毎日一冊! Kennie の読書日記

面白い本をガンガン紹介していきます!!

ヒロインの格式

【作者】

 神崎京介

 

【あらすじ・概要】

 友美は身勝手な恋人の藤野に振り回される。深夜に呼び出され、事が終われば邪魔者扱いで追い払われる。完全に「都合の良い女」だが「藤野を喜ばせたい、藤野の喜びが自分の喜び」と感じ振り回され続ける。

 友美は友人の洋子に愚痴るが、心の中では振り回される自分を楽しんでいる。ある日洋子が恋人からプロポーズされたが、洋子も優しいだけの自分の恋人を大事に思いながらも、身勝手な藤野に翻弄される友美を羨ましいと感じる心情を吐露する。

 

【感想・考察】

 先日読んだ「肉体の悪魔」では、女性を翻弄する男性の側の身勝手な心理描写が秀逸だったが、この作品では振り回される女性の側の思いが漫画的なコミカルさで描かれている。男性視点では中々女性の感じ方が分からないものです。。

 

刑務所なう。 ホリエモンの獄中日記195日

【作者】

 堀江貴文

 

【あらすじ・概要】

 堀江氏が2011年6月に東京拘置所に収監されてから、長野刑務所に移り最初の年末を迎えるまでの獄中日記。刑務所内から出した手紙を元にスタッフが発信したものをまとめた。間に日記内容を漫画化したページや時事ネタ評論が挟まる。最後には収監中に読んだ150冊の書評。

 内容は刑務所での食事内容や体重の推移、仕事の内容、しきたりや行事などが大半を占める。

 

【感想・考察】

 自分は収監される予定もないので、食事内容や観られるテレビなど刑務所情報は自体は特に役立つものではないし、時事ネタも6〜7年前の古いもので今更感がある。

 ただ、獄中にあっても「仕事をしている方が楽」といってとにかく何かをし続ける堀江氏のバイタリティには圧倒される。文章にしていない部分で落ち込むこともあったのだろうが、前向きに「出所したらあれやこれをしたい」という姿勢を貫けるのは驚きだ。周囲への「共感力」が低そうで好きになれない人ではあるが、この力強さは尊敬する。

 

肉体の悪魔

【作者】

 レイモンド・ラディゲ

 

【あらすじ・概要】

 20世紀初頭、第一次世界大戦のフランスが舞台。15歳の僕は18歳のマルトと出会い、互いに恋心を寄せるが、その時にはマルトは既に婚約していた。

 マルトはやがて結婚するが、まもなく夫は戦地に赴く。16歳になっていた僕はマルトの元に訪れ、やがて深い仲になって行く。

 僕はマルトを振り回しながらもマルトに耽溺し、彼女の妊娠を機に破滅的な結末へと進む。

 

【感想・考察】

 「僕」は若さゆえの情動に突き動かされているが、その時々の心理を冷静に言葉にしている。熱い感情で動く自分とそれを見つめる敏感で冷静な自分の距離が黒々として恐ろしい。

 作者のラディゲは18歳でこの話を書いたということにも驚く。完成度が高い。

 

夜、眠る前に読むと心が「ほっ」とする50の物語

【作者】

 西沢泰生

 

【あらすじ・概要】

 読書好きの「イイ話コレクター」西沢氏による50の心温まる短い物語。

心に残ったいくつかの話をピックアップする。

 

・第2夜 お父さんの「勇気あるノー」

 娘は父親とのデートの計画を立て楽しみにしていたが、その日父親は古い仕事仲間に会い食事に誘われてしまう。ところが父は「娘との大事なデートがある」といってきっぱりと断る。「7つの習慣」を書いたスティーブン・コヴィーのエピソードだが「まず大事なものを置き、それからそのほかのものを置いていく」という考え方を身を以て実践しているのが本当に格好いい。

 大事なものを大事にすること。そのためには勇気を持って「ノー」をいうべき時があること。

 

