毎日一冊! Kennie の読書日記

面白い本をガンガン紹介していきます!!

魔眼の匣の殺人 〈屍人荘の殺人〉シリーズ 屍人荘の殺人

屍人荘の殺人シリーズの続編です。

今回も、クローズドサークルでの連続殺人という

ベタな「本格推理」的展開にオカルト要素を組み込んでいます。

前作よりも緊迫感があって抜群の面白さでした。

 

【タイトル】

魔眼の匣の殺人

 

【作者】

今村昌弘

 

【あらすじ・概要】

前作でテロに巻き込まれた葉村と剣崎は

テロで使われた技術を生んだ「班目機関」について調べていた。

 

とあるオカルト系雑誌に、二人が巻き込まれたテロ事件が

数か月前に予言されていた記事を発見し

そこには「M機関」との記載もあったことから調査を進め、

W県の山奥の真雁地区に、かつて「班目機関」の研究所だった

施設があることを突き止める。

 

葉村と剣崎はバスで出会った高校生の男女、

ガス欠で立ち往生したバイク乗り、墓参りに来た女性、

親戚の葬儀に訪れた親子と一緒に、真雁の施設に訪れる。

施設には サキミと呼ばれる予言者と彼女の世話係、

そしてオカルト雑誌の記者が滞在していた。

 

サキミ は

「これから2日の間に、ここで男女2人ずつが死ぬ」と予言し

その夜、唯一外部と繋がっていた吊り橋が焼き払われる。

 

完全に孤立した11人は疑心暗鬼になりながら

予言の2日間に立ち向かう。

 

 

【感想・考察】

前作の様なパニックホラー要素はないけれど

連続殺人の緊迫感があり、本作の方が怖さを感じた。

剣崎の探偵っぷりも「知性で犯人の暴力を上回る」爽快さがあった。

 

オカルト要素が組み込まれつつも

論理的に考えていくと、犯人の意図も探偵の意図も理解可能な

ちゃんとした「本格推理」ものになっている。

 

前作・今作両方の事件の背景にある「班目機関」については

未だ全容が明かされていないが、

「コナンと黒の組織」的に、作品ごとの個別事件と

シリーズを通底する謎が平行するパターンだと理解した。

願わくば数十年かけることなく伏線を回収しきってほしい。

 

 

 

人気ブログの作り方:5ヶ月で月45万PVを突破したブログ運営術

著者自身がブログアクセスを増やした方法を説いていきます。

とてもわかりやすい。

 

 

【タイトル】

人気ブログの作り方:5ヶ月で月45万PVを突破したブログ運営術

 

 

【作者】

かん吉

 

 

【あらすじ・概要】

著者自身の経験に照らして、うまくいった方法を解説している。

特に強調されているのは以下の点。

 

・短期集中で集客する

だらだら続けても読者は増えない。

少なくとも、3ヶ月程度は集中して毎日投稿し加速する。

 

・タイトルに商品名は入れない

タイトルがキャッチーであることが大切。

専門用語や知名度の低いブランドが入っていたりすると

それだけでスルーされてしまう。

 

キャッチーにするためには

  1. 記事を全部書いた後、内容にあったタイトルにする。
  2. 記事を読んだ後に得られる素晴らしさを想像させる。
  3. 専門用語やニッチなブランドは入れない。
  4. なるべく短く。
  5. 「あなたの~」とすると自分事として受け取ってもらえる。
  6. コンプレックスを刺激する。「あなたがモテない理由」など。
  7. 数字を入れる。「食べても痩せる3つの方法」など。
  8. タイトルの最後を「~の理由」や「~の方法」とする。
  9. 秀逸なタイトルを参考にする。

 

 

・アフィリエイトの難しさ

アフィリエイトには拒否反応をしめすひとがおおい。

すでにファンになっている人が意図的に協力してくれるくらい。

まずは、読者にとって有益な情報を提供することに徹し

「自分」の信頼をたかめることから始める。

収益化は閲覧数が十分増えてから取り組む。

 

