Kennie の読書日記

毎日本を読んで、面白い本を紹介したいと思います。

しろいくまとくろいくま

 「ごまかさずに自分の物語を生きる」ということでしょうか。

「熊や猫たちの国に迷い込む」というファンタジー寄りの設定ですが、心の内側を覗き込むような怖さも感じる話でした。

 

【作者】

高山環

 

【あらすじ・概要】

ケイスケとの新婚生活を送っていたサツキ。

 

冷蔵庫のサケフレークが無くなっているのに気づき、翌日、冷蔵庫を覗く白いこぐまを見つける。サツキはケイスケに こぐまの話をすることを躊躇する。同じ頃、街に椋鳥の群れが現れ、急に姿を消すという事件も起きていた。

 

ある日いつも通り会社に出かけたケイスケが、翌朝になっても帰らず「暫く家を出る」とメッセージを残す。

サツキはケイスケの実家を訪れ、義母にケイスケがいなくなったことを伝える。義母はケイスケの父である義父も20年間ほど家を離れたいたことをサツキに告げる。「ただ待つことが当然」という義母に対し、サツキは「ケイスケを探しに行く」と言う。

そして長く働く家政婦は、ケイスケの義父がいなくなった時にも、新巻鮭がなくなる事件があったことをサツキに告げる。

 

その夜、大きな白熊が訪れサツキを連れ出す。白熊は「世界が綻び始めている。世界を直すことができるのはサツキだけだ」という。白熊 は 黒熊 の追手を逃れながら、サツキの「まだ誰にも語っていない物語」の中に入り込んでいく。

 

 

【感想・考察】

 仕事にも夫の実家にも、強い信頼を寄せている夫に対しても、適度な距離を置いて問題の無い関係を保とうとするサツキ。少しずつ無理をすることで生じた心の微かな歪みが「サツキの物語」を崩壊させようとしている。

「自分自身の物語を大切にしなさい」という話なのだと思うが、妙に寒々しく、怖さを感じるのは何故だろう。

 

  

同窓会屋

  不器用に生きる人間達が愛おしくなるような作品でした。短いのでサクッと読めます。

 

 

【作者】

  Sechi

 

 

【あらすじ・概要】

  田之上真喜子は25年ぶりに中学の同窓会に参加する。

  真喜子は中学時代に付き合った須藤タケシとの再会を期待していたが、煌びやかな同窓生達と比べ、自分自身は落ちぶれた感がありいたたまれない気分を味わう。

   そんな中、真喜子は会場に現れた鯖山市ご当地ヒーローの「サバイマン」に攫われる。マスクを取ったサバイマンは「須藤タケシ」だと言い、かつての中学校舎に向かう。

   タケシは真喜子の娘が「サバイマン」に送った手紙を見せ、真喜子の元に現れた理由を告げる。

 

 

【感想・考察】

   真喜子もその夫も、「タケシ」も、みな不器用ながら必死に生きている。格好悪いけれど格好いい。

 

 

【オススメ度】

   ★★☆☆☆

 

 

 

文章を整える技術 書いたあとのひと手間でぜんぜん違う

 「推敲」の大事さを説く本です。

メールなど読み返すと永遠に送信できなくなるので、勢いで送信ボタンを押してしまうのですが、相手のことを考えると見直す習慣は必要ですね。。

 

【作者】

下良 果林

 

【あらすじ・概要】

書いた後の文章の見直しが重要であると説く。

 

嫌われる「読みにくい文章」

・接続詞が多すぎる。なくても文意が伝わる接続詞は使わない。

・主語と述語の対応がおかしい。「てにをは」が間違っている。

・長い。不必要な内容が多く趣旨がぼける。

・専門用語が多すぎる。

・「ウラ」が取れていない。情報の出所が明示されない。

 

今すぐできる推敲テク5選

・書いた内容を一度忘れる。できるだけ時間を空け客観的に見直す。

・音読する。リズム感を掴み文の長さや特定表現の頻出を避ける。

・句読点、かっこ、一行空け などに気を付ける。

・漢字、略称、専門用語は、読みやすく理解しやすいものに置き換える。

・表記ゆれを統一する。ワープロソフトを使うのも手。

 

