バビロンの大富豪「繁栄と富と幸福」いかにして築かれるのか
【作者】
ジョージ・S・クレイソン
【あらすじ・概要】
古代バビロニアから出土した粘土板に刻まれていた、富を増やすための法則が説明される。大富豪となった幾人かの人生譚の形で、ストーリーに乗せて語られる。
そこで語られる五つの法則は、
① 収入の十分の一を自分のために取って置き、残りの収入で生活を回す。
② 自分のために貯めたお金の働き口を見つけ、家畜の群れのように増やしていく。
③ 富を増やすことに長けた智者の智恵を授かる。
④ 自分の知らないことや、富を増やすのに長けた人が認めない方法は取らない。
⑤ あり得ないような利益を産むような方法は取らない。
の5点に集約される。
また、仕事は人生の友達であり、勤勉に仕事に取り組むことは、必ず身を助けるとしている。
【感想・考察】
そもそもが数千年前の古代バビロニアの話であり、この本の出版も数十年前になり、古い部分はどうしても感じるが、原理原則の部分では役に立つ話であると思った。貯めるべきお金は天引きで貯めていくことは今でも間違いなく有効だろう。
一方で金融商品がやたらと複雑化してしまっているので、智恵のあるものから意見を聞いて、有効な投資策を探すことは難しくなっているようにも思える。
証券会社、保険会社や不動産投資の営業は知識を持っているかもしれないが、投資者と、ある意味では利害が対立するので単純に信用するのは難しい。個人的な利害関係なく、十分な富を蓄える経験をした人と知り合う機会を作るのが必要かもしれないと思った。
また、奴隷制がベースであった時代に労働礼賛の気風があったことには感銘を受けた。為政者に都合の良いポジショントークという面もあるかもしれないが、労働を通じて資産を蓄え、充実した人生を送った人間に関わる史実であるとすると、実に興味深いと思えた。
ちなみに iBooks のオーディオブックで聞いたが、演者の声が多彩で感情に沁みるような話し方だった。文字を追うよりも声で聞く方に適した作品かもしれない。