・ソーシャルメディアとブログの補完

SEOに頼ると検索アルゴリズムの変更に左右される。

信頼を築くとソーシャルメディアのシェアが増える。

SEOによる一見読者の増加より、リピーターを増やすことを意識する、。

 

・商品ではなく自分を語る

情報だけではなく自分の意見を書くことで面白さが出せる。

一部の読者から反感を買うこともあるが、

全ての人に好かれることは無理だということを認識する。

個性を押し出した「唯一無二」のコンテンツを出していくことで

リピーターは増えていく。

 

・同じことを何度も書く

重要なことは切り口を変えて何度も書いていい。

ダイレクト検索以外、昔の記事に遡って見てくれる人は多くない。

重要だと思うことを明確にすることで、ブログの個性が出る。

 

 

【感想・考察】

ポイントが絞られていてわかりやすい。

ブログの成長ステージに合わせて戦略を変える必要性はよく理解できた。

 

巻末には Kindleでの電子書籍出版方法も紹介している。

アフィリエイトを否定するわけではないが、

そこで利益を上げるのがメインではなく、

価値ある情報を提供し対価をもらおうという姿勢だ。

やはりユーザーの利益を考える目線が大事なのだろう。

 

 

屍人荘の殺人 〈屍人荘の殺人〉シリーズ

外部との連絡が絶たれたペンションで起こる連続殺人事件という

まっとうな本格推理小説ですが、

外部との連絡の絶たれ方が斬新だったり

その割に登場人物たちが冷静だったりして、

いろいろと「期待を裏切りまくる」面白さがありました。

 

 【タイトル】

屍人荘の殺人

 

【作者】

 今村昌弘

 

【あらすじ・概要】

 神紅大学の映画研究部は毎年ペンションを借り切って

夏合宿を行っている。

今回は直前になって「今年の生贄は誰だ」という怪文書が届く。

 

ミステリ愛好会の葉村と明智は同じ大学の美少女探偵 剣崎 と

映画研究部の合宿に同行することになった。

 

ペンションでバーベキューや肝試しを楽しんでいたが

いきなり外部との交渉が完全に断たれてしまう。

 

内側から鍵のかかった部屋で不可解な殺され方をした犠牲者。

剣崎たちは謎を解いていく。

 

【感想・考察】

「密室の連続殺人の謎を解く」という王道の展開だ。

ドアの鍵やエレベーター、内線電話などの舞台装置が使われ

論理的に考えていくと犯人を絞ることができる。

 

ペンションを周囲から断絶させている状況は斬新だが

登場人物たちはいたって冷静に対処しており、

ペンション内部での「本格推理」の妨げにはなっていない。

 

そもそも「本格推理」は、独自のルールにのっとたファンタジーだ。

 

リアリティを追求しながら、現実の問題に切り込む

「社会派ミステリ」という方向に行くこともあれば、

徹底的にファンタジーとして楽しませる方向もあるだろう。

 

登場人物が多いと把握するのが面倒になるが

極めて分かりやすい名前の付け方をするなど

非常に親切設計になっている。

反リアリティの方向に振り切って、

とにかく楽しませるストーリーとなっている。

 

ペンションの中の「本格推理」は解決したが

ペンションの外の出来事は未解決のままだった。

そこは続編に期待したい。

 

 

 

ブログの成功技術:ブログ記事の書き方究極のガイドブック ブログSEOの入門書:個人ブロガーが勝てる唯一の戦略

「ブログ記事の書き方」を説く本です。

SEO対策などの話ではなく、

「どうやって読者に価値を提供するか」に集中しています。

ブログに限らず、一般的な文章の書き方としても

とても有益な本だと思います。

 

【タイトル】

ブログの成功技術:ブログ記事の書き方究極のガイドブック ブログSEOの入門書:個人ブロガーが勝てる唯一の戦略

 

【作者】

株式会社イノバース與五澤憲一

 

【あらすじ・概要】

ユーザーに価値を与えるコンテンツには

自然とアクセスが集中していく。

 

・ユーザーは問題解決の答えを知りたいから検索する

検索はあくまで「手段」

 

・日記を書いてはいけない

ユーザーは筆者のプライベートに興味はない。

文章を読みたいとは思っていない。

 

