体育館の殺人
【作者】
青崎 有吾
【あらすじ・概要】
高校を舞台とした殺人事件。体育館で放送部部長が殺された。外部につながる扉は全て施錠され、渡り廊下につながる出口には常に人目があったため密室での殺人であった。語り部となる卓球部1年生の柚乃は嫌疑をかけられた先輩の佐川を救うため、ダメ人間高校生である裏染伝馬に解決を依頼する。
現場に残された一本の傘を鍵に謎を解き明かしていく。
【感想・考察】
オタクで怠惰でコミュ障である高校生探偵のキャラクタが強烈だが、内容はラノベ的ではなく本格推理。全ての材料を示した後に「読者への挑戦」を挟んでおり、純粋に謎の推理を楽しませる。途中で読み返しすべての伏線を拾いなおしたミステリは久しぶりだった。一度目には気付かなかった伏線に2週目で気付いたときは快感で、こういう感じがミステリの醍醐味なのだと改めて感じた。
ミステリ作家いうのは、冊数を重ねるごとに心理描写や社会問題の提起などテーマ性を高め文学作品に近づいていく傾向が強いが、こういう純粋なミステリももっと読みたいと思う。