毎日一冊! Kennie の読書日記

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中学生でもわかる! ピケティ超入門

 タイトル通り「超入門」レベル。格差社会への怒りに燃える学生と老教授の対話形式で、経済学の基礎の基礎から説明してくれます。とにかく分かりやすいです。

 

【作者】

 橘龍介

 

【あらすじ・概要】

 格差社会に憤る学生が老教授から経済を学び、格差の拡大とその対策を述べたピケティーの「21世紀の資本」の概要を学ぶ。

 

・経済の歴史

 身分が固定的である封建制から、産業革命を経て産業資本が経済の主役となる。当初は完全な自由経済で、労働者は酷使されインフレ・デフレに対応する施策もなかった。

 20世紀初頭から後半までは共産主義の思想が拡大し、世界大戦による急速なインフレで資本の毀損もあったことから、資本の集約は進まなかった。しかし、共産主義は独裁体制に結び付きがちで歪みが顕在化し、戦後復興の高度成長も終息した20世紀後半に、その傾向は終わり、2012年以降には資本集約が急速に進んでいる。

 

・経済の基本的観念

 「需要と供給による価格変動」、「インフレーションとデフレーション」、「GDPとGDP成長率」など基礎的な用語の説明。

 

・ピケティの洞察と提案

 世界GDPの比率は産業革命以後欧米が高い比率を占めていたが、近年では生産技術の平準化が進み、人口拡大の影響からアジアの比率が拡大してきている。今後はアフリカへの技術浸透でアフリカの比率が高まるとみているが、アフリカの人口増の影響がなくなる21世紀終盤には世界のGDP成長率は1.5%程度に落ち着くとみている。

 労働生産による成長が低い率で留まるのに対し、資本収益率は4%程度で安定するため、資本の集約が進み貧富の差はさらに拡大するとみている。

 格差拡大を防ぐためには資本収益に対する課税を強化するしかないが、グローバル化の進展に伴い、高所得者に対する課税率でも競争が進んでおり、低率もしくはゼロ課税の「タックスヘイブン」に高収益企業が集中する傾向が出始めている。

 課税権は国家主権の重要な要素だが、格差拡大による社会の崩壊を防ぐためには、国際協調がなければ実効性が担保されないとしている。

 

【感想・考察】

 基礎的な説明から入り非常にわかりやすい。「格差に対する感情的な怒り」から、「具体的課題に対する取り組み」へ変化していく学生の姿勢が印象的。

  基礎的すぎると感じる人もいるかもしれないが、ピケティの思想の概要を掴むには良い本だろう。「21世紀の資本」自体にはまだ手が出せないので。。

 

【オススメ度】

 ★★★☆☆

 

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