・ユーザーに価値をあたっるコンテンツの条件

①タイトル

 コンテンツを読んで得られる利益が明確。

 

②冒頭書き出し

 問題点と解決策が明示されている。

 

③本文

 ユーザーの本質的ニーズを満たしている。

 1記事で内容が把握できる。

 結論を先に述べ、理由と具体例を加えている。

 噛み砕いた分かりやすい表現になっている。

 オリジナルな内容である。

 行動を喚起することができる。

 

・価値のないコンテンツを理解する

 ①セールスの要素が入っている

 ②あなたの言いたいことが優先されている

 ③主観ばかりで根拠がない

 ④具体例がなく抽象的

 ⑤教科書の様な内容

 

・ユーザーの潜在的ニーズを満たす

顕在化したニーズではなく、根源にある潜在ニーズを満たす。

「エステに行きたい」という顕在ニーズの中には

「きれいになりたい」「もてたい」などの潜在ニーズがある。

キーワードから潜在ニーズが何であるか考えていく。

 

・1コンテンツに1つのキーワードで書く

「ダイエット 食事」と「ダイエット 運動」の

両方を狙った記事を書いてはいけない。

一つの記事では、一つのキーワードのニーズを満たす。

書きたいことが複数あるならば、別の記事として書く。

 

・キーワードに需要があるか調べる

そもそもキーワードに需要があるのか調べる。

Googleキーワードプランナー

無償ツールだが対象キーワードの需要を調べられる。

 

・ネット記事の大前提

ユーザーは、

「ネットの記事を読みたくない」

「信頼していない」

 

・ユーザーに価値を与えるコンテンツの条件

①検索した人の問題を解決できること

 問題解決の答えを用意しておけばアクセスは増えていく。

 

②ユーザーの潜在ニーズも満たすことができること

 ユーザーが何を求めているのか、徹底的に考える。

 

③ユーザーはあなたの記事を読みたくないと知ること

 コンテンツはあくまで「手段」

 どのような価値を与えられるのかを明確にする。

 

④500%のクオリティーを目指すこと

 96%の記事は全く読まれていない。

 完成度の高い記事でなければ埋もれてしまう。

 

・潜在的ニーズを洗い出す方法

①検索結果からユーザーが抱える深層心理を理解する

 実際にキーワード検索をし、

 どのような記事が上位にあるかを調べる。

 Googleは「検索意図」に合致した記事を上位にしている。

 ただしパクるのはダメ。

 

②キーワードリサーチをする

 検索ワードのサジェスト機能でユーザーニーズを推測する。

 前掲のGoogleキーワードプランナー

 サジェスト対象を一括で見られる

 Googleサジェスト一括ダウンロードが使える。

 

③ペルソナを作成する

 ユーザーの個人設定を仮定し「ペルソナ」を作り

 ユーザーニーズを考えていく。

 ただし記事は「ペルソナ」個人に書くのではなく

 ユーザーニーズを汲み取った記事とする。

 

・ユーザーニーズを満たす記事を作るステップ

①テンプレートの確認

 記事タイトル:検索タイトルを網羅しベネフィットを伝える。

 書き出し:問題点と答えを冒頭で示す。

 本文:「結論-理由-具体例」の順。

 

②ユーザーニーズの優先順位決定

 冒頭に求めることがなければ読まれない。

 一番求めているものを一番最初に置く。

 

③キーワードを含めた仮タイトル決定

 キーワードを含み、

 ユーザーに提供する価値を明示した仮タイトルを作る。

 

④見出しとなるアウトラインの作成

 いきなり本文を作るのではなく、アウトラインから始める。

 

⑤書き出しと結びを作成

 書き出しで問題と解決を提示し、共感を得る。

 

⑥本文の執筆

 必ず結論から書く。

 結論の後に理由と具体例を続け、分かりやすくする。

 

⑦本タイトルの決定

 本文の内容に合わせタイトルを修正。

 

