毎日一冊! Kennie の読書日記

面白い本をガンガン紹介していきます!!

『できるビジネスマンの超効率アウトプット 速書術』 午堂 登紀雄

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「速読術」じゃなくて「速書術」

書くことの重要性が高まっている時代、

質の高いアウトプットを高速で生み出す! 

 

 

タイトル:できるビジネスマンの超効率アウトプット 速書術

作者  :午堂 登紀雄

オススメ度

 分かりやすさ   ★★★★☆

 役立ち度     ★★★☆☆

 実践しやすさ   ★★★★☆

 総合オススメ度  ★★★★☆

 

要約

速く書くことの重要性が日増しに高まっていると言い、「速読術」ではなく「速書術」を説く。

 

「速書術」による4つの能力開発

①思考力が鍛えらえる

口頭であれば言語以外の助けを借りることができるが、文章はそれだけで相手に伝えなければならない。メッセージを論理化し、その根拠となるデータを読み手に合わせて提示するなど、高い思考力が必要とされる。

 

②伝える力が向上する

素早く文章を構成する訓練をすれば、話す内容をまとめるスピードも速くなり、伝える力が向上する。

 

③発想力が高まる

アウトプットを意識すると対象を注意深く観察することになる。観察して感じたことをオリジナルの言葉で表現する訓練を積むことで、発想力を高めることができる。

 

④収益力が強化される

物書きであれば書くスピードを上げれば売上が上がるし、コンスタントにアウトプットすることで他の機会も得られる。会社員であっても書くものの質が上がれば評価されるし、事務的な書き物を早く終わらせればより質の高い仕事に集中できる。

 

 

「速書術」体得のための基本五カ条

①材料を仕入れる

「その文章の目的は何なのか」を明確にし、そこに繋がる情報を幅広く拾って、仮説を回しながらオリジナル表現を生み出す。

伝聞よりは直接体験の方が密度の濃い情報となる。また一方的な見方でなく反論なども想定して客観的な表現となるよう心がける。

 

②文章構造のパターンをストックする

文章構造のパターンを蓄積することで、書くスピードを上げることができる。状況に応じて「結論ファースト」と「結論ラスト」を使い分けたり、ピラミッド状の論理ストラクチャを使ったりする。

 

③表現・語彙を増やす

自分の考えを文章化するには語彙や表現のバリエーションが大事。そのためにも読書量を増やすことが大事。

 

④相手を思いやる

「その文章の読み手は誰なのか」を意識し、相手をおもんぱかって書く。

読み手によって専門用語の使い方を変えたり、一文が長くなることを避けたりして、読みやすく理解しやすい文章を心がける。

 

⑤書く量を増やす

書くことができないのは練習不足。目的や結論があり、一つの塊として完結させる必要のある文章を書くことで鍛えられる。

 

 

「速書術」トレーニング

①文章構造を見抜く

長い一文から主語と述語の構造を見抜いたり、文章の中で事実と意見を見分けたりする練習をすることで、書く能力も引き上げることができる。

 

②表現力を高める

物事の本質を見抜く力を高めると文章表現が面白いものになる。

抽象化することで共通点を見出して論理を展開したり、逆に具体化して分かりやすい解説をしたりする練習も文章力向上につながる

 

③言葉の回転率・瞬発力を上げる

適当な単語をいくつか組み合わせて文章を作ったり、部分的な文章を補完したりするのも良いトレーニングになる。

フェルミ推定で論理的に考えることも、論理的思考力や発想力を鍛えることに繋がる。

 

④長文を書く

長文を書く場合、設計図としての目次を作ると良い。書く内容の見出しを作り、並べ直して構成し、それぞれの要素を充実させていく。

 

 

感想・考察

最近では、ブログなどの文字メディアからYoutubeなどの動画系に移行しつつあるという話も聞く。

 

個人的には複雑な論理は文章の方が頭に入りやすいと感じるが、動画や画像も一度に多くの情報を強いインパクトで受け取れるという強みがある。

 

