健康の結論
「予防できる病気は予防しよう」という本でした。
ホリエモンの「超現実主義的」な部分が良い方向に出ています。
【作者】
堀江貴文
【あらすじ・概要】
「防げる死は防ぐ」という考えの元、予防医学を語る。
メンタル管理と自殺予防
・日本は先進国でも自殺率が高い
10代では10人に一人は自傷経験がある。
・死への一線を越えさせる3要素
①所属感の衰弱:自分は必要とされていないという感覚
②負担感の知覚:自分は迷惑をかけているという感覚
③自殺潜在能力:被暴力など、自己破壊への障壁の低さ
・メンヘラとの付き合い方
自分だけで受け止めようとしない。
できること、できないことを明確にし、
第3者(精神保健センター等)に助力を求める。
心臓突然死を防ぐ
・急な心停止で救急隊を待つと生存率が下がる
救急隊を待つと生存率9.2%程度だが、
AEDを使えれば半数以上は助かる。
・AEDは60万台あるが、使い方が周知されていない
AEDの使い方、例え助けられなくても救助者の責任にならないことを
周知していく必要がある。
・安価なAEDの量産
日本のAEDは60万円以上する高価なものが多いが、
使い捨てとしバッテリー性能を落とせば安価になる。
たいてい徒歩圏内にあるコンビニなどに設置をすれば
「どこに行けばAEDがあるか」ということが周知される。
がんの予防
・日本では感染症由来のがんが多い
胃がんはほぼピロリ菌が原因。
肝臓がんも大多数は肝炎ウイルスが原因。
除菌やワクチンで、高確率で防止できるがんは防止すべき。
・大腸がんは初期であれば勝ち目がある
大腸がんは検診で見つけやすく、切除後の予後もよい。
ポリープの段階で切除できれば、がん化しない。
・日本のがん検診受診率は低い
日本でのがん検診受診率は20%~30%と低い。
国策としても、個人の意識としても予防にシフトすべき。
脳血管疾患を防ぐ
・脳卒中での死者は減ったが患者数は増加
死なずにすんでも、後遺症が残るとQOLが下がる。
・脳梗塞は4~6時間で治療できれば助かる
アテローム血栓性脳梗塞、ラクナ梗塞、心原性脳塞栓症など
虚血性の脳梗塞は、4~6時間以内に血栓を溶かす薬を
投与できれば高確率で助かる。
・初期症状を見逃さない
頭痛、手足のしびれ、視覚異常、言葉の異常などが見られたら
症状が治まっても検査をすべき。
・脳卒中になりやすい人
高血圧、糖尿病、高脂血症、心疾患、喫煙 などがリスク要因。
HPVを防ぐ
・HPVはごくありふれている
女性の子宮頸がんだけでなく、男性の咽頭がんなどの原因にもなる。
・ワクチンで発症リスクを70%下げられる
日本では副反応問題で接種が推奨されていないが効果は高い。
・望まない妊娠を防ぐアフターピル
アフターピルで、事後であっても80%の確率で防げる。
感染症防止のため、コンドームが望ましいが、
選択肢としてアフターピルも考慮すべき。
歯周病を防ぐ
・歯周病菌は脳卒中や心筋梗塞の原因になる
歯周ポケットの歯周病菌は毛細血管から血流にのる。
・定期的なクリーニング
最低でも半年に一度は歯科でクリーニングが必要。
【感想・考察】
健康食品や運動習慣など、人によって状況が異なり、
効果を測定するのが難しい健康法ではなく、
純粋な医療行為で「知っていれば防げる死を防ぐ」というコンセプト。
ホリエモンの、徹底した現実主義・実利主義は、
その裏側にいる人たちを傷つけることが多い。
ただ、健康に関しては諸説が乱れて分かりにくく
明快な基準を示すことのメリットが大きいと思う。
「知っていれば高確率で防げる」ポイントだけを伝える本書は
スタンスが明確で良いと思う。