毎日一冊! Kennie の読書日記

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魔女の大暗号

 暗号解析が軍事・政治的に重要な役割を果たしている中世ヨーロッパ風世界のファンタジー小説です。暗号の技術的な話が面白く、後半には暗号がストーリーに深く関わる鍵となり、スリリングな展開が続きます。是非とも続編が読みたいと思わされる話でした。

 

【作者】

 八槻翔

 

【あらすじ・概要】

 シャリエッテ帝国が誇る暗号解読局ブラックチェンバーの主任のエンリケーテはその卓越した能力から「魔女」と呼ばれていた。

 皇帝からエンリケーテの護衛を任ぜられた 鬼助は、当初エンリケーテから疑われ疎まれていたが、その真面目な性格と暗号解析のセンスを認められ、徐々に信頼を得ていく。

 エンリケーテは、シャリエッテ帝国に出入りする暗号文書を検閲する業務に携わりながら、極めて強度の高い「魔女の大暗号」の開発を行っていた。シャリエッテ帝国の皇族である叔母ルナシールに「魔女の大暗号」のコードブックを渡したあと、エンリケーテたちは大きな陰謀に巻き込まれる。

 エンリケーテたちを陥れようとする黒幕はだれなのか。鬼助たちと共に頭脳戦に挑む。

 

【感想・考察】

 古典的な暗号の話が面白い。最初に鬼助に出された換字式暗号の頻度分析あたりは「踊る人形」あたりの古典ミステリでも出てきて馴染みはあるが、頻度分析を避けるため高頻度の文字に複数のコードを割り当てるホモフォニックや、ノイズとなる冗字のような技術は興味深い。

 近年の暗号では計算機のマシンパワーを駆使しているため、理論は理解できても生身では解けないが、ベースとなる考え方を知るのは楽しい。

 ストーリーはやや中途半端なところで終わっているので、続編に期待したい。

 

【オススメ度】

 ★★★★☆

 

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