メディアが印刷物からデジタルに移行して柔軟性が増しているので、文字、音声、画像など、それぞれの強みを活かしたハイブリッドな伝え方が主流になっていくのは間違いない。

 

表現のかたちは変わっても、「伝える力」が重要なのは変わらない。「書くこと」は、そのトレーニングとして最適なののだろう。

 

 

本書は「速書術」というタイトルになっているが、「速さ」よりは「質の高さ」を鍛えることに重点があるように感じる。

意識せずたくさん書くだけでは、残念ながら中々上達しない。やはりポイントを抑えた上で量をこなすのが正攻法なのだろう。

本書には具体的なトレーニング法が多く紹介され実用的だ。表現の質を上げたい人にはオススメ。

 

 

『ハンター』 如月恭介

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「不老不死」を手に入れた後、

人は何を望むのだろうか。 

 

タイトル:ハンター

作者  :如月恭介

オススメ度

 不老不死の科学  ★★★★☆

 ハードなスペンス ★★★☆☆

 メッセージ性   ★★★☆☆

 総合オススメ度  ★★★★☆

 

あらすじ

第二次世界大戦終結間際、ドイツでは不老不死の研究が行われ、老化を促進させる遺伝子上のプログラムを書き換えるウイルスがほぼ完成していた。

その時の文献を見付けた医学教授の金城信吾は研究を進め、不老不死の薬を完成させた。どうしても妻の医療費が必要だった信吾は研究結果を大手製薬会社に売ろうとするが、その直後に不審な死を遂げてしまう。

共同研究者だった平松が信吾の娘 金城涼子を引き取り育てた。信吾が殺されたことを知った平松も製薬会社に接触するが、彼もまた殺されてしまう。

平松は死の直前、涼子に「20年後に読め」といって手紙を渡した。成長した涼子はその手紙を元に不老不死の薬を再開発し、自分自身を被験体とした。

 

平松の死から37年がたった今、涼子は父と平松を殺した相手をあぶりだすため「不老不死の薬が完成した」という情報を雑誌に公開した。雑誌社の記者で児童養護施設で一緒だった 間宮翔太に頼み反応を待つ。

「殺し屋」の鮫島竜二が暴力団から「不老不死の薬を完成させたという教授を殺せ」という仕事を受ける。竜二は雑誌記事を書いた翔太に接触し情報元を探ろうとするが、翔太は頑なに口を閉ざす。

幼いころ父から虐待を受け半身にケロイド状のやけど後を持つ翔太は、世の中に受け入れらない苦しさを感じ続け、常に死を意識していた。それでも世を恨むわけでもない翔太の不思議な強さに竜二は興味を持つ。そして翔太が守ろうとする涼子を共に守ることを提案する。

 

竜二は元刑事の長田に情報収集を依頼する。長田は現役刑事の西条を使い、金城と平松が殺された事件について探りを入れた。製薬会社だけではく大手マスコミや警察までも事件の隠蔽に奔走した跡があり、何らかの大きな力が働いていたことがわかる。

 

竜二、涼子、翔太の3人は大いなる敵との戦いに挑む。

 

 

感想・考察

自分が不老不死になったら何をするだろう。

 

本書で不老不死の力を手に入れた「ルーラー」たちは、技術の流出を防いで独占し、競争を強化し格差を拡大することで自分の立場を確保しようとした。

永遠の命を持てば、膨大な経験の蓄積と、いくらでも「待つ」ことできるというアドバンテージがあれば、ゲームは有利に進められるだろう。他者が台頭し自分の優位性を脅かすことを恐れるのも理解できる。

 

ただ、やっぱりそれは面白くない。

 

現実に人間の平均寿命も健康寿命も伸びている。不老不死とはいわないまでも100年超の時間を過ごす人は、これからさらに増えていくだろう。

経験の蓄積や時間の力で有利なポジションを築いた人が、人生後半に入って保身に走るのは、理解はできるが面白くない。中でも周囲を落として相対的な優位性を保とうというのは格好悪い。