⑧徹底的な推敲

 誤字脱字はないか。

 タイトルにキーワードが入っているか。

 誰にでも理解できる文章になっているか。

 書き出しは魅力的か。

 自分でも読みたいと思える文章か。

 セールスの要素を完全に排除しているか。

 コンテンツは行動を起こさせるか。

 ユーザーの潜在ニーズを満たしているか。

 音読をしても違和感がないか。

 

・信頼性を高める

検索上位の記事はアフィリエイト等の影響で信頼できない。

信頼できるコンテンツは「根拠」を示している。

 

・著作権のある画像や文章の引用の仕方

「転載」は認められないが「引用」は許される。

 

引用は以下の条件で認められる。

①他人の著作物を引用する必然性があること

②自分の著作物と引用部分が区別されていること

③自分の著作物が主で、引用は従であること

④出店が明示されていること

 

・読みやすい文章の基礎知識

①主語述語の対応に注意

②修飾語は被修飾語の知覚に置く

③同じ副詞を近くで使わない

 

・ウェブ記事のルール

①テーマを一つに絞る

②一文を短く

③先に結論を述べる

④理由や具体例を結論の後に述べる

⑤原則書き言葉を使う

⑥同じ言い回しを連続して使わない

 

・ライティングのルール

①漢字を多用しない

②「」を活用し意味を分かりやすくする

③二重否定を使わない

④オノマトペを有効活用する

 

・改行のタイミング

①改行ごとの文章量をずらし、リズムを作る

②句点以外で開業しない

③改行の少ない文章は読みにくい

④1行ずつの改行も読みにくい

⑤改行とスペースを組み合わせて使う。

 

【感想・考察】

ブログに限らず、

「ユーザーが求めているもの」と

「自分が提供できるもの」とのマッチングを考え

価値を提供していく姿勢が大事なのだろう。

 

特にウェブ・コンテンツは、極端な情報過多状態で、

「できれば読みたくない」というユーザー心理を理解すべきだろう。

その上で提供できる価値を明示できなければ埋もれてしまう。

 

小手先の話でない分、相当の労力を必要とするが

本質を追求することが大事なのだと思う。

 

 

個性を捨てろ! 型にはまれ!

個性重視の風潮に異を唱え、

「個性なんていらない」、「型にはまってこそ成功できる」

というお話です。

 

 

【タイトル】

個性を捨てろ! 型にはまれ!

 

【作者】

三田紀房

 

【あらすじ・概要】

成功したければ『型』にはまれ!

成功したければ最短距離で追いかけるべき。

すでに確立した型があるなら利用すればいい。

 

自分で考える個性は、自分がありたい姿でしかなく

周囲に押し付けるようなものではない。

型を押さえた上で、明らかになっていくのが本当の個性だ。

型があってこそ型破りになれる。

 

企画もアイデアも『型』でつくられる!

アイデアは組み合わせ。既存のアイデアの新しい組み合わせ。

単なるパクリではなく「抽出し、解体し、再構築する」

堂々とベタな王道を歩めばいい。

 

これまでの自分を崩せ!

自分はオンリーワンではなく代替可能。

オンリーワンを目指すのではなく、

自分に合った「型」を探せばいい。

新たな型を身につけたければ、今の型を壊す必要がある。

 

つまらないこだわりを捨てて、周囲の意見を取り入れる。

変人よりも凡人を目指す。

 

タテ社会は素晴らしい!

組織への忠誠、仲間との連帯などタテ社会にメリットはある。

 

選択肢なんていらない!

教育には「型」が必要。

子供に半端な自由を与えるべきではない。

個性を伸ばさず「型」を詰め込むべき。

子供に対して常に正しい理屈で当たっていくのではなく

「それはそう決まっている」と押し切ればいい。

 

島国根性を磨け!

