Kennie の読書録

毎日本を読んで、面白い本を紹介したいと思います。

午前零時のサンドリヨン

【作者】

 相沢沙呼

 

【あらすじ・概要】

 凄腕マジシャンの女子高生 酉乃初と彼女に一目惚れした男子高生の須川が、「日常の謎」を解いていく4編の連作短編集。それぞれの短編は連続していて二人の関係の進展もみることができる。酉乃はマジシャンならではの観察眼と仕掛けを見抜く洞察力を見せるが、マジックをしているとき以外の対人コミュニケーションに難がある。須川は彼女に接近を試みながら、困っている人を助けるために酉乃の力を借りるようになる。

 

・空回りトライアンフ

 酉乃を追いかけて入った図書室で、須川はある書架の本が一冊以外全て背表紙を向けていることに気づく。図書委員の慶永も事情はわからないと言う。一冊だけ後ろ向きなら分かるが、一冊以外全てというのは相当に手間のかかることで、誰が何の目的で行ったのか。

 

・胸中カード・スタッブ

 音大の受験を控え音楽室でピアノの練習をしていた柏先輩。彼女が少し席を外した合間に音楽室の机にナイフで f f f と彫られるいたずらがあった。ただ音楽室への入り口の廊下は誰も通っておらず、非常階段も外から入ってくることはできない。誰が何の目的で行ったのか。

 

・あてにならないプレディクタ

 須川が落とした手帳を職員室に受け取りに行ったとき、他の人が落とした手帳を見てしまう。その手帳は「の実施前に拾われケースに保管されていた」にも関わらず「試験結果発表前に成績上位者の指名と点数がか書かれていた」落とし主だった飯倉は当たると有名な占い師だった。板倉は一年ほど前に自殺した藤井綾香の霊と交信し占いをしていると言う。藤井が飛び降り自殺をした屋上で幽霊の目撃証言が増え、須川も特別室のガラス越しに幽霊の白い背中を見てしまう。

 

・あなたのためのワイルド・カード

 ある生徒が藤井綾香を自殺について後悔する気持ちを匿名掲示板に投稿したところ、誰も使えないはずの藤井綾香のアカウントで「あなたを赦さない」と返信されていた。

 彼女は苦しみクリスマスの夜に自分も屋上から身投げを試みる。藤井綾香は本当に彼女を恨んでいたのか。藤井綾香の名でメッセージを送ったのは誰なのか。

 

【感想・考察】

 上記のような短編ミステリの連作だが、並行して、酉乃が人との関わりに苦しむ様子、マジックで人に夢を与えたいと思う気持ち、それが偽善だと潰される辛さが 描かれる。酉乃に惹かれた須川は、徐々に「自分の気持ち」から「相手の気持ち」に寄り添うことを学び「孤高に見えて人一倍さみしがり」な酉乃との距離を縮めていく。

 恋愛に関しては須川も相当のヘタレだが、酉乃も輪をかけて対人関係が不器用でなかなか進展しない仲が可愛らしい。酉乃の「ダジャレ」センスが抜群なのも可愛らしさを引き立てている。

 以前、本シリーズ2作目にあたる「ロートケプシェン、こっちにおいで」を先に読んでしまい、消化しきれないところがあったのでそちらも再読してみよう。

 

 

当ブログは、Amazon.co.jpを宣伝しリンクすることによってサイトが紹介料を獲得できる手段を提供することを目的に設定されたアフィリエイトプログラムであ「Amazonアソシエイト・プログラム」に参加しています。