毎日一冊! Kennie の読書日記

面白い本をガンガン紹介していきます!!

思い出がきえないうちに

 「コーヒーが冷めないうちに」「この嘘がばれないうちに

に続くシリーズ3作目です。

前作から15年後の世界で、舞台も東京から函館に移っていますが、

またまた変わらず、泣かせにくる作品でした。

 

【タイトル】

思い出がきえないうちに

 

【作者】

川口俊和

 

【あらすじ・概要】

 「コーヒーが冷めるまでの時間だけ」

時間を超えることができる喫茶店で起きた4つの奇跡。

前作の15年後の話で、舞台も東京の「フニクリフニクラ」から

函館の「ドナドナ」に移っている。

 

前作で時間移動のためのコーヒーを入れていた

「時田数」は時をつかさどる能力を失い、

その娘である7歳の「幸」がその役目を担っている。

 

「ばかやろう」が言えなかった娘の話

「瀬戸弥生」は幼いころに両親を事故で亡くし、

親戚をたらいまわしにされ、苦しみながら生きてきた。

赤ん坊の弥生と幸せそうな両親の写真を見て

「自分を生むだけ生んで不幸にした」両親への恨みが募り

両親に文句を言うため、時を遡れる喫茶店「ドナドナ」に訪れた。

 

「幸せか?」と聞けなかった芸人の話

二人組の芸人「ポロンドロン」の一人の驫木は、

かつて芸人としての自分を支えながら

病に倒れ亡くなった妻の世津子の期待に応えるため

目指していた「芸人グランプリ」で優勝する。

目標を達成し生きる目的を失ってしまう。

轟木は世津子に芸人グランプリでの優勝を報告するため

彼女が生きていた5年前に戻る。

 

「ごめん」が言えなかった妹の話

布川麗子は結婚を控えていたが

妹の雪華が病死して失意の底に沈んでしまった。

雪華を失った現実を受け入れられず混乱し

彼女がかつてバイトをしていたドナドナまで

何度も迎えにきていた。

そんなある日、ドナドナに生前の雪華が現れる。

 

「好きだ」と言えなかった青年の話

ドナドナで バイトをしている小野玲司は

芸人を目指して受けたオーディションに合格し

東京に旅立った。

玲司の幼馴染 松原菜々子は

血液の病気であることが発覚していたが

夢を叶えようとする玲司の邪魔になることを恐れ

病のことは彼に伝えずに見送った。

一時的に函館に戻ってきた玲司は

菜々子が深刻な病気を抱えていたこと、

移植手術のためアメリカに行ったことを知り

愕然とする。

玲司はアメリカに向かう前の菜々子に

想いを伝えるため、時を遡っていった。

 

【感想・考察】

 本作では4つの話を通して「時田幸」が

「もし、明日、世界が終わるとしたら?100の質問」

という本を読んでいて、

「明日、世界が終わるなら」という条件での

二択の選択を常連客たちに投げかけていた。

 

「明日には世界がなくなる」という状況で

妥協のない選択をすることで

自分が本当に大事にしている価値観があぶり出される。

 

このシリーズでは人が死んでいく話も多く、

生き残った側が死んでいった者の想いに触れ

生きる力を取り戻していっている。

 

一方で、視点を転じ、死を悟った者の側から見ると

命の限りを意識することで、一番大事なもの、大事な人が

浮かび上がってくる。

一番大切な人の幸せを願い、その心の中に残って

ずっと支えていきたいと考える。

 

死期を悟った人ではなくても

今のところ人の寿命は有限だ。

本当は、一番大事なものを後回しにする余裕は誰にもない。

 

大事な人たちを大事にしようと思う。

 

 

ちなみに 映画版の「コーヒーが冷めないうちに」を見た。

とにかく有村架純が可愛かったのが良い。

 

原作3作品の間に映画を見たのだが

人物関係がだいぶ異なっており少々混乱した。

 

自分の整理のため「時田家関係図」を原作と映画版で比較してみた。

 

こちらが原作の関係図。

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こちらが映画版。

大分シンプルになって

ミキ(未来)は 数の娘 という設定に変わっている。

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ということで、原作も映画もおすすめ。 

 

 

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