・第3夜 カッコいいおごり方

 若手の芸人が仲間と飲んでいると店に偶然ビートたけしが来た。挨拶をしたぐらいで会話もほとんどなかったが、若手芸人が店を出ようとすると、先に帰ったたけしさんが支払いを済ませていた。たけしさんにお礼を言うと「売れたら使ってね」と返す。

 「将来誰が売れ力を持つか分からないから誰にでも媚を売っておく」という打算っぽいポーズは「偉ぶるのは格好悪い」という美意識によるものなのだろう。「後輩が同じ店にいたら先に出ておごる」という方法は自分が渡哲也さんいしてもらったから。恩を次の世代に送っていくのも美しい。

 

・第16夜 オリンピックの舞台裏

 長野オリンピックの時期、現地のタクシー業者はほとんどがオリンピック関連企業の「貸切状態」だった。そんな中「中央タクシー株式会社」だけは貸切を受け付けなかった。貸切であれば期間中の売り上げは大きくなるが、全てのタクシーが貸切になると地元の人が病院に行く時など困ってしまう。

 自分を支えてくれる人は誰なのか、自分は誰に貢献すべきなのか、をきちんと考えることが必要だ。

 中央タクシー株式会社はオリンピック期間中の売り上げは他社の三分の一以下と惨憺たるものだったが、オリンピック後も売り上げを落とすことなく、さらに他社からシェアを取り長期安定的に売り上げを増やし続けた。

 

・第49夜 「家族になる」ということ

 ある男性は子供の頃からなめこが好きだったが「なめこ」とうまく発音できなかったので、なぜか「きんとこさん」と呼んでいた。彼が結婚し奥さんにその話をすると大ウケし、以来その家庭でもなめこのことを「きんとこさん」と呼ぶようになる。

 ある日、奥さんが「今日はきんとこさんのお味噌汁よ」と言うのを聞いた時「赤の他人が家族になるというのは、こういうことなのか」と思う。

 かつてなめこのことを「きんとこさん」と呼ぶ家庭は一つだけだったが、今は二つになった。そうやって他人が他人で無くなっていく。

 

【感想・考察】

 上記意外にも、元気が出る話、笑える話、感心する話がたくさんある。それぞれは短くさっと読めるが、なかなか考えさせられる話も多い。

 作者自身の話より作者が読んだり聞いたりした話が中心だが、どのような話を良いと感じ、どのような意味を見出すのか、に個性が滲み出るものなのだなと思う。

 

 

思考は現実化する

【作者】

 ナポレオン・ヒル

 

【あらすじ・概要】

 ナポレオン・ヒルによる成功哲学の解説。訳者の田中氏による補足も多い。各章のポイントを抜粋する。

 

序章

 ナポレオン・ヒルが鉄鋼王と呼ばれたアンドリュー・カーネギーに出会い、才能を見出され、カーネギーの成功哲学を体系化させるため20年間従事した経緯から設営されている。

 「成功とは、他人の権利を尊重し、社会正義に反することなく、自ら価値ありと認めた目標【願望】を、黄金律に従って一つ一つ実現して行く過程である」と成功を定義する。

 

第1章「思」 成功のための基本的な考え方

 「思考は現実化しようとする衝動を秘めている。成功を引き付けるのは、心の力である。あなたを成功させるエネルギーは、あなたの心の中にあるのだ。望み通りに人生を生きる鍵はここにある」とする。エジソンの協同経営者となったエドウィンや、ヘンリー・フォードなどが明確な目標・願望を持つことで不可能と思われたことも実現した例を挙げ「心で考え、できると信じたことは実現できる」という基本的な考え方を提示。

 

第2章「望」

 「願望の設定は、あらゆるものの達成の出発点である。まず、明確な願望を持とう。燃えるような願望や目標が、確固たる行動に転化したとき、あなたの夢は実現する。あなたの欲しいものは、自ら求め、手に入れよ」とする。