 

年長世代であっても負けるリスクを取って挑戦するのが面白いと思う。

 

作者の如月さんは「エンジェル」でも「死という仕組みの不自然さ」をキーにしている。本書のように社会的テーマとしてみたり、SF的で壮大な展開としたり、切り口を変えているが、「死」や「不死」と向き合うことが中心的なテーマなのだろう。

 

もう少し他の作品も読んでみよう。

 

 

 

『怠け者の時間術: ――自分に負荷をかけない「仕組み」の作り方』 午堂登紀雄

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「効率を上げる」のは「自分にとって満足な時間を作り上げるため」

 

タイトル:怠け者の時間術: ――自分に負荷をかけない「仕組み」の作り方

作者  :午堂登紀雄

オススメ度

 役立ち度     ★★★★☆

 分かりやすさ   ★★★★☆

 斬新さ      ★★★☆☆

 総合オススメ度  ★★★★☆

 

要約

「効率を上げ短時間で多くの仕事をこなす」ことより「充実し満足いく時間を過ごすこと」が大切だという観点からの時間術を説く。

 

まずは負荷をかけずに「仕組み」をつくることを推奨する。

例えば気合で「早起きをしよう」としても続かない。公言して周囲のプレッシャーを利用するなど環境を利用することを勧める。

また、目的がはっきりしないと「重要でないこと」に追われてしまう。何が自分の満足度を高めることにつながるのか認識することが大切。とくに緊急ではないが重要なこと(いわゆる第二領域)に優先的に時間を割り振ることが必要だ。

 

集注する「直列思考」と、分散する「並列思考」を使い分けることも推奨している。例えば本を読むとき複数の本を並行して読むと、頭の中で化学反応が生まれ発想が拡がったりする。一方、フローに入ったときなどは徹底して集中を高める方が良い。

 

ムダな時間を作らないという考え方も大切だ。

「コマ切れ時間の活用」という考え方もあるが、それより重要なのは「コマ切れ時間を作らないこと」。例えば著者は30分以上前には待合せ場所について、本を読んだりする時間を取るようにしている。5分前に着くと中途半端で何もできないが、30分あれば活用できる。出発時間を遅らせると交通状況による変動を吸収できない。

悩んで時間を使うのもムダだ。お金は取り戻せるが時間は取り戻せない。コスパの商品を選ぶために数時間考えるくらいなら、多少高くても良いものを買ってしまうのが速い。

データなどの正確性に必要以上にこだわるのもムダだ。本質を理解し何のためのデータなのかを考えれば必要なレベルは見えてくる。本質に関わらないところでクオリティーを上げる必要はない。

 

世の中の常識的がムダを生むことも多い。

例えば給料日にお金をおろすと人が多いが、数日ずらせば空いている。休みの集中する時期に旅行に行くと価格も高いし、時間的な余裕も無くなる。

少しずらす工夫をすることで、より有効に時間を使えるようになる。

また著者は新聞を毎日は読まない。新聞に速報性は期待していないし、それなら数日分のニュースをまとめてみた方が流れを理解できるという。視点が偏らないようネットニュースも活用している。

 

 

感想・考察

「時間術」を謳っているが、勉強術や人間関係まで幅広いライフハックが集められている感じだ。社会人数年目までの人に特に参考になると思う。

 

最重要ポイントは「自分にとって本質的なことは何か」を認識して、時間も労力もそこに突っ込んでいく、ということだろう。

人は目先のことに引っ張られてしまいがちだから。

 

 

『ファンタジスタドール イヴ』 野崎まど

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万有引力とは

ひき合う孤独の力である

宇宙はひずんでいる

それ故みんなはもとめ合う

こじらせマッドサイエンティストたちの物語

 

 

