毎日一冊! Kennie の読書日記

面白い本をガンガン紹介していきます!!

medium 霊媒探偵城塚翡翠

傑作だ。

 

「すべてが、伏線 」という煽り文句の通りで

何を書いてもネタバレになってしまいそうだ。

やや分かりやすく伏線を撒いた一段目からもう一段落とされる。

仕掛けられているのは「伏線」というよりは「罠」か。

「動きすべてが罠」だ。

 

相沢沙呼氏の作品世界が好きな人にもお勧め。

写真部や、小説家や。〇〇〇など

今までの相沢作品のモチーフを使いつつ

「青春物語」の枠を超え、次のステップに進んでいる。

 

「女子高生の制服に詳しい男性ミステリ作家には怖気がたつ」と

自虐しつつ「ふとももフェチ」の本領は遠慮することなく

全力で発揮しているのも嬉しいポイントだ。

 

 

【タイトル】

medium 霊媒探偵城塚翡翠

 

【作者】

相沢沙呼

 

【あらすじ・概要】

 ミステリ作家の香月史郎と霊能力者の城塚翡翠の二人が

様々な事件を解決していく。

翡翠が霊能力で直観的に得た情報を、

香月が犯人検挙に至るまでの論理的な道筋に落としていく。

 

第一話 泣き女の殺人

香月は「寝ている時に、ベッドの傍らで泣いている女性が見える」

という後輩の倉持結花と一緒に、城塚翡翠のもとにおもむく。

そこで香月は翡翠の霊能力を目の当たりにする。

 

第二話 水鏡荘の殺人

香月と翡翠は、作家の黒越篤の霊障があるという別荘に招かれる。

二人は作家仲間や編集者たちとバーベキューを楽しんだが

翌朝、黒越が仕事部屋で殺されているのを発見する。

 

第三話 女子高生連続殺人事件

香月の書籍のサイン会で女子高生から

学校で起きている連続殺人事件を解決して欲しいと依頼される。

香月と翡翠は殺人現場や、被害者の高校を捜査する陰で

次なる事件の影が迫っていた。

 

最終話 VSエリミネーター

連続殺人犯との対決。

 

【感想・考察】

相沢沙呼さんのミステリーは素晴らしい作品が多い。

 

特に「ロートケプシェン、こっちにおいで」での

叙述トリックの使われ方には感動した。

単に読者を驚かすための叙述トリックではなく

「表と裏の顔を使い分ける息苦しさ」を際立たせ、

メッセージを印象付けていた。

叙述トリックの名手だと思う。

 

本作では叙述トリック的な仕掛けは敢えて分かりやすく仕込み

そこからもう一段階落としてくる。

叙述トリック自体を目くらましに使ってくる手法はさすがだ。

読み終わってすぐに再読させられる本とは久しぶりに出会った。

 

傑作だと思う。

この設定で続編は難しいと思うが、もし可能ならぜひぜひ読みたい。

 

 

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