毎日一冊! Kennie の読書日記

面白い本をガンガン紹介していきます!!

直感と論理をつなぐ思考法 VISION DRIVEN

 「他人モード」になった日常で「自分モード」をとり戻すため

あえて論理や戦略から離れ、「妄想」から始める

「ヴィジョン思考」を提唱しています。

 

 

【タイトル】

直感と論理をつなぐ思考法 VISION DRIVEN

 

【作者】

佐宗 邦威

 

【あらすじ・概要】

 

単なる妄想と価値あるアイデアのあいだ

現代社会では「他人をどう満足させるか」を考え

論理的な戦略を立てる左脳的な考え方が主流だが

「これがやりたい」という自分の原点を見失うと

エネルギーが失われてしまう。

 

あえて論理・戦略からではなく、

自分自身の「妄想・直観」から始め

ヴィジョンを駆動力にしていく

「ヴィジョン思考」を提唱する。

 

「ヴィジョン思考」では、妄想を妄想で終わらせることなく

最終的には、直観を論理につなぎ、

妄想を戦略に落とし込んでいく。

 

そのために「余白をどのようにデザインするか」が

大事になってくる。

 

直観と論理をめぐる4つの世界

思考方法を4つに分けて考える。

 

①カイゼン思考

誰かが規定したゴールを基準に、

全員が同じKPIを絶対善とみなす世界。

単位時間当たりの収穫を最大化するため

PDCAを回していく考え方。

変動し不確実性が増し、複雑で曖昧になる世界では

(VUCA-Volatility, Uncertainty, Complexity, Ambiguity)

正解というものが無くなっていく。

手順を決め自動化が可能な分野はAIやロボティクスに

代替され人間が活躍する余地は少なくなっていく。

 

②戦略思考

カイゼンの世界から抜け出し、

「勝利」によって有利な位置を占めようというのが

戦略思考の世界。

自分たちが勝てる分野を見極めて目標を設定し

資源を集中的に配分し、

MECE(Mutually Exclusive, Collectivelly Exhoustive)に

漏れなくダブりなく課題を切り分けて取り組む。

データ重視の傾向が強く、発想が固定化しがちで

また強靭なバイタリティーを持つ人以外は疲弊してしまう。

 

③デザイン思考

デザイナーの思考法で「人々のニーズ、

テクノロジーの可能性、ビジネスの成功」を統合する。

エッセンスは以下の3つ。

・手を動かして考える「プロトタイピング」

・五感を活用して統合する「両脳思考」

・生活者の課題を皆で解決する「人間中心共創」

人と共同で作り上げることが中心になるので

「自分らしさ」が失われる傾向がある。

 

④ヴィジョン思考

内的動機となる「妄想」から始まり、

インプットの幅を広げて

妄想の解像度を高める「知覚」の段階を超え

主観的に構想したアイデアを他人目線で眺め直し

自分らしい世界観に基づいたコンセプトに「組替」える。

最後に独自アイデアとして組み替えた妄想を

具体的な作品として「表現」していく。

 

 

ヴィジョン思考を身に付けるためには

①ビジョン思考の習慣化

②メソッドへの落とし込み

が必要。

 

全ては「妄想」から始まる

本当に価値あるものは「絵空事」からしか生まれない。

実現可能性が見えない発想を語ることを恥じる必要はない。

「前年対比何%UP」的な漸増目標ではなく

「10年後に月に人を送る」というケネディの言葉のように

実現可能性を度外視したヴィジョンが創造的緊張を生む。

 

「自分モード」をとり戻す感情アウトプットの練習

・ノートに手書きが基本。お気に入りの道具を使う。

・毎日決まった時間を確保し、決まったページ数を書く。

・人に見せないことが前提。

・「妄想クエスチョン」から手で書いて考える。

 「子供のころの夢は何だったか?」とか

  「100億の投資があれば何をしたいか?」など。

・妄想の手がかりは好きなものを具体的に。

 体感することから始める。

・「考えてから手を動かす」のではなく

 「手を動かすことで考える」

・「どうすれば何々できるか?」という問題解決型ではなく

 「もし何々だったらどうなるか?」という妄想駆動型。

 