タイトル:ファンタジスタドール イヴ

作者  :野崎まど

オススメ度

 SF設定      ★★★★☆

 主人公の狂気   ★★★★☆

 ストーリー    ★★★☆☆

 総合オススメ度  ★★★☆☆

 

あらすじ

大兄太子は幼いころ両親が離婚し、父親に育てられた。

母を知らずに育ったため大兄は「女性の身体」に歪んだ思いを抱いてしまう。

父に連れられていったルーブル美術館でみた「ミロのヴィーナス」に数時間離れられないほど魅了される。また家では偶然着替えを見てしまった女中に誘惑され、さらに歪んだ感情を持つにいたる。

小学校では、女子の入鹿と科学に興味を持った仲間として親しくなるが、密かに彼女の着替えを覗いてしまう。卒業で別れるとき、彼女が大兄の覗きに気づいていたことを知り、激しい後悔と恥ずかしさに襲われる。

その反動で勉学に没入した大兄は、日本でトップの大学に入り物理学を学ぶ。大学で知り合った笠野に遊びを教えられ、大兄も少しずつ世界に馴染んできたが、女性のいる店に誘われた時、生身の女性を感じ恐慌をきたしてしまう。

後輩の女性 中砥 から好意を寄せられ、大兄も彼女に関心を抱くが、女体への恐れが上回り彼女に触れることもできないでいた。

 

出口がないまま溜まった歪んだ欲望は捌け口を求め、大兄はサイエンスの思考に没頭した。中砥との会話からヒントを得て「物体の質量そのものが持つベクトル」の存在に気づき、それをコントロールする研究に着手する。

やがて同い年の遠智が大兄、中砥たちのチームに参入し、研究は急速に前進する。

遠智は大兄の「女性の身体」に対する異常な関心を見抜く。また遠智自身も恋人に裏切られた経験から「女性の精神」に対して崇高な理想を抱くようになったことを告白する。

 

大兄たちは研究理論を発展させ、物質自体がもつベクトルを利用して化学反応に寄らずベンゼン環を作る質量傾斜荷重実験を行ったが、遠智の仕掛けにより失敗してしまう。また事故を防ごうとした大兄は片腕を失ってしまった。

大学での研究は中止させられてしまったが、米軍などのスポンサーを得て、大兄と遠智はさらに研究を前進させる。

大兄と遠智の目標は、肉体的にも精神的にも完璧な女性を無から生み出すことだった。

 

感想・考察

「ファンタジスタドール」というアニメの前日譚とのこと。

 この小説の狂気をはらんだ雰囲気からして、アニメの方も退廃的で終末感あふれる「けもフレ1期」的なものかと思ったが、WEBを見るとずいぶん違うようだ。テンプレ通りの美少女アニメだった。

本作はこれだけで完結したストーリーにはなっていないが、巻末の「研究所の歴史」的なところは味わいがあっておもしろい。

 

女体に歪んだ執着を持つ大兄とか、女性の純粋な精神にこだわる遠智が、ファンタ辞したドールの生みの親ってところが、ロリ萌え系美少女アニメ愛好者層へのアイロニーなのだろうか。。

 

 

『凡人を達人に変える77の心得』野村克也

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愚直な努力家、野村克也氏が語る成長の秘訣。

 

タイトル:凡人を達人に変える77の心得

作者  :野村克也

オススメ度

 役立ち度     ★★★★☆

 分かりやすさ   ★★★☆☆

 斬新さ      ★★★☆☆

 総合オススメ度  ★★★☆☆

 

要約

「人が成長する裏には必ず理由がある」とする野村克也氏が、野球人生で身に付けた77の秘訣挙げる。

 

いくつかの項目を拾ってみる。

  • 仕事の本質は「単純作業の繰り返し」

例えば単純なコピー取りでも、効率化したり完成度を上げるクフはできる。単純作業の精度を上げる努力が将来を大きく変える。

 

