Kennie の読書録

毎日1冊本を読み、記録を残したいと思います。

ISOROKU外伝

 作者は「あくまでもフィクションである」と言って始めています。でも実在した人物や実際の出来事が元になっていて、全くのフィクションでありません。「こういう可能性もありうる」という作者なりの解釈を物語にしているということなのでしょう。

 

【作者】

柴田哲孝

 

【あらすじ・概要】

 少年時代からキリスト教に触れ、アメリカでの勤務経験もある山本五十六と、日本に生まれ日本文化を深く知るアーサー・マッカランの交流を描く。

 五十六とアーサーは日本軍と各国大使武官が集うパーティーのあと、二人でカードゲームをしながら、世界の軍事状況について意見を交わす。

 第一次世界大戦後のワシントン軍縮会議で、日本の軍艦数は米英の圧力を受け減らされたと考えられていた。だが五十六は今後航空機が先頭の主体となり、巨砲を備えた軍艦よりも、空母の方が重要になると考え、軍艦の数にそれほど意味はないと考えていた。「アメリカの軍事生産力は日本を圧倒しているが、太平洋での戦力はハワイとフィリピンに集中している。そこを叩けば数ヶ月以上は制海権・制空権を抑え、他地域で優位な状況を築くことができる」という話をアーサーに伝える。

 10年以上後、アーサーがアメリカ海軍の極東情報局長となり「八項目のメモランダム」で、ルーズベルト大統領に日本を追い詰め開戦に仕向ける提言をする。

 アーサーはその晩年に「自分は日本の海軍提督だった山本五十六と、人には言えない約束を交わしていた」と述べている。

 

【感想・考察】

 山本五十六とアーサー・マッカランに交流があったのは事実のようだが、海軍の立場から「巨艦主義」をとっていた五十六が、腹の底では戦闘機主体となることを促進すべきと考えていた、という解釈は面白い。ただ根拠があるわけではなく史実とは言えず、作者が自称する通り、あくまで「フィクション」なのだろう。

 歴史の可能性として楽しむことができた。

 

【オススメ度】

 ★