毎日一冊! Kennie の読書日記

面白い本をガンガン紹介していきます!!

あなたを天才にするスマートノート

【作者】

  岡田 斗司夫

 

【あらすじ・概要】

 「スマートノート」を付けることにより、楽に「天才」になる方法を指南する。

 

 まず岡田氏の「天才」の定義づけは「発想力・表現力・論理力、が高く、それが主体性を持った人格の中にまとまっている状態」であるとしている。

・発想力と論理力を兼ねそなえると「改革者」、「やり手」となり 、ホリエモンなどをイメージしている。

・論理力と表現力を持っていると、いわゆる「頭の良い人」であり、マイケル・サンデル氏や、池上彰氏がこれに当たる。

・発想力と表現力を持つ人は「面白い人」であり、松本人志などを例に挙げている。

・発想力、論理力、表現力 の3つを兼ね備えた人が「天才」であり、釈迦、キリスト、レオナルド・ダヴィンチ、カール・マルクスやスティーブ・ジョブズ氏を挙げている。

この3つを同時に鍛えるのが「スマートノート」だとしている。

 

 「スマートノート」の習熟を7つのフェーズに分けて説明している。

 ①「5行日記」

  とにかくノートに記録する習慣を付けるため、5つの事柄を書き留める。A5がB5版のノートの見開き右ページだけを使い、1日5行で名詞と動詞だけで書く。左ページは空けておくか、メモ書きがあれば描いても良い。書きたくないこと書く必要はないがウソは書かない。書いたことh忘れて良い。

 

 ②「行動採点」

  フェーズ1の5行日記を苦もなくかけるようになったら、それぞの行動を0点〜5点の5段階で評価する。これは「レコーディング・ダイエット」と同じで、記録し評価することで、自分が「不快」と感じることを避けるようになる「無意識」の力をりようするもの。

 

 ③「毎日一見開き」

  フェーズ2までで書くことに慣れ、5行で収まらなくなってきたら、B5版のノートの見開き2ページを使って書くようにする。右ページには自分の感じたこと、考えたことを言語描いて書いていく。例えば「あるテレビ番組が面白かった」ならば、何故面白かったのか、では何をどうすればいいのか、と行った論理を掘り下げていく。

 論理の広げ方は「上下左右」という考え方を示している。下方向は「何故そうなったのか」をいくつかの階層に掘り下げて考えていく。上方向は「だからどうなのか」と、解決策などを考えていく。左右水平方向は時間の流れを意識し、左方向には「昔はどうだったか」を追いかけ、右方向には「今、同じような事例はないか」を書き込んでいく。最終的に「今、自分はこう考える」という結論を出す。

 練習なので、間違っていても稚拙でも「自分なりの結論」を出すことに意味がある。

 空いている左ページは、右ページの続きとして使ったり、まとめに使ったり、「面白いこと」を書くのにつかたり、誰かとコミニュケーションするときのホワイトボードとして使ったりすることを想定している。

 「面白い」の具体例として、「自分の失敗」、「的確なたとえ話」、「上手な抽象化」、「単純なギャグ・ダジャレ」、「イラスト化」、「キャラ化」を挙げている。

 

 ④「見せてお話し」

  ノートに書いた内容を誰彼構わずに話しかける。考えてことは話し、相談に積極的に乗っていく。 

 

 ⑤「臨界突破」

 この段階では具体的に何か新しいことをする訳ではなく、フェーズ4までを繰り返すうちに閾値を超え、「分かった」感じを味わうことを言う。無駄を許容し、収穫を高めるために脳内の土壌を整えるイメージ、武道の修行をするイメージで進めていく。

 

 ⑥「知識→教養→見識」

  「知識」は世の中の情報を自分のフィルターを通してみたもの。ここに取り込んだ「知識」をどのように解釈するのかという「人格」を加えて、「教養」となっていく。「知識」の重み付け、遠近法を持った体系観が伴う。さらに「私は」という自分の立場を明確にした上での「判断」を加えたものが「見識」となっていく。

 正解出なくても構わない、途中でも構わないから、主体性を持って「自分はこうする」と発信していくことが重要。

 

 ⑦「世に出る」

 フェーズ6までの成果を、ブログなどで世に発信していく。現実世界・電脳世界・脳内世界の繋がるポイントで「世界の解釈」を行っていく。

 