  • 「テーマのない努力」ほど無駄なものはない

努力そのものが目的になってしまうと結果に繋がらない。野球選手であれば長時間練習することが大事なのではなく「練習の過程で成長するヒントを見つける」ための努力が必要だ。

 

  • 「仕事のコツ」は自分で身に付けるしかない

 基礎や基本は理屈で教えられるが、コツは感覚で成り立っている。感覚的な行為は試行錯誤をして自分で身に付けるしかない。

 

  • 本質を知れば「自分を正しい方向へ」導ける

 例えば、ピッチングの本質は球速ではなくコントロールだ。本質がわかっていないと間違った方向に努力をしてしまう。本質をつかむことが成果を分ける。

 

  • 困難は「努力する力」を育てる機会

仕事をしていれば困難に出会うこともあるが、それを「我慢する力」を育てる機会だと捉える。野村氏自身も恵まれない少年時代に我慢する力を育てたことで、キャッチャーという我慢が必要なポジションで成功し、不遇な時代も耐えて監督として成功することもできた。

 

  • 「小事を大事にする精神」が大きな飛躍を生む

野村氏が現役時代3年目に急成長したのは、投手の配給のクセなど「小事を気にするようになったから」だという。感性を磨くためには、敏感になるよう努力を重ねるしかない。

 

  • 「変化を見る目」を持てば継続的に結果が出せる

野村氏がホームラン王となった翌年に打てなくなったのは、本人の変化ではなく、周囲が野村氏を研究したからだった。自分だけの視点で周囲を見ていると変化に気づかず、継続的に成果を出すことはできない。

 

  • 「欲から離れる」ことでプレッシャーから解放される

 プレッシャーとの付き合い方も重要。バッターであれば「打ちたい」という欲が無ければ結果は出せないが、打つ瞬間に欲が強すぎると体がかたくなる。本番前は望む結果を強くイメージしながら、いざ本番となったときは目の前のことに集中するのが大事。

 

  • 「短所の克服」によって長所が伸びる

野村氏は「長所を伸ばす」よりも「短所を克服する」方が大事だと考える。長打力が強みのバッターでも、変化球に弱点があればそこを突かれ、長所を活かせない。短所から逃げている限り大きな壁を超えることはできない。

 

  • 技術には限界があるが、頭には限界がない

 まずは「基本を身につけ、技術を磨くこと」が大事。しかし技術には限界がある。「小事を大事にする」「変化を見る」「短所を克服し長所を活かす」など、頭を使うことで限界を突破する。

 

  • 仕事と人生は切り離せないもの

 「仕事=人生」となってはいけない。だが「何かひとつの道」をみつけ探求していくことは、人生を有意義に送るために欠かせない。

 

  • 人生から逃げたとき、人は敗者になる

 野村氏自身、スキャンダルで球団を追われた。42歳のときであり引退するのが自然だったが「なにくそ!」という思いがあり、他球団に移籍し現役を続行した。そこには3年ほどの在籍で大きな成果は出せなかったが、他球団を経験したことがその後に監督として活躍するのに役に立った。

 

  • 「人を残すこと」を目指すのが仕事の上級者

「財を残すは下、仕事を残すは中、人を残すを上とする」という言葉を紹介。野村氏も若い時代は経済的な豊かさを求め、中年期にはチーム優勝という仕事を残すことに尽力した。50代半ば以降には自分の理念を後進に伝えることが重要だと考えるようになったという。

 

  • 「信」なくして人生は成立しない

 信頼、信用、自信などの「信」が大切だと考える。監督として選手に接するときも、相手を信頼していることまず伝え、自信を付けさせる言葉をかけ続けた。結果がだせるようになると信頼を得ることができる。何かが起きるときは必ず「信」がある。

 

 

  • 感謝の気持ちは「表現してこそ」意味がある

 「人のためになってこそ人間、他の人があってこその自分」と考え、感謝する気持ちが重要。感謝は口で述べるだけではなく、それを元に行動を起こすことが何よりも大事。

 

