毎日一冊! Kennie の読書日記

面白い本をガンガン紹介していきます!!

エチュード

2編の短編集ですが、両方とも怖いです。

ホラー的な怖さではなくて

会話や発言の中の矛盾や不自然さを見付けて

相手のウソや隠された真実を暴くのが

何故かとても怖いと感じます。

 

同じ作者さんの「Fire Marks」でも

犯人の発言から真実を見抜いていたのですが

「名探偵の名推理」的な爽快感より

何故か恐怖感が先に立ちました。

 

「怖い」と感じさせるのが上手い作者さんです。。

 

 

【タイトル】

エチュード

 

【作者】

初瀬明生

 

【あらすじ・概要】

 2編の短編集。 

 

即興劇

住吉梨花は出勤で乗ったタクシーの運転手の男性に

「私は小学校時代の同級生の同級生の金森だ」と言われた。

 

二十年ほど前のことで記憶もあいまいだったため、

その場では適当に話を合わせたが、

実家に帰ってアルバムを見ても、友達に話を聞いても

「金森」という男子はいなかった。

 

梨花はタクシーの中で交わした会話にあった矛盾に気づき

運転手がストーカーである可能性にも考え至る。

 

ところがある日また金森が運転するタクシーに

偶然乗ることとなり、金森の過去を知ることになる。

 

 

傍観者

寒さの厳しい冬の日、高校時代からの友人である

高峰と井田は、大学に入ってから知り合った

久米の家に遊びに行く。

3人で怪談話を始めたところ

久米は、かつて実際に死体を見たときの話をした。

 

久米の話にどこか引っ掛かりを覚えた二人は

過去の事件について調べ、いくつもの矛盾に気づく。

 

 

【感想・考察】

両作品とも なぜかとても怖いと感じる。

 

真実を隠し語った言葉に潜む矛盾が追求されていく。

それは明らかな矛盾ではなく、

「解釈によってはあり得るかもしれない」という

微妙なさじ加減がリアルに感じられる。

 

例えば、「雪の上にうつ伏せで倒れていた死体」の

「顔を見たときに肌が真っ白だった」という発言は

矛盾かもしれないし、うつ伏せでも顔が横に

向くことはあるかもしれない。

そういう微妙な不自然さが積み重なる感じが不気味だ。

 

子供の頃に読んだ江戸川乱歩の「心理試験」という

短編がものすごく怖かった記憶もある。

どうやら私は「内面にある思いが暴かれること」に

強烈な恐怖を感じるようだ。

 

 

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