 電子書籍版では以上の内容に加え、勝間和代氏との対談が追加されている。

 

【感想・考察】

 非常に論理的に書かれていて読みやすい。作者なりの考えが色濃く出ていることで「面白さ」を感じるのは、まさに本文でいっていることを実現している。「レコーディング・ダイエット」でもあったが、継続しモチベ=ションを保ち続けることの難しさの理解と、人間の弱さの理解がある。

 紙のノートを使うことを強く推奨している勉強法、能力開発法は多いが、ノートを持ち歩き、色々な場所で書くというのは意外とハードルが高い。手書きの自由度と電子デバイスの使いやすさを兼ねた方法を考えたい。

 

1分間ピケティ 「21位世紀の資本論」を理解する77の理論

【作者】

 西村 克己

 

【あらすじ・概要】

 トマ・ピケティの著書「21世紀の資本論」を77のポイントに絞って説明した本。

 

・資本主義は民主主義ではない

 ピケティは原則として資本主義に賛成の立場だが、資本主義は民主的な仕組みではなく、放置すると富は集中してしまうので、意図的な所得の再分配が不可欠だという立場で「21世紀の資本論」を著している。

 

・「トリクルダウン」は起こらない

 資本主義の理論では、富裕層のお金が、徐々に中間層・下位層に巡る「トリクルダウン」という考え方があり、政府が介入するよりも自然に任せた方が健全だ、という流れがある。しかしながら、ピケティの分析では「トリクルダウン」による自然な富の再分配は観察されないとした。ここ数十年での格差の縮小は、戦争によって資本家への打撃があった時だけだとする。

 

・資本収益率が経済成長率を上回り続けている

 資本収益率(Return on Capital)が経済成長率(Economic Growth)を上回り続けていることを「r>g」 と表現した。労働による経済成長率は、一時的な急成長はあっても1.5%程度に落ち着くが、資本収益率は ここ数十年の間 4~5%程度 で推移している。自分で働くよりも、お金を使って投資した方が儲かるので、資本を持つ者により資本が集中していく。更に大きな資本の方が大きな収益を上げられることも、資本の集中に拍車をかけている。

 

・技能が技術革新を上回れば、労働所得は増えていくが、オペレーション的な仕事は最低賃金近くまで落ち込んでいく。技能を高めるための高等教育が引き続き大事。ただ、企業の経営層などが実績に関わらず、不透明な状況で高給を得ているような状況では、技能の取得に対するモチベーションが落ちかねず、民主主義の根幹に関わるとしている。

 

・格差縮小のためには、「累進課税」と「資本に対する課税」が必要

 累進課税の最高税率は下がる傾向にあるが、格差縮小のための手段としては最も効果的とする。また、収入に対する課税だけでなく、「保有する資本の規模」に応じた課税が必要だとするが、タックスヘイブンなど抜け穴があっては効果がないので、全世界が協調して取り組む必要があるとしている。

 

【感想・考察】

 資本収益率が経済成長率を上回り続けていることにより、資本の集中が進むと考えると地道に働くことがバカバカしくなってしまう。

 最近の日本でも、所得の再分配よりは高所得者を優遇し、経済全体を活性化させることを目指しているが、中間層の下位層への落ち込みが進み、下位層の生活はさらに苦しくなっていく。とはいえ社会主義的なラジカルさで富の保有を否定してしまうと、経済成長自体が阻害されることも実際に起こっている。

 「所得への課税」で累進課税の傾斜を大きくしすぎると、所得を増やすことへのモチベーションが下がるので、ピケティの言うように「資本への課税」を大胆に行っていくことで、所得の再分配が可能になるのだと思う。

 政治・経済的に実行力を持っているのは、「資本を持つ」層であることを考えると、そこに踏み込むのは相当に難しいが、共産主義者が掲げたような「武力闘争による革命」は、その後の政治体制構築を考えても、弊害の方が大きいのは間違いない。

 中間層・下位層が、主体的な行動をしていくこと、富裕層が持続的な社会の幸福維持の為に積極的に貢献していくことが必要で、そこへ導いていくことができるようなストーリーが必要なのだろう。

 

伝説のプレゼンターへの道!

