毎日一冊! Kennie の読書日記

面白い本をガンガン紹介していきます!!

国語ゼミ AI時代を生き抜く集中講義

あらゆる勉強の基本は「読む力」だとして

国語力を上げる方法を説いています。

 

取り上げる題材が佐藤優さんの得意分野中心なので

いつのまにか歴史や社会学の解説本っぽくなってますが

「読む力」を高めることの大切さは届きました。

 

 

【タイトル】

国語ゼミ AI時代を生き抜く集中講義

 

【作者】

佐藤雄

 

 

【あらすじ・概要】

1.教科書で「読む力」を養う

・要約と敷衍

 要約は重要な個所を抽出することで

 敷衍は抽象的な観念を分かりやすく説明すること。

 単なる抜出ではなくポイントを見つける。

 

・比較

 複数の記述を組み合わせて説明する。

 相違点と共通点を明確にする。

 

・能動的な読解

 自ら「問い」を立ててみる。

 

2.古典を読んで類するする力を養う

・読む力は「感化」によって身につく

 具体的な「誰か」の影響を受けることが決定的に重要。

・宇野弘蔵「経済原論」の読解

 マルクス「資本論」を研究し、マルクス主義と

 マルクスによる資本主義の分析を区別した「経済原論」を題材に

 読みにくい文章を解釈する方法として

 「長い名詞句の主語述語への置き換え」

 「敷衍と類推の読み取り方」などを解説する。

・メトリ「人間機械論」の読解

 唯物的な思想を持った医師メトリが

 18世紀に書いた「人間機械論」と

 昨今のAI の受け取られ方を重ねて読み取る。

・ゲルナー「民族とナショナリズム」の読解

 近代に生まれたナショナリズムの運動を通して

 「民族」が規定されたとする「民族とナショナリズム」を

 題材に文章の構造把握を解説する。

・小説から「社会の縮図」をみる

 宮下奈都の「羊と鋼の森」と

 リチャード・バック「かもめのジョナサン」を題材に

 「類推する力」から社会・人間を理解しようとする

 一例を示す。

 

3.「読む力」から「思考する力」を育てる

 実際の学生による読解回答例からポイントを取り上げ解説する。

・アナロジー思考

 メタファーとアナロジーの違い、神学での使われ方を解説。

・客観的な定義

 文中で使う用語を客観的に定義する必要性を解説。

・演繹的アプローチと帰納的アプローチ

 定義から出発する演繹的なアプローチに対して

 登場人物一人一人への考察から考えを進める

 帰納的なアプローチもあることを紹介。

・「事実」「認識」「評価」の区別

 読み取るときにも考えるときにも

 事実→認識→評価 の段階を踏むべきであると説く。

 

 

【感想・考察】

「読解力」についての本のはずだが

 佐藤氏による取り上げた図書の解釈自体が面白く印象的で

途中から何の本だか分からなくなった。。

 

「資本論」を資本主義の解析と「マルクス主義」と呼ばれ

その後に繋がった思想の部分に分けて考える見方だとか

「民族」というのは「自由」によりもたらされたナショナリズム運動が

先にあるフィクションであるという解釈など、

佐藤氏の得意分野の話はやはり面白い。

 

AI については器質・ハードウェアによる限界と

そこで走るプログラムの複雑さによる理解の限界が

同列に語られていて、ちょっと違うかなと感じたが。

 

 

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