Kennie の読書録

毎日本を読んで、面白い本を紹介したいと思います。

ブックカース

    印刷が普及する前の中世ヨーロッパでは本はとても高価なもので、盗難を防ぐため「盗んだもののは呪いがかかる」と書かれる「ブックカース」があったそうです。本作品は、それぞれにかけられた呪いに抗う3人の物語です。



【作者】

    高山環



【あらすじ・概要】

    大学での授業中、教授が「あなたたちに呪いをかけます」と言うのを聞いた恵梨香、定雄、草太たち。

    20年後、酔って警察に保護された恵梨香の身元引受けに定雄と草太が呼び出され、久しぶりに顔を合わせる。彼氏と同棲している恵梨香、独身で外資系IT企業でCIOとなった定雄、住宅販売営業で妻と3人の子を養う草太と、それぞれの人生を歩んでいた。

    そんな中、草太は20年前の講義に一緒に出席していた細田という男が殺されたという記事を見つける。同じ時期に時恵梨香の元には「お前を呪う」と書かれた聖書が届き、定雄も命を狙われる。

恵梨香たちは、呪いをかけた教授周防の足取りを追い、呪いから逃れようとする。



【感想・考察】

    バブル華やかなりし頃、若さ故の全能感包まれていた主人公たちが、20年の時を経て緩やかに衰退する経済状況の中で自分自身の衰えを感じている描写は、生々しくて息苦しい。

    歯車がズレたように微妙に上手くいかない日々は、「誰かにかけられた呪い」のせいではなく、「自分自身で必死に守ってきた呪い」のせいなのだということなのだろう。

    ある時は「呪いはコミュニケーション」と言い、ある時は「呪いは護り」と言い、ある時は「呪いは過去の残骸」と言っていた顔に傷がある女性は、もう少しストーリーに絡むと思っていたが、急な退場で驚いた。彼女に何を言わせたかったのか気になる。

    バブル前後に青春を過ごした中年さんには、臨場感のある話なのだと思う。

 

【オススメ度】

  ★★★☆☆

 

 

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