【作者】

 三谷 宏治

 

【あらすじ・概要】

 BCG、アクセンチュアといったコンサルティングを経て、現在は金沢工業大学虎ノ門大学院の教授として、子供・親向けのセミナーを手がける著者による、プレゼンテーション技術についての本。

 BCG時代、プレゼンが苦手だった著者が学んで行った方法から説明。

 ・読んで分かるだけではなく、聴いて分かるよう話してみる。

 ・最初は脚本を作り丸暗記するつもりで。徐々にポイントだけをメモるようになる。

 ・アウトライン機能を使い、まずはプレゼンテーションの構造を考える。

 ・フォントサイズ縛り(ミニマム18ポイント)で1行30時前後におさめる。

 ・編集性の高いデータとする。他の誰かに編集されることを想定する。

 ・アニメーションの使い方は各スライドで統一する。図はフェード、文字はダウンなど。「ここぞ!」という箇所でタメを作るために違うアニメーションを使うのはいい。

 ・「場」の支配が大事。掴みの技術を身につける。バラバラの期待をコントロールする必要もある。

 ・声の影響は大きい。倍音を響かせるような話し方で「通る声」を心掛ける。

 

【感想・考察】

 Power Point の使い方から通る声を出す方法まで、極めて具体的な説明が盛りだくさんで、実践的に役立つ本。短い本だが内容が詰まっていた。

 

甦る殺人者 ー天久鷹央の事件カルテー

【作者】

 知念 実希人

 

【あらすじ・概要】

 連続殺人犯が現場に残したDNAを調べると、ある男性と兄弟の関係にある人物だと判定された。しかしながら、その男性の唯一の兄弟は4年前にすでに死亡していた。その死亡確認を行った鷹央に警察の確認が来たことで事件に関わっていく。

 亡くなった兄の遺体は、母親が当時入信していた「死者をも蘇らせる」という宗教団体に引き取られたことが判明する。鷹央は、死亡診断のミス、患者のすり替えなど、あらゆる可能性を考えるが、犯人に至ることができない。

 快楽殺人者である犯人による「次の犯行」がいつ行われるか分からず、死亡判定のミスの可能性も考える鷹央は、強い責任を感じ憔悴していく。

 

【感想・考察】

 知念氏の作品にはいくつかのラインがあるが、この天久鷹央シリーズが最もラノベよりだろう。キャラクタ同士の掛け合いなど軽い要素も多く、気軽に読める。それでも初期作品と比べると「犯人が犯行に至った過程」や「鷹央自身が抱く自分の能力への不安」など、内容が重めになっている気はする。非常に完成度が高い作品だと感じた。

 

凡人を達人に変える77の心得

【作者】

 野村 克也

 

【あらすじ・概要】

 野村克也氏が、野球選手・監督として成功するにあたって大事だと考えていた心得を77あげている。

印象に残ったのは以下の項目。

・「テーマのない努力」は無駄になる

 努力そのものを目的にしても結果は出ない。「練習の過程で成長のヒントを見つける」ことを意識し、漫然と繰り返すのではなく、頭を使っていく。

 

・夢の実現のために「現実主義者」になれ

 野村氏はテスト生としてプロ野球に入団したが、憧れていた巨人ではなく「同年代で活躍しているキャッチャーがいないこと」を条件に希望球団を選んだ。現実的な戦略から糸口を掴み、大きな成功につなげている、

 

・「小事を大切にする」精神を持つ

 成功する人とできない人の差は小さい。細かいことに気がつけるかどうかが重要。

 

・不器用は器用に勝る

 才能があり簡単にある程度のレベルに到達してしまう器用な人もいるが、不器用であるからこそ克服のために、頭を使い努力を重ねることで最終的には器用な人間を追い越すことも良くある。

 

【感想・考察】

 データを重視し、弱点を克服し、上手くいかない人をすくい上げ、チームをまとめた監督として名を馳せた野村氏らしい著作。野球をベースに語っているので一般社会で全て当てはまるわけではないが、野村氏の哲学には共感できることが多い。また野村氏はチームを導くため「伝える方法」を徹底的に学んだと述べている。この本を読むと非常に分かりやすく、氏の努力・創意工夫が活きているのだと実感した。 

 

「憲法改正」の真実

【作者】

 樋口 陽一・小林 節

 