 明確な目標があるから、すべてのエネルギーを注ぎ込むことができる。成功のための6か条をあげる。

 ① あなたが実現したいと思う願望を「はっきり」させること。単にお金がたくさん欲しいなどというような願望設定は、全く無意味なことである。

 ② 実現したいと望むものを得るために、あなたはその代わりに何を”差し出す”のかを決めること。この世界には、代償を必要としない報酬など存在しない。

 ③ あなたが実現したいと思っている願望を取得する「最終期限」を決めること。

 ④ 願望実現のための詳細な計画を立てること。そしてまだその準備ができていなくても、迷わずにすぐに行動に移ること。

 ⑤ 実現したい具体的願望、そのための代償、最終期限、そして詳細な計画、以上の4点を髪に詳しく書くこと。

 ⑥ 髪に書いたこの宣言を、1日に2回、起床直後と就寝直前に、なるべく大きな声で読むこと。このとき、あなたはもうすでにその願望を実現したものと考え、そう自分に信じ込ませることが大切である。

 

第3章「信」

 「信念は願望実現の原動力である。揺るぎない信念を持とう。その信念が、あなたの思考を力に変えるのだ。信念が願望や目標と結びついたとき、あなたの望みは実現する」とする。

 信念は「深層自己説得」で自分で育むことができるとし、以下の公式を提示する。

 ① 私は人生の明確な目標・願望を達成できるだけの能力を持っている。私はどんなことがあっても忍耐強くそれを追求して行く。このことを私は自分自身に対して約束する。

 ② 心の中で強く願えば、それはいつの日かからなず実現することを私は確信している。だから毎日30分間、私がこのようになりたいと思う自分の姿を心の中で鮮明に、そして具体的に想像する。

 ③ 深層自己説得の素晴らしい威力を私は知っている。だから毎日10分間、リラックスして自身を養うための深層自己説得を行う。

 ④ 私は自分の願望・目標をはっきりと紙に書き出した。私はそれを達成するまで、どのようなことがあっても決してあきらめないことを誓う。

 ⑤ いかなる富も地位も、それが真実と信義に基づくものでなければ、長続きしない。

 ⑥ 私は真実と信義を重んじる。人々の利益にならないことは決してしない。人は誰でも他の人々の協力により成功を勝ち取ることができることを私は知っている。だから私は、まず人々に対して奉仕することを私の使命とする。

 ⑦ 私は憎しみ、嫉妬、利己的な心、これらすべてを排除し、思いやりと誠実な心で人々に接する。私は自分を愛するのと同じように他人を愛する。

 

第4章「復」

 「深層自己説得を活用する。想像的な思考の種子を潜在意識に植え付ける。深層自己説得を活用せよ。それが感情と組み合わされた時、あなたは素晴らしい力を発揮することができる」とする。

 目標を書き出し、すでに実現したものとして何度も読むのは深層心理へ植え付けるため。潜在意識に閃いたことは直ちに実行すべき。機を逃すと達成できない。逆境は、常にそれ以上の利益の種子を秘めていると考える。

 

第5章「専」

 「個人的経験と観察力を高める。教育は、必要な知識を身につけ、それを生かすためのものである」とする。

 知識は必要だが、知識が力になるのは目標に向けた行動の中で活用されたときだけだ、とする。教育は経験と人々との交流から得られる。知識を得る手段として、自分の体験、身近にいる協力者の体験、大学の公開講座、図書館、通信教育などを推奨している。

 

第6章「想」

 「脳の中に浮かぶ森羅万象の世界を活用せよ。想像力の中に、あなたの探し求めているチャンスがある。想像力は、あなたの心のエネルギーを富に変える工場なのである」とする。

 想像できるものは必ず実現できるという。想像力には改良的な想像力と、インスピレーションを生み出す独創的想像力がある。独創的想像力は自動的に働くものと定義している。

 

