察】
ホラー作品とかを読んでいても
「結局怖いのは人間だよねー」みたいに落ち着くのだが
「幽霊怖っ!」と思わされた。
「○○フォビア」として様々な恐怖症の例を挙げているが
「怖さ」を追求している作者なのだと思う。
探偵役の3人のドタバタしたやり取りで
雰囲気を中和するところもあるのだが
かえって白々とした虚無感を覚えることもある。
ミステリとして読んでも、
ちゃんとオチがありどんでん返しもあって
面白いのだが、
怖さを味わう話として読むのもいいと思う。