慣れたら試したい推敲テク5選

・文末アレンジをストック。体言止め、時制などでバリエーションを付ける。

・一文当たりの長さ制限。100文字程度。

・より短い言葉への置き換え。語彙力の強化も必要。

・必要な情報に絞る。本筋から外れた情報で趣旨をぼかさない。

・チェックリストを使う。

 

推敲不要な文章を書くために

・自分の癖を把握。特定の表現を使いすぎるなど。

・正しい言葉を意識。 同音異義語や重複表現などに気を付ける。

・先に構成を整える。[結論]-[理由]-[例]-[再度結論]が基本。

 

推敲に困ったら

・意地悪な読者の視線で推敲する。

・身近な人にチェックしてもらう。

・プロの文章から学ぶ。

 

【感想・考察】

 自分の文章を読み返すのが嫌いで「推敲」が苦手なのだが、読み手がいる文章であれば、読みやすさを考慮する必要があると反省した。

急ぐと「てにをは」もおかしくなる。勢いで書くと主旨からブレる不要な内容も多い。誤字脱字チェック、「てにをは」チェックと、文章の10%削りは必須だろう。

時には「構成」を決めてから書く練習も必要だと感じる。

 

読み手のことを考えるのが大切ですね。

 

【オススメ度】

 ★★★☆☆

  

 

なぜ、あなたの話はつまらないのか?

放送作家の立場から「面白い話」の作り方を説く本です。

「相手を喜ばせよう!」という思いが大事なのですね。

 

【作者】

美濃部達宏

 

【あらすじ・概要】

「面白い話」を作る方法を説く。

 

①相手が共感できるテーマを選ぶ

家族・学校・食・住・恋愛・芸能などは共通する経験も多く、共感を得やすい。

 ・鉄板のネタを準備しておくことも重要。

 ・自分の「情けない話」は共感を得やすい。

 ・情景を想起させる「例え話」も共感を呼ぶ。

 ・自分のコンプレックスを前面に出すことでも親近感を得られる。

 

②話す順序を構成する 

「フリ」で話の流れを予想させ、「オチ」で予測を裏切り意外感を出す。

レーガン大統領のスピーチから「私には9つの強みがある。1つ目は卓越した記憶力だ。2つ目は、えーと、、なんだっけ??」という「フリオチ」を紹介。

「○○なのに××」という意外性のある展開を作る練習を推奨する。

 

③スパイスとしてのテクニック

話を面白くするための、いくつかのテクニックを紹介。

 ・シンクロニシティ法 :相手との共通点を探し、親近感を得ていく。

 ・ギャップ法 :「いつもの自分と違う自分」を演出する。

 ・擬音語/擬態語:カエルを潰す「メメタァ」など、独自の擬音語。

 ・毒舌法:相手に対する愛を込めた毒舌。

 ・たとえツッコミ:何かに例えてツッコむ。

 ・独り芝居:登場人物を自分の声色で演じる。

 ・適温下ネタ:相手との距離感を読んだ適切な下ネタ。

 ・雑学プレゼント:独りよがりにならず話題を展開させる雑学。 

 

 

【感想・考察】

相手が共感しやすいゾーンで、相手の予測を裏切り、感情を動かすことが、「面白い話」の肝になるということだ。

 

「相手に喜んでもらう」ことを楽しむのが「コミュニケーション能力」の本質なのだろう。そこを楽しめる人間であれば、相手との共感ポイントを探したり、相手の感情を揺さぶるような話し方を工夫することができる。

 

タイトルからは会話のテクニック的な内容だと思ったが、それ以上にコミュニケーションの本質に迫るような本で、有益だった。

 

  

勝間和代のビジネス頭を創る7つのフレームワーク力

「成果を出すための考え方や、能力の鍛え方」を語る本です。

きれいに整理された構成や、丁寧な説明で分かりやすい本になっています。

期待を大幅に上回る面白さでした!