 

感想・考察

「短所を克服せよ」とか「我慢する力を育てよう」とか正直辛気臭い。

よく聞くように「短所を克服するより、長所を伸ばせ」とか「楽しいからこそ力を発揮できる」というようなポジティブよりの言葉の方が耳触りが良い。

 

だが実際、野村氏の言葉とポジティブ派意見とに大差があるわけでもない。

優先的に長所を伸ばすべきで、弱い部分は得意な人に任せればいい。だが長所を活かすために必要であれば弱点を克服する必要がある。どちらも最終的には長所を最大限生かすことを目指している。

楽しむから力が出せるというのも、苦しい努力をする必要はないということではなく、方向性が定まっていれば、努力を苦しいとは感じないということで、ベースに「我慢する力」が必要なのはどちらも同じだ。

 

野村氏のネガティブな表現の方が、陰キャ向きでなじみやすいかもしれない。

派手さはなくても着実に実績を残し続け、誠実な生き方をしてきた野村氏であればこそ、こういう地味な言葉に力が宿るのだろう。

 

 

 

『京都寺町三条のホームズ : 1』 望月麻衣

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面白くて知恵がつく、人の死なないミステリ!

 

 

タイトル : 京都寺町三条のホームズ : 1

作者   : 望月麻衣

オススメ度

 トリビアミステリ ★★☆☆☆

 恋愛ストーリー  ★★★☆☆

 京都観光案内   ★★★★☆

 総合オススメ度  ★★★☆☆

 

あらすじ

大宮から京都に引っ越してきて半年の女子高生 真城葵は、元カレが親友と付き合い始めたという噂を聞き、大宮に戻る交通費を得るため祖父の遺品を骨持ち出した。

京都三条寺町の骨董品店「蔵」で働く ホームズこと家頭清貴 は葵の真意を見抜き、「蔵」でアルバイトをして交通費を稼ぐことを提案した。

こうしてホームズと葵の物語が始まる。

 

第1章「願わくば桜の下にて」

「蔵」で働き始めた葵は、ホームズがある男から依頼された「京焼茶碗」を鑑定するのに同行する。その茶碗は男が父から残された遺品で、そこに残された「父の気持ちすべて」を解釈して欲しいと頼まれる。

 

第2章「葵の頃に」

京都三大祭りの一つ「葵祭」で主役となる「斎王代」に、老舗呉服店の娘 宮下佐織が選ばれた。

ところが佐織の元に「斎王代を辞退しろ」という脅迫状が届き、ホームズに調査を依頼される。ホームズと葵は佐織に嫉妬している華道教室の生徒に会いに行く。

 

第3章「百萬遍の願い」

ホームズの父 家頭武史 は、その父 家頭誠司に憧れ鑑定士を目指したが、「資質がない」ことを自覚する。今では誠司の店である『蔵』で働きながら、小説家を本職としていた。

 

第4章「鞍馬山荘遺品事件簿」

武史の友人である作家 梶原 が亡くなり、その息子である3人兄弟に残された遺品の鑑定を依頼された。ホームズと葵は梶原一家の住む鞍馬山の山荘に赴いたが、遺品の掛け軸は何者かに燃やされてしまったという。

 

第5章「祭りのあとに」

祇園祭を数日後に控えたころ、『蔵』にホームズの元カノが訪れ、他の男との結婚が決まったことを報告する。彼女は茶碗の鑑定を依頼しその結果を2日後に知りたいと言い残して去る。

同じころ、葵は大宮での高校の友達が修学旅行で京都に訪れるという連絡を受ける。葵は友達と会う約束をしたが、元カレや元カレを奪った親友と会う可能性に気持ちを沈ませていた。

 

 