第7章「計」

 「体系的な行動計画を立てる。目標や願望を設定したら、次の行動は計画を立てることだ。計画は目標や願望を実現にいたらせるまでの架け橋となる。だがこの橋を渡るにあたっては、優れたリーダーシップが発揮されなければ、途中で立ち往生しかねない」とする。

 計画を実行するにあたって必要な人材「マスターマインド」を募るべきだとしている。最初に立てた計画が失敗したら、失敗を教訓にやり直せばいい。意欲があれば失敗は失敗のまま終わらない。

 またリーダとなるための条件として、以下の11項目をあげる。

 ・揺るぎない勇気を持っていること

 ・セルフコントロールの能力を持っていること

 ・強い正義感を持っていること

 ・強固な決断力を持っていること

 ・計画性を持っていること

 ・報酬以上の仕事をする習慣を持っていること

 ・明るい性格を持っていること

 ・思いやりと理解を持っていること

 ・詳細を認知していること

 ・責任感を持っていること

 ・協調性があること

 さらに、奉仕こそが成功への黄金律だとして「自分がしてほしいと思うことは、何よりもまず他人にそうしてあげることだ」ということを協調している。

 逆に失敗の原因として以下の30項目をあげるが、これはどれも戦って勝つことができるものだとしている。

 ・遺伝的欠陥

 ・明確な人生目標の欠如

 ・向上心の欠如

 ・教育の不足

 ・自己訓練の欠如

 ・病気

 ・幼少の頃の不幸な環境による影響

 ・一日延ばしの傾向

 ・忍耐力の欠如

 ・否定的な性格

 ・過剰な性欲

 ・ギャンブル好き

 ・優柔不断

 ・恐怖(貧困、批判、病気、失恋、自由の喪失、老い、死)

 ・誤った配偶者の選択

 ・過度の用心深さ

 ・マスターマインドの失敗

 ・迷信と偏見

 ・職業選択の誤り

 ・集中力の欠如

 ・浪費癖

 ・熱意の欠如

 ・狭量

 ・不摂生

 ・協調性の欠如

 ・努力なしで得た富

 ・虚言症

 ・利己主義と虚栄心

 ・当て推量

 ・資金不足

 

第8章「決」

 「速やかに決断せよ。失敗の原因は決断力の欠如にある。決断は素早くし、変更が必要になる時まで一度下した決定は変えないことだ。優柔不断は誰もが克服しなければならない大敵である」とする。

 成功したものは誰しも決断が速かった。やりたいことは、まず行動によって示すことだ。人生は自分の意思で決まる。

 

第9章「耐」

 「忍耐力を身につける。忍耐力は前進するための原動力である。あなたをゴールから遠ざけている弱さを取り除こう。継続した力こそがあなたの目標や願望を実現するカギとなる」とする。

 強い忍耐力を保つためには、強い目標や願望を持ち、鮮明にイメージを心に浮かべることが必要。諦めない人にとっては「失敗」も成功への一里塚だが、忍耐力がないとこで終わってしまう。

 忍耐力を高めるため以下の項目をあげる。

 ・明確な目標

 ・強い熱意を伴った目標実現意欲

 ・自信

 ・計画の明確化

 ・性格な知識

 ・マスターマインド

 ・意思の力

 ・習慣

 また具体的なステップとして、以下を上げている。

  ①燃えるような熱意に支えられた明確な願望や目標を持つ

  ②明確な計画を立て、着実に実行していく

  ③周囲の否定的な意見をきっぱり否定する

  ④賛成し激励してくれる人を一人以上持つ

 

どのような失敗であれ、そこから何かの利益は得ることができる。「逆境の中には、すべてそれ相応かそれ以上の大きな利益の種子が含まれている」とする。

 今自分が受けている報酬よりも少しでも多くのものを返す。1センチでも先に進む心構えが、結果的に大きな成果につながる。

 