世界の常識に合わせる必要はない。

武士道精神ではなく「商人道精神」を持て。

本音で話さず建前で行け。

真の個性とは「誰かの役に立つ」方法だ。

 

 

【感想・考察】

何かを創造しようとするときに、

「無」から生み出そうとするのではなく、

既にあるものの組み合わせから始めればいい、

というのは実践的な提言だ。

 

限られた時間の中で、全てを一から作っていくと

新しい境地に至ることができない。

「守・破・離」というように、

まずは今あるものを吸収してから、

それを破壊して、新たな世界にでるのが正しいのだろう。

「巨人の肩に乗る」というのも同じことだろう。

その上で滲み出てくるのが個性というものなのだと思う。

 

一方で、タテ社会の礼賛や、個性を認めない詰め込み教育には

違和感を感じる。

 

タテ社会の精神とタテ社会の組織は相性が良く強みがある。

フラットな精神とフラットな組織にも別の強みがある。

 

タテ社会の精神にフラットな組織を嵌めようとすれば

歪になるところはあると思うが、

全てをタテ社会に持っていけば解決するとは思えない。

 

教育について考えると、

基礎を学ぶときには「質よりも量を詰め込む」べき段階が

あるのは間違いないと思う。

ただ「量から質に転換する」ためには

大人が子供に真摯に向かい合う必要があると思うし

画一的ではないサポートが必要だ。

 

現在の日本の状況では子供の個性を汲みとれるだけの

教師の工数は確保できていないのは事実だが

現状のコストの問題と目指すべき理想像の問題は

分けて論じるべきではないだろうか。

 

 

 

残酷すぎる成功法則 9割まちがえる「その常識」を科学する

世に数多ある「成功法則」を

エビデンスベースで検証しようという本です。

 

 

【タイトル】

残酷すぎる成功法則 9割まちがえる「その常識」を科学する

 

【作者】

エリック・パーカー

 

【あらすじ・概要】

 

・成功するにはエリートコースを目指すべき?

高校卒業の時点で特に優秀だった人は

平均以上の収入を得ているが、

「並外れた実績」を上げることは少ない。

「ふるいにかけられていない」粗の残る指導者が

偉大なリーダーとなり、大きな成果を残すことができる。

 

まず、自分が「ふるいにかけられた」存在なのかを知る。

次に「自分に合った環境を選ぶ」ことが成功要因となる。

 

・「いい人」は成功できない?

統計上、短期的には親切な人は損をする。

 

一方で「世界で最も幸福度が低い」モルドバでは

相互信頼が低く、人や社会のために貢献する意識も低い。

結果的には社会全体としての満足度が

久しく低下しているという事実もある。

 

ギバー(与える者)、マッチャー(間を取る者)、

テイカー(利益を取る者)の3つの立場を取り得る。

平均するとテイカーが上手くやるが、頂点に立つのはギバー、

一方で最下位にいるものギバーだった。

 

「過度に与え過ぎず、マッチャーを味方に付けられるギバー」

が最も強い。

 

「繰り返しの囚人のジレンマ」のシミュレーションで

「先に信頼、裏切られたらしっぺ返し」が最強となるのも

与える範囲を限定し、対応的に動く層を味方に付けるからだ。

 

・勝者は諦めず、切り替えが早い者は勝てないのか

  「やり抜く力ーグリット」が成功の鍵だというのは、多くの場合正しい。

   だが、時には見切りをつけることが最善の選択ということもある。

 

やり抜く力を持つ人は「ポジティブな心のつぶやき」を

持つという共通点があった。

 

楽観主義は、健康状態を改善し、交渉を有利に導き

幸運に恵まれることになる。

悪いことは一時的なもので、普遍的ではなく、

自分の落ち度ではないと考える。

 

極限状態で人を支えるのは、ストーリーだ。

現実は混沌としているが、心の中に持つストーリーが

認知バイアスとなり、意義のあること捉えられていく。

人は表向き装う通りの人間になることから逃れられない。

 

WNGF (Winnable, Novel, Goals, Feedback) の条件が

整えられたゲーミフィケーションで、

楽しみながら情熱を持ち続けることができる。

 

一方で、目標に向かって腰を据えて取り組むためには

目標につながらないことに執着することで

「グリットに足を取られる」人も多い。

 

最後までやり通すべきもの、諦めるものを見極めるのに

WOOP (Wish, Outcome, Obstacle, Plan) が役に立つ。

願い、成果に対して障害があれば、それを排除する計画を立てる。

 