世界を複雑なまま「知覚」せよ

「シンプルでわかりやすいこと」が評価されるが

フィルタにかかった情報にだけ接していると

思考や発想が無個性化する。

赤ん坊が複雑な世界を手探りで吸収し

自分の理解を作っていくように

手探りで外界の状況を感じ取り、意味を作り出す

「センス・メイキング」の能力が重要。

 

センス・メイキングは以下の3段階で行われる。

①知覚

 言語モードをオフにして見えるとおりに近くする。

 対象物を見たままに描くスケッチなどが訓練になる。

 街中で特定の色を探す「カラーハント」も有効。

②解釈

 「箇条書き」でなく「絵」にして考える。

 「ひみつ道具プロトタイプ」のような妄想を一枚の絵にしたり

 抽象的な単語を絵にする練習などが有効。

③意味付け

 「画像」と「言葉」を往復しながら

 自分なりの解釈に意味を与え言語化する。

 雲に何かの形を見出して言語化したり

 漠然としたテーマで撮りためた写真に

 ハッシュタグでテーマを付けたりするのが練習になる。

 

凡庸さを克服する「組替」

最初から独創的なアイデアを狙うのではなく

「つまらない妄想」から始めて、それを磨き上げる。

 

組替とは 分解と再構築の組み合わせ。

・分解

箇条書きはアイデアを固定してしまうので

付箋紙などに書いたアイデアを自由に組み替えるのが良い。

テーマについて「違和感のある常識」をピックアップし

「ツッコミどころ」を探す。

「あたりまえ」の逆を考える「あまのじゃく視点」も必要。

 

・再構築

アナロジーでアイデアを広げ結びつける。

アナロジーを引き出すためには、

ターゲットの構成要素を把握し、

インプットを増やしてソースの引き出しを広げ

相違点ではなく類似点に着目するようにする。

例えば「イヤホン」は「頭に付ける」という点から

「帽子」「カチューシャ」「メガネ」「イアリング」

などとの共通点を見つけ結び付けていく。

時間やフォーマットに制限がある方が

発想が広がりやすいので、

「五七五」の定型で表現するとか

「10分以内にまとめる」といった制限は有効。

 

「表現」しなければ思考じゃない

「表現」がビジョン思考の最終プロセスであり

次のサイクルへの起点でもある。

「プロトタイピング」で手を動かし具体化しながら考え

具体化とフィードバックの反復を繰り返す。

時間をかけて構想し、まとまってから作るのではなく

作りながら考えるステージを繰り返す。

 

「とりあえずPCに向かう」習慣から離れることで

手を動かしながら考える時間を取るようにする。

またアウトプットを強制するため、

あらかじめ他人の時間を抑えてしまうのも有効。

新しいもの好きで肯定的なフィードバックをくれる人を

相手にすることも大事。

 

普段のメモにもビジュアル要素を取り入れたり

「妄想」のネーミングや、キャッチコピー、

キービジュアルを考えるのも表現の練習になる。

 

最終的には「表現」を通して人を動かすことが必要で

共感を得るためのストーリーが大事になる。

ストーリーとして特に有名なのが「英雄の旅フレーム」で

・現実

・冒険への誘い

・迷いとメンターの支援

・一線を超える

・試練

・克服と報酬

・宝を得て帰還

というのがベースとなるフォーマット。

 

「妄想」が世界を変える

先を見通せない世界では変化を受け流すことも大事だが

それだけでは閉塞感、停滞感に包まれてしまう。

「昨日の延長線でコツコツ頑張る」だけでなく

「妄想を駆動力とした飛躍」が必要。

 

 

【感想・考察】

「今、自分がしたいことは何だろう」

「今、自分は何を感じているのだろう」と自問しても

すぐに答えが出てこない。

 

子供の頃は紙とペンがあれば

なんとなく何かを描き始め、修正しながら絵になっていったが

今はペンを手にしても「何を描くべきか」で止まってしまう。

 

自分自身ではなく「社会の中での役割」にメインとなり

「自分モード」を失ってしまったということなのだろう。

 

「自分は何々をしたい」という「妄想」を抑制せずに育て

手を動かしながら考え、表現につなげていく、

子供の頃には当たり前だった

「ビジョン・ドリブン」な生き方を取り戻したい。

 

 すぐに白紙のノートを買ってきた。

「妄想」ジャーナルを始めてみよう。

 

 

当ブログは、Amazon.co.jpを宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイトプログラムであ「Amazonアソシエイト・プログラム」に参加しています。