 

【作者】

勝間和代

 

【あらすじ・概要】

 

「ビジネス思考力」の定義

勝間氏はビジネス思考力を以下のように定義する。

 ・ビジネスの場を中心として

 ・限られた情報と限られた時間の中で

 ・より適切な推論・判断を行い

 ・より適切な行動を起こすことで

 ・より高い付加価値を生み出す能力

無駄なく動いて効率的に儲けることを目指す。

 

思考の6つの段階

教育学者 ベンジャミン・ブルーム博士の「思考の6段階」をベースとする。

 ・知識:事実ややり方などを知っている

 ・理解:内容を解釈、言い換え、推量したりする

 ・応用:知識を別の状況に移す

 ・分析:全体の中の部分を見つけたり、区分したりする

 ・統合:部分を組み合わせ統一された全体をつくる

 ・評価:情報の価値や使い道を判断する

 

「空・雨・傘」のフレームワークでいうと、

「空が曇っている」という認識が「知識」と「理解」

「雨が降りそうだ」と推論するところが「応用」と「分析」

「傘を持っていこう」と行動に移すのが「統合」と「評価」

 

本書では特に「分析」、「統合」、「評価」を伸ばす考え方を紹介している。

 

 

ビジネス思考力を鍛えることで得る5つの果実

「ビジネス思考力」をきたえることで、以下のような果実が得られるとする。

 ・将来予測の可能性が高まる

 ・リスク管理ができるようになる

 ・新しい行動がとりやすくなる

 ・より恵まれた仕事ができる

 ・無駄な作業を削減できる

 

7つのフレームワーク力

思考の6段階のうち、上位の「評価」「統合」「分析」に対し、必要となる7つのフレームワーク力を挙げている。対応は下図の通り。

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分析のためのフレームワーク力

①論理思考力

 MECE(もれなくダブりなく)に項目を捉える。

 ピラミッドストラクチャー(ロジックツリー)で整理する。

 上記に基づき仮説を立て検討する。

 

②水平思考力

 直観や新しい組み合わせから仮説をイメージする。

 「前提を疑う」「見方を変える」「組み合わせを変える」のがポイント。

 

統合のためのフレームワーク力

③視覚化力

 ビジュアライズすることで理解しやすくなり、印象にも残る。

 「画像のパワーを使う」「デザインの力を身につける」「文字と画像を組み合わせて使う」のがポイント。

 

④数字力

 画像は多くを伝えられるが、共有した人が同じように内容を理解するのは難しい。一方で数字は厳密な共通認識を持ちやすい。

「数字の意味を知る」-数字の全体感を捉えその意味を把握すること、

「数字に分解する」-分析可能な単位まで数字を分解すること、

「統計を読む」-平均、分散、相関などを理解し、統計の意味を読み取る、

といったことがキーになる。

 

⑤言語力

 言語には曖昧さが多く正確に認識を伝えるのは難しい。

 「多くの知識を持ち」、「言葉に落とす習慣をつけ」、「比喩を上手く使う」ことで言語で伝える力は向上する。

 

評価のためのフレームワーク力

⑥知的体力

 知能・心は脳だけではなく、体全体にあるという考え方から、心身ともに健やかにあることが必要だとする。

 「身体と頭の関係を理解し」、「健全な精神が健全な発想を生むことを理解し」、「食べ物と知力の関係を理解する」ことを重要なポイントとして挙げる。

 

⑦偶然力

 「予期せぬことを避けるのではなく、利用する力をつけよう」という視点。

「十分に準備することで偶然のチャンスを活かし」、「バラバラの情報から繋がりを見出し」、「批判を素直に受け格好をつけない」ことが大事だという。

 

【感想・考察】

勝間氏についてほとんど知らなかったのだが、ブログをみて「ガチのガジェットおたく」であることを知り、親近感を覚えた。

本書では、「簡潔に整理された構成」と「観念や方法の丁寧な説明」が組み合わさり、とても分かりやすい。

ビジネス書では頻出の話も多い中で、勝間氏独特の感性が垣間見れる部分もある。特にデザインや言葉の使い方など「相手にイメージを伝える方法」について、よく考えて実践されていると思う。

面白く有益な本だった。

 

 

【オススメ度】

★★★★☆

 

 

LOVE理論

「男の飲み会の与太話」ですね。

内容はともかく、ガンガン読ませる文章の勢いはすごい。

 

【作者】

水野敬也

 

【あらすじ・概要】

「トム・クルーズよりモテる男に育て上げる」恋愛理論。

 

好きな女の前でテンパらない「執着の分散理論」とか、

女が好きなのは上辺の優しさとする「うわっつらKINDNESS理論」とか、

とにかく数をこなせという「BTO理論」とか、

実践的とは言えない内容。

 

 