いわゆる「引き寄せの法則」はありえない。

すでに願いが叶ったというイメージが、

達成に必要な資源集中を妨げる傾向があるとする。

 

・なぜ「ネットワーキング」はうまくいかないのか

成果を出した人の中には、周囲に多大な影響を与えた

数学者エルデシュのように外交的な人もいれば、

自分の研究に没頭しコミュニケーションが取れない

ニュートンやアインシュタインのようなタイプもいる。

 

外向的な人の方が、より多く稼ぐ傾向があり

企業のCEOなどリーダの地位にある人は

外向的であるケースが多い。

 

一方で内向的な人は重要なことに集中できるため

専門分野で卓越する可能性が高い。

科学者や芸術家、アスリートには内向的な人が多い。

 

ネットワーク作り(人脈作り)と捉えるといやらしいが

人間の脳は講師を区別することが難しく

私的に親しいことは大きなメリットとなる。

共通点を探し、共感して傾聴し、ギバーになることで

友達を作ることは有意義だとする。

またメンターを持つことにも意味がある。

 

・自信を持つのには効果がある?

 

自信を持つことは実績を上げることにつながる。

有能である印象を与えやすく、リスクをとることができる。

一方で実力を伴わない自信は妄想や傲慢さにつながり、

致命的なリスクとなる可能性も高い。

無能な者よりも自信過剰な者の方が危険をもたらす。

 

一方で悲観主義者が批判的な視点で自分の欠点に向き合うと

より強い学習意欲を生み、成長につながる。

 

ただ、自信の有無はどちらも自尊心をベースにしていて

どちらに転んでも、不利益が多い。

むしろ「セルフ・コンパッション」で自分を許すことで

自信のジレンマから逃れることができる。

 

・「仕事バカ」か「ワーク・ライフ・バランス」か

 膨大な生産力は長時間労働から生まれるというのは

夢がないが間違いない現実。

組織の中でも無我夢中で働く一部の人間が

大部分の成果を出している。

 

ただ、単純に長時間働くだけでは成長につながらない。

「自分の仕事に意義を見出している」場合には

長時間労働も苦にならず、成長・成果につながりやすい。

逆に意義の感じられない仕事は幸福感を阻害する。

 

自分で選ぶチューザーなのか、与えられた選択肢から

選ぶことを余儀なくされるピッカーなのかが問題。

自分でコントロールしているという感覚はストレスを防ぐ。

時間の使い方を調査し、計画をして予定表を作り

自分の状況をコントロールすることが大事だとする。

 

 

【感想・考察】

「成功法則」を語る本は、

「成功している人が、自分が勝った方法」を解説するものや

宗教的だったりスピリチュアルな方向にいくものも多い。

 

この本は、極力エビデンスベースで話しそうとしている分、

中庸でバランス重視の、派手さのない主張になっている。

 

・かっちりしている人は重要だけど、

型にはまらない人が成果を上げることもある。

自分を知り自分に合った環境に身を置くことが大事。

 

・長期的には、いい人が得をするけれど、

ずるい人に負けないようにしなければならない。

 

・自信過剰も自信がないのも良くない。

自尊心ではなく事故を許す心を持とう。

 

などなど、ある意味王道で当たり前の話だ。

 

やはり「〇〇すれば✖️✖️!」みたいな

ショートカットではなく、地道に行くのが

「成功法則」の本筋なのかもしれない。

 

 

 

夢十夜

「こんな夢を見た」 で始まる十夜の物語です。

非論理的な内容な分、メッセージが隠されているように感じます。

メタファーから多様な解釈を許すエヴァ的な戦略なのかもしれません。

 

 

【タイトル】

夢十夜

 

【作者】

夏目漱石

 

【あらすじ・概要】

第一夜

男は「もう死ぬ」という女の顔を覗き込む。

女の死後、彼女の言葉通り墓を作り

百年再会を待った。

星の欠片に座り、昇り沈む日を眺め長い時を過ごす。

ある日、白い百合が男の前で花開く。

男は百合に口づけ「百年はもう来ていたんだな」と気づく。

 

