マツリカ・マジョルカ
作者】
相沢沙呼
【あらすじ・概要】
周囲に溶け込むことができない男子高校生、柴山祐希が、学校隣の廃ビルに住む女子高生マツリカと出会い、
学園で起こる事件を解いてく4編の連作短編集。(直接的には)人が死なない日常系ミステリ。
1.原始人ランナウェイ
学校に「雄たけびを上げ原始人が走り回る」というコミカルな怪談が伝わる。
マツリカに「原始人」の調査をさせられていた柴山は、花の落とし物を拾った同級生の小西さんと会い、一緒に落とし主を探す。
その花は誰が何の意図で置いたのか。原始人の怪談の起源は何だったのか?
マツリカは柴山の話から真相にたどり着く。
2.幽鬼的テレスコープ
柴山は小西さんに誘われ、肝試しに参加する。
男に襲われ片目を抉られた女性の幽霊が出るという山中を男女ペアで歩く。
参加者が戻った後、何故か納めるべき札が1枚足りず、また「脅かし役」がいない筈のところで幽霊が目撃されていた。
3.いたずらディスガイズ
文化祭の当日、クラスに溶け込めない柴山はマツリカに「ゴキブリ男」の調査を命じられる。クラスで運営しているカフェで待機している時、隣のクラスの演劇で使われるアリスの衣装がなくなる。 柴山がアリスの衣装を着た女性を見つけるが、彼女は消え衣装だけが残された。
マツリカの命令に背いた柴山だったが、マツリカの力を借り真相を知る。
4.さよならメランコリア
普段学校に通ってはいないマツリカだが、どうやら高校3年生らしく卒業を迎えようとしていた。マツリカに振り回されながらも充実した時を送っていた柴山は寂しさを感じる。
柴山は「姉の部屋にある卒業アルバムで、姉の写真だけが切り取られていたのはなぜか」という謎をマツリカに投げかける。
短編集を通しての謎、柴山の苦しみに迫る。
【感想・考察】
相沢氏の作品は明るくポップな文体だが、コミュニケーションに苦しむ少年少女の内面や、イジメの被害者側・加害者側の思いなどを生々しく描いている。
ちょっと弱っちい感じの男子がワトソン役、ツンデレ系の女子がホームズ役というのも ライトノベル系ミステリによくある組み合わせだ。だが、疎外感に悩む柴山の暗さが霞むほど、マツリカの闇の深さは圧倒的で、二人の関係のバランスから目が離せない。
あとこの作者は相当の「太もも」フェチだな。