【感想・考察】

内容はつまらないが、ガッツリと勢いのある文章が圧倒的に面白い。

「うわっつらKINDNESS理論」など、頭に残る言葉のセンスは抜群だ。

上から目線の語り口も全く嫌味を感じない。これは「自虐ギレ理論」を応用しているのだろうか。弱みを見せた上で卑屈にならずキレてみせる芸を見た気がする。

こういう勢いとセンスを身に着けたいと思う。

 

 

【オススメ度】

★☆☆☆☆

 

家出しなかった少年

あまり特別なことが起こらない日常を描きながら、生きる辛さや切なさ、そしてささやかな幸せを浮かび上がらせています。

不思議と救われたような気持になる作品でした。

 

 

【作者】

奥田徹

 

【あらすじ・概要】

33の短編集。以下は特に好きな5編です。

 

・ウイスキーと赤ん坊

息子が生まれてから頻繁に家に来る義父とそれを迎える嫁。

いつも何か手土産を持ってくるのが心苦しく「気遣いは要りませんよ」と伝えると、それ以降は姿を見せなくなった。

義母に聞くと、義父の父も同じようなことをしていたことを思い出し、嫁に申し訳なく思っているようだ。

酒を止めていた義父が、赤ん坊の横で幸せそうにウイスキーを飲んでいたことを思い出した嫁は、自分から義父の元に赤ん坊を連れていくことにする。

 

・僕がもらった原付バイク

東京に出るとき父に買ってもらった原付バイク。父からのプレゼントが嬉しかった。東京に住む間は原付でどこへでも出かけていたが、結婚してからは徐々に使わなくなる。

いつしか動かなくなり、1年以上放置していた原付を、引越しに際し廃車にすることに決める。

 

・真面目な彼女の選択

彼女は中学の修学旅行で買った硝子のネックレスを「幸運のネックレス」として一日も欠かさず身に着けていた。本気で信じるわけではなくても「変える」ことが怖くて着け続けている。退屈な仕事に疑問を感じながら、その生活を変える勇気もなく、惰性で日常を送っていた。

ある日、ネックレスを着けていないことに気づき、家を探すがどうしても見つからない。そしてネックレスのない日には良くないことが集中した。

後日、事故のあった工事現場で壊れたネックレスを見つけた。

身代わりになってくれたネックレスの欠片を集め、彼女はその日に辞職した。

 

・家出しなかった少年

「ドーナツと彼女の欠片」にあった「十四歳じゃない」という話のベースになっているようだ。

かつて、仕事を失い荒れる父から逃れようと家でを計画したが、家出を決行しようとする直前に父が失踪した。父がいなくなった家から家出をする意味を見出せず、しばらく一人で暮らしていたが、警察の保護が入り親戚に引き取られる。

20年後、ホームレスとなった父と偶然出会う。父は自分に気づかず「寂しさを紛らわすために人は生きている」と言う。

 

・待ち合わせ

彼女は日常のルーチンを正確に守り、待ち合わせにはいつも30分前には到着していた。「相手のことを大切にする」態度だが、周囲からの「おかしな人」からは大切にされず、軽く扱われる。

会社で理不尽な扱いをされた彼女は耐え切れず自殺を決意する。

 

・欲張りと幸せ

新聞配達をする僕とスーパーのレジで働く妻。贅沢はできないが日々困ることはない。ある日二人で伊勢に旅行する。良い天気を楽しみ、初めてのフランス料理を楽しむ二人。

妻は「幸せは欲張りな人には一生分からない」と言うが、僕は「十分、欲張っている」と思う。

毎日が辛く、どうしようも無い時も、積み重ねた幸せが僕に寄り添い励ましてくれる。

 

【感想・考察】

作者が描く登場人物の感じ方に深く共感できる。

 

「できるだけ 話しかけられないようにし、だいたい気に入らない髪型にされて、文句も言わずに出て行き、二度と行かない。その繰り返しで、いまだに行きつけは無い」というような陰キャ丸出しの感性や、

待ち合わせの30分前には着いていたい気持ちとか、

特に信じているわけでもないジンクスでも、破るのが怖いと思う弱さとか、

とてもよく分かるし、登場人物が感じている苦しさが伝わってくる。

 

一方で、父からもらった原付を廃車にするよう何気ない出来事から人生が動いていることを感じたり、ごくさりげない日常に幸せを感じるような暖かさもある。

 

苦しみを分かり合い、さりげない幸せに感謝する気持ちを思い出させてくれる、とても優しい話だった。

 

 

 

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