第二夜

和尚に「いつまでも悟れぬお前は侍ではない」と

罵られた男は、置時計が鐘を打つまでに悟ると決意する。

悟ることができれば和尚の首を取り、

悟れなければ自害することを心に決める。

手にした短刀の切先に意識を集中するが、

雑念が離れず悟りに至らない。

そのうちに忽然と時計の鐘が鳴った。

 

第三夜

男は目の見えない子供を背負い道を歩く。

見えない筈の子供は周囲の状況を把握し、男を導く。

杉の木の根元に来た時「ここだ」と言い

「御父さんがおれを殺したのが、ちょうど百年前だ」と言う。

男は百年前に人を殺した自覚を持ち、

背中の子供は石地蔵のように重くなった。

 

第四夜

爺さんは紐状に丸めた手拭いを箱に入れ、

「手拭いが蛇になるから見ていろ」といい

謳いながら河に入っていった。

爺さんが対岸から上がってくるのを待っていたが

いつまでたても現れなかった。

 

第五夜

遥か昔、敵の大将に生け捕りにされた男が

死ぬ前に思う女に会いたいと告げ、

鶏が鳴くまでの猶予を与えられる。

女は馬に乗り男の元に向かったが、

天探女(あまのじゃく)の鶏の鳴きまねに

驚いた馬がつまずき、岩間に落ちてしまった。

 

第六夜

護国寺で仁王像を刻む運慶の周りに

現代(明治)の人々が集まっている。

見物人の一人は「運慶が仁王像を作っているのではなく

木の中に埋まっている仁王を掘り出しているだけだ」と言う。

男は自分でも木の中から仁王を見つけようとするが

いくら彫っても見つからない。

ついに明治の木には到底仁王は埋まっていないと悟る。

 

第七夜

行き先の知れぬ船に乗っていた男はいたたまれなくなり

海に身を投げて死ぬことを決意する。

ところが甲板から離れた瞬間に命が惜しくなり後悔する。

「どこに行くか分からない船でも、乗っている方が良かった」と

落ちる瞬間になって初めて悟る。

 

第八夜

床屋で髪を切られながら、鏡越しに街の風景を見る。

パナマ帽をかぶり女を連れている庄太郎、

喇叭を鳴らす豆腐屋、札を数え続ける女など。

様々な金魚を入れた桶の後ろに座る金魚売は

男が見ている間少しも動かなかった。

 

第九夜

幼い子を持つ妻は、侍である夫が家を出てから

夫の無事を祈り願掛けをする。

弓矢の神である八幡宮でお百度参りを繰り返すが

その頃夫は既に殺されていた。

そんな話を夢の中で母から聞いた。

 

第十夜

健さんは「庄太郎が女にさらわれた」という。

女は断崖に飛び込めと命じるが庄太郎はそれを拒む。

飛び込まなければ豚に舐められると女は言う。

豚を忌み嫌う庄太郎だったが、

断崖に飛び込むことはできない。

迫りくる豚の鼻先をステッキで触ると

豚は絶壁に下に落ちていった。

しかし豚は幾万匹と数え切れぬほどの群れを成し

庄太郎は七日目に力尽きて豚に舐められ絶壁の上に倒れた。

 健さんは「だからあまり女を見るものではない」という。

庄太郎のパナマ帽は健さんのものになるのだろう。

 

 

【感想・考察】

 解釈の仕方は色々あるのだろう。

 

強烈な死への意識や「願いはかなわない」という諦観が

通底しているとは思う。

 

日本的な情感が、どこに導かれるか分からない西洋の勢いに

飲み込まれてしまうことへの恐れもあったのだろう。

 

第一夜では、死に向かう女の願いを聞き受け、

百年の後に再開を果たした男の物語を美しく描いている。

一方、第十夜では、女の理不尽な願いを拒み、

数日の後に死に追いやられる庄太郎の様子を醜く描写し

対比させているようだ。

 

床屋の鏡の視界のようなもどかしさの中で、

日々迫りくる豚を弾き落とすような慌ただしさを憎みながら

日本の伝統的な情景は美しかったというフィクションにも

浸りきれない冷静さが漱石には会ったのだと思う。

 

 

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