毎日一冊! Kennie の読書日記

面白い本をガンガン紹介していきます!!

お父さんのバックドロップ

4つの父と子の物語です。

「親も中身は結構がきんちょだ」

と理解するとき、子供は大人になるのかもしれません。

 

【タイトル】

お父さんのバックドロップ

 

【作者】

中島らも

 

【あらすじ・概要】

子供視点から父親を描く4つの短編集。

 

お父さんのバックドロップ

下田くんのお父さんは「悪役プロレスラー下田牛之助」だった。

息子のカズオは、オリンピック出場経験もあるレスラーだった父が

「真剣勝負を逃れ役割に安住している父は尊敬できない」と言った。

 

牛之助は事務所も通さず「熊殺し」の異名を取る空手家に戦いを挑む。

 

お父さんのカッパ落語

仁の父は、売れない落語家 来福亭バッタだった。

父は全てのことを「シャレ」として

面白おかしく流してしまうところがあった。

 

ある日父は、師匠の来福亭トンボから

落語家は諦めるよう諭される。

父は「お笑い新人賞」が取れなければ諦めるといい

その日から「シャレ」の仮面を脱ぎ去った真剣勝負が始まる。

 

お父さんのペット戦争

田中セミ丸はクラスメートの鈴木馬之助とペットの珍しさを競っていた。

それはかつて名前の平凡さで苦しんでいたお互いの父、

田中一郎と鈴木太郎の代理戦争の様相をみせる。

魚市場で働く一郎と動物園で働く太郎の戦いはエスカレートしていく。

 

お父さんのロックンロール

テレビの番組制作に携わる 小筆の父は風変わりな男だった。

小筆の先生が家庭訪問に来ると聞き、

父はパンクロッカーの仮装で先生を迎えることを計画する。

もんじゃ焼き屋のばあちゃんに相談した小筆は対抗策を練っていく。

 

【感想・考察】

子供以上に子供っぽく、感情的で、少し情けない父たちだ。

 

子供たちは、そんな親の姿に失望することで

そこに反発しながら自我を強めていくのだろう。

 

一方で、その前提に確かな信頼関係があって

子供の中に「親は情けない奴だけどやっぱり好き」という思いが残れば

「自他の弱さを許容できる懐の広さ」が子供の中に育つのかもしれない。

 

本書に出てくるようなチャーミングな父親たちに育てられた子供は

やっぱりチャーミングに育つのだろうなと思う。

 

 

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