第10章「協」

 「マスターマインドの力。計画づくりとその実践に必要な人材を集めたグループをマスターマインドという。あなたはこのマスターマインドにより、驚くほど短期間にリーダーになることもできるし、巨富を築くこともできる」とする。

 マスターマインドとは二人以上の目標を持った人の集まりであり、波長の合った思考の振動のこと。1たす1が5にも10にもなる。

 気心の知れた人と強調できるグループを作り、討論のクラブとはせず、話は内部にとどめ、グループは全員一致の上で増員し、仮入会の期間を設けて適性を見る、議事進行は持ち回りとし、主たる目的を定めることで、マスターマインドは維持できるとする。

 

第11章「動」

 「モチベーションを生み出す魔法のアイデア。いつ、いかなる時も報酬以上のことをせよ!行動計画を立て、積極的に行動し、報酬以上のことをする習慣を身につければ、あなたはどこの誰よりもその利益とモチベーションを得ることができる」とする。

 人は好きな仕事には苦労を感じない。または愛する人のための仕事であれば疲労を感じにくい。

 「報酬以上のサービスをすることは、必ず報われる」とする。怠けようと思えば怠けられる仕事もあるが、それ以上のものは決して得られない。

 

第12章「潜」

 「潜在意識は海面下の王国である。潜在意識は、あなたの願望実現、あるいは目標達成を後押しする眠れる巨人である。積極的な思考を潜在意識に植え付ければ、望むものはすべて手に入るようになる」とする。

 潜在意識は考えや印象などすべてを無差別に受け入れてしまうが、信念や強い感情と結びついたものには特に鋭敏に反応する。「深層自己説得」で潜在意識を利用する。

 潜在意識に訴える感情のうち積極的なものは、願望、信念、愛情、セックス、情熱、ロマンス、希望。一方で消極的なものは、恐怖、嫉妬、憎悪、恨み、貪欲、迷信、怒り、でこういう感情が潜在意識に働きかけないようにすることが必要。

 

第13章「器」

 「頭脳は宇宙が宿る小さな器である。あなたの頭脳には驚くべき偉大な力が潜んでいる。一刻も早く、効果的に、この偉大な力を活用すべきである」とする。

 脳は見えない力の受信機であり発信機であるとする。

 

第14章「感」

 「第六感は叡智の伝道への扉を開く。第六感は限りある「意識」と限りない「無限の知性」が交流した時に生ずる。第六感の活用によって、あなたの「守護神」はいつでも叡智の伝道の扉を開けてくれるようになる」とする。

 

第15章「転」

 「強烈な本能を創造的なものに転換せよ。強烈な性的エネルギーを願望実現や目標達成のエネルギーに転換せよ。強性本能ほど人を行動に駆り立てるものはない」とする。

 性的なエネルギーは人間の感情の中でも最も強く、うまく転換していけば偉大な成功につなげることができる。

 

第16章「敗」

 「失敗も生き物である。失敗と無縁な人は誰もいない。しかし、人間は誰でも、失敗に対して思いのままに反応する権利と術を持っている。どんな失敗にも、それに見合った利益の種子が含まれているのである」とする。

 失敗は形を変えた恩恵であり、分析してそこから利益を得ることも心がけ次第で可能だ。勝利者は断じて諦めない。

 

第17章「悲」

 「悲しみを通して魂にいたれ。悲しみは、人間を動物的なものから区別する自然の根本的な摂理である。どのような悲しみも、それに見合うだけの喜びの種子を含んでいる。悲しみを災いとしてではなく、恩恵として受け止めよ」とする。

 悲しみは愛情に似て、悲しむことができる能力は、精神的資質の深さを示している。悲しみはその人の魂を高めるものとして受け止めるべきとする。

 

第18章「恐」

 「不安という七つの亡霊。あなたの心の中をくまなく点検しよう。不安が少しでも残っていたら、それを取り除くことだ。頭を使って富を得よ。何一つあなたの邪魔をするものはないのである」とする。

