毎日一冊! Kennie の読書日記

面白い本をガンガン紹介していきます!!

少女症候群

【作者】

 根本 聡一郎

 

【あらすじ・感想】

 「幻覚少女」、「脱水少女」、「禁断少女」の3作品を収める短編集。前2作は既に読んでいたので、今回は「禁断少女」について。幽霊・人魚についで、吸血鬼の少女が登場する。

 必要条件が「度胸」という奇妙な家庭教師のアルバイトに応募した主人公は、「執事」がいる名家で半ば軟禁されたような状況に置かれた女子中学生を教えることとなる。彼女は自称「吸血鬼」で、「血が足りない」という声が聞こえてくると、自制が効かなくなり、人に噛み付いてしまう。

 少女の父親に疑問を呈したことからバイトをクビになるが、最後の授業の時に少女と申し合わせて家から脱出し、主人公の友人である精神科医の助けを借り逃走する。少女の思い出の地である遊園地である人物と出会って、主人公は真相にたどり着き、少女は少しずつ自分を取り戻していく。

 

【感想・考察】

 全2作と比較すると、幽霊や未来からやってきた人工生命体とは違い、トラウマを抱えて「吸血鬼」的な行動をとる人間の少女の話。ここでも誰かを想う人の気持ちの強さ、純粋さ がテーマとなっている。あとがきで作者が「敵を作らない」ストーリーにしたかった、と述べていた。作品の中では誰もが真剣に生き、誰かを思い、必死に行動している。敵味方に分けて考える「簡単さ」に逃げないことで、短いストーリーでも人物の内面を深く描くことができているのだろう。

 

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