【あらすじ・概要】

 憲法改正について、「護憲派」の法学博士である樋口陽一 と「改憲推進派」でありながら、「現状での憲法改正には反対」とする 小林節 博士との対談形式で語られる本。

 護憲派と改憲推進派の対談の形式をとっているが、現状では両氏ともに自民党が作成した改定憲法草案には反対の立場。

 「憲法は個人の天賦の権利を守り、権力者を制限することが目的」であり、「立憲主義」の歴史の中で育まれた人類の財産であるとに認識で、自民党の草案は「国民の権利を義務と組み合わせで認められるもの」とし、「権力者が恣意的に執行できる権力の範囲を拡大」するものだと見て反対の立場をとっている。

 樋口氏は明治憲法もよく考えられた良い憲法であり、当時の政治家も「立憲主義」を守るために最大限の努力をしていたとみている。1933年ごろ美濃部氏の天皇機関説が否定され、天皇の統帥権を傘に軍部が立憲主義を踏みにじった時期からの十数年間に政治がおかしくなったとしている。一方で現在の自民党で主要な位置を占める二世、三世の議員は、この十数年間に郷愁を覚え、当時の政治体制を再現したがっているとする。

 「家族」、「伝統」、「和」といった道徳を法に組み込もうとすることの危険性についても述べている。道徳を論拠とすることで反論を封じられる危険性に言及している。

 自民党は「緊急事態条項」を受け入れられやすい内容として、先に組み込もうとしているが、為政者の制限を大幅に取り払うこの部分はむしろ本丸ではないかと見ている。立法権と行政権の分離は近代政治の重要な要素だが、ここが損じられるとしている。

 また9条の改変について、樋口氏は「日本を戦争から遠ざけるために実質的に役に立っている」としている。小林氏は9条の改変自体は賛成の立場だが、個別的自衛権に限ることを明確に述べ、政府の暴走を防ぐことに意義があるとしてる。また、現状の自民党政権の行動を見ていると、この状況で変えるべきではないと判断している。

 すでに自民党は憲法を無視する動きに入っていて、「静かなるクーデター」だとしている。これはワイマール憲法を静かに覆したヒットラーと同じだと断じる。

 国民には「知る権利」があるのと同時に「知る義務」もあり、現在どのようなことが行われているのか知る義務があり、法学者は知らせる義務があると考えている。

 

【感想・考察】

 自民党の憲法草案が、「為政者の制限を軽くしようとしている」、「個人の人権を公益を前提としたものに格下げしている」、「法律に道徳による善悪を持ち込もうとしている」部分には気持ちの悪さを感じる。

 一方で樋口氏のロジックは、「改憲はとんでもない悪」だという前提で述べられており、では「現状よりもっと良くしていくためには何ができるのか」という観点が薄く残念に思った。

 日本国憲法は非常に良い憲法だと確信している。しかし、基本哲学を打ち出すだけではなく、具体的なプロセスまで踏み込んで定めている「法」である以上、現実の社会状況の変化に対し硬直的でありすぎるのは不便だとも思う。「天賦の権利として個人の人権を尊重する」、「三権は分立し制限を受けるべき」、「戦争の放棄」といった骨格部分は極力「硬く」しながら、その下の「法律」で、もう少し「柔らかく」運用することが必要なのかもしれない。

 

財布はいますぐ捨てなさい

【作者】

 金川 顕教

 

【あらすじ・概要】

  ものごとを成し遂げるためには、「なにをするか」よりも「なにをしないか」が大事だとする。

・「成功の方法を知る」よりも「成功の確信を高める」ことが大事だと言う。

・今の環境から新しい環境へ思い切って主軸を移さないと、中途半端に終わる。人には現状維持の引力が強くかかる。

・プライベートな時間に何をするかが大事。まずは、なんとなく過ごしている時間を減らし、夢の実現のために集中するべきとする。

・決断すると精神の力を消費する。自分の中に基準を作り、自動的に判断できるようにしておく。自分がしなくても良いことは極力外出ししていく。

 

【感想・考察】

 「財布はいますぐ捨てなさい」というタイトルはキャッチーだが、実際に財布についての話はあまりない。「現金主義よりカードの方がリスクが低いし、ポイントも貯まるよ」 という程度の内容だった。それよりも、何かを成し遂げるためには集中が必要で、そのためには人間関係も含め無駄なものは容赦無く切り捨てる強さが必要だという姿勢が、メッセージとして伝わって来る。ただ内容的にはオリジナリティーはなく敢えて時間をかけて読むほどの本ではないと感じた。

 

 

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