 七つの基本的な不安として、

 ・貧困

 ・批判

 ・病気

 ・失恋

 ・自由の喪失

 ・老い

 ・死

をあげている。不安の多くは、優柔不断と疑惑によって自ら作り上げたものである。形おある富も形のない富も実現することができる。有形の富であるお金は、幸福、長寿、楽しみや心の平安につながる。健康は偉大な宝で、不安を心から取り除くことで得ることができる。 

 

【感想・考察】

 内容の備忘録として色々書いたが、特に心に残り実践したいのは以下のポイント。

 ・ 明確な目標を持ち、潜在意識に植え付ける。

 ・報酬よりも少しでも多く貢献する。

 ・失敗は諦めなければ あ失敗ではない。

 ・逆境には必ずそれ以上の見返りがある。

  特に「明確な目標を持つこと」は、多くの人が語っている。「どうありたいか」というような抽象性の高い目標から、いつまでにどうやって何を達成したいというような具体的なところまで考えて見ることが有益なのは間違いないだろう。

 また「利他」が強みであるという話も頻繁に聞く。美談としてポジショントークとして語っている人もいるだろうが、実際にそういうこともあるのだろう。

 

 この本は翻訳者が自社で行なっている「自己啓発セミナー」的なモノへの誘導が随所にあり胡散臭さが滲み出てしまっているが、それ以外の部分では有益な考え方もずいぶん示されているようだ。「自己啓発」的ないやらしさはあっても読む価値はある。

 

その話を聞かせてはいけない

【作者】

 道尾秀介

 

【あらすじ・概要】

 家族と共に中国から移住してきた马珂は、学校でも家でも孤独を抱えていた。追い詰められた時、落ち込んだ時に姿を現す鬼と目を合わせないよう生活していた。

 ある日、文房具店で店主の老婆が殺されているところを目撃したと思ったが、翌日その店に行くと老婆は生きていて、何かの見間違いだろうと言われる。

 その後追い詰められた马珂は姿を現した鬼の顔を見る。孤独な少年を追う鬼は不気味な同級生なのか、自分の存在を無視する大人たちなのか。

 

【感想・考察】

 道尾秀介氏は「カラスの親指」が傑作だったと思う。何度もひっくり返される感じと、静かな人間関係の暖かさが素晴らしい作品だった。だが、どちらかというとこの作品のようなホラー風味の強いサスペンス系の作品が多い作者だった。

 この作品では孤独な少年 马珂の心情が克明に描かれているが、非常に暗く息苦しくなる。どちらかというと苦手な作品だ。。

 

引き寄せない法則―うまくいく人だけが知っている本当の引き寄せの法則

【作者】

  牧野内大史

 

【あらすじ・概要】

 いわゆる「引き寄せの法則」の解説本。

 中国古典の易経の考え方の紹介から始まる。陰陽→四象→八卦というように分岐していくわけではなく、全てがミルフィーユのように重なるように分布している。これは量子力学から導かれた多元宇宙(マルチバース)の考え方にも沿っている。

 全ての因果は既に起こって全ての時間と空間が重なって存在している。「自分」が観測しているということだけが外部にある。逆に言うと宇宙で起こり得る因果は全て自分の内側に存在している。

 「自分」がどの世界を選択するかで何でも実現することができる、とする。

 

【感想・考察】

 「無い」すなわち「空」は何もないのではなく、全てを含有するということで、タイトルの「引き寄せない法則」は、「ない」を引き寄せるということらしい。

 「すべてが空であるなら、すべてが空ってことも、すべて空なんじゃないのか」と作者本人が語っている。因果で考えると無限循環が起こってしまうが、「因果は全て完結している」ということなのだろう。。

 正直すんなりと入ってくる話ではなかったが、「時間・空間の一つの見方として聞いておく」 という感じ。

 

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