感想・考察

人が死なないライトなミステリ、京都の町の雰囲気、古美術のウンチク、鋭い頭脳と上品さを兼ね備えたイケメンとの恋愛等々、、幅広い層に引っかかる「売れそうな本」だ。

作者は作中で「『これが売れる』というものを描いてもいい。そもそも自分の好きなようにだけ描くのはプロとは言えない。大事なのはそこに自分のブランド、魂を込めること。」と書いている。

本作は色々な要素を詰め込み、ある意味緩い感じにはなっているが、そこから醸し出される雰囲気は、望月麻衣さんにしか出せないものになっている。

また、作中でホームズは「素質がない」と古美術品鑑定を諦めた父を「甘い」と評している。「本気でなりたいものだったら、そう簡単に引き下がれない。百万遍唱えるほど努力をするなら必ず叶えられる」という。

 

作品はライトな雰囲気だが、ある意味ストイックな姿勢で臨んでいるのだろう。今後作品がどう成長していくのかが楽しみに感じられた。

 

 

『高原のフーダニット』 有栖川有栖

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公言した上での「叙述トリック」

「作中人物と読者が同時に驚愕するようなミステリ」は成立するのか。

 

タイトル:高原のフーダニット

作者  :有栖川有栖

オススメ度

 叙述トリック   ★★★★☆

 ナンセンス    ★★★☆☆

 フーダニット   ★★★☆☆

 総合オススメ度  ★★★☆☆

 

あらすじ

犯罪学者の火村英生と作家の有栖川有栖が活躍する3つの中編ミステリ。

2つめの「ミステリ夢十夜」はミステリではないか。。

 

1.オノコロ島ラプソディ

 冒頭から、有栖川と編集者の会話で「叙述トリック」を仕掛けることが強烈に匂わされてのスタート。

 

淡路島で起きた殺人事件の調査に火村が関わり、有栖川も合流する。

被害者の蛭川から借金をしていた長益が容疑者となったが、元刑事の打保が長益のアリバイを証言した。事件のあった時間、長益は打保と一緒にいた。30分ほど不在となったが、打保邸から犯行現場まで30分で往復することは不可能だった。

もう一人の容疑者 小清水も、出会い系サイトであった銀行員と一緒にいたという証言があり、犯行は不可能と思われた。

 

作者はどのような仕掛けを施したのか。

 

 

2.ミステリ夢十夜

夏目漱石の夢十夜のように、有栖川のみた夢を描いた10編の短編集。ミステリにはなっておらず、不可思議な雰囲気を味わう作品だ。

 

 

3.高原のフーダニット

双子の弟を殺してしまった男が火村に「自首したい」と連絡をしてきた。ところがその翌日、双子の弟と電話をしてきた兄の両方が殺されていることが発見される。火村と有栖川は事件の起こった高原に赴き調査をする。

高原にはミステリ好きの主人が経営する「風谷人(フーダニット)」という、小規模なペンションがあった。火村と有栖川は周辺住人が集うその宿を拠点として事件の捜査に取り組む。

 

 

感想・考察

「オノコロ島ラプソディ」の叙述トリックが中々挑戦的だ。作中で有栖川が「作中人物と読者が同時に同じことに驚くような仕掛けにしたい」と言っている通りの展開になっている。

 

叙述トリックでは「嘘はつかないが、本当のことを全部は言わない」ことでミスリードを誘う。

実際には現実社会でも「嘘はつかないけど、本当のことを全部は言わない」という作戦は頻繁に行われているのだろう。逆にいうと「事実を統べて伝える」は不可能である以上、必ず恣意的に伝える内容を取捨選択しているのであり、意識的か無意識かを問わず「伝わり方をコントロールしようとしている」のが当たり前だ。

 

本作ではデフォルメされ過ぎていて「これって叙述トリックなの??」という感じだったが、敢えて分かりやすく「印象コントロールの作り方」を見せているという意味で、挑戦的で面白いと思った。

 

これからも変わらず「叙述トリック的な生き方」をしていこうと心に決めた。

 

 

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