毎日一冊! Kennie の読書日記

面白い本をガンガン紹介していきます!!

『NHK「100分de名著」ブックス 荘子』 玄侑 宗久

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タイトル : NHK「100分de名著」ブックス 荘子

作者   : 玄侑 宗久

オススメ度

 分かりやすさ   ★★★★

 清々しさ     ★★★

 有用性      ☆☆

 総合オススメ度  ★★

 

完全な受け身こそが自由。無為こそが純粋な生命。

 

要約

  • 「荘子」 について

荘子という人物は紀元前4世紀後半の中国の思想家。老子の思想を継承発展させたという側面が大きい。『荘子』という書物では寓話を中心に思想を語る。

 

  • 「道」とは何か

老子は「万物に先んじる混沌とした非存在」を「道(タオ)」と呼ぶ。 荘子はこれを「攖寧」とし、万物と触れ合いながら自らは安らかでいることとした。

 

  • 「効率を求めること」は恥ずかしい

 水をくむのに苦労している老人に「ハネツルベ」という便利な道具があることを伝えた。老人は「機械(からくり)を使うと、機事(からくりこと)をするようになり、機心(からくりこころ)を巡らすことになる。そうすると心の純白さがなくなり、精神ももちまえの働きも安定しなくなり、道を踏み外すことになる。ハネツルベを知らないわけではないが、恥ずかしいから使わないのだ」と言った。

 

  • 「アピールしないこと」が徳である

「和して唱えず」という在り方を勧める。「自己主張」は人為的で賢しらであり、ただ相手に同調するのが良いとする。相手の言葉も頼りなく曖昧なものなので、突き詰めればどっちだってよい。

どんなに素晴らしいことであっても、意識的であってはいけない。意識的であるということは既に己であり、功名心に通じ本来の性から離れてしまう。

 

  • 「受け身」こそが最強の主体性

完全に受け身に徹し「外界の変化をすべて受け入れられる柔軟さを持つ」ことが、「最も強い主体性」 に繋がると説く。

 

  • 老荘思想と仏教・禅

1世紀ごろ中国に仏教が伝わったが、儒教優位の時代には浸透しなかった。その後、3〜5世紀ごろ、老荘思想の影響が強くなった時代に仏教も受け入れられる。仏教思想の「空」を老荘思想の「無」になぞらえるなど、老荘思想と仏教は親和性が高かった。

自分をなくす無我の境地で智慧が生まれるという禅の思想も、「受け身でこそ主体性が生まれる」という老荘思想に繋がっている。

 

  • 理想は「何も待たない」

どんな変化にも従うということは「特定の何かを待たない」ということ。 何かを期待して待つことなく、原因との縁によって「もちまえ」が発揮されるのが素晴らしいとする。仏教の「縁起」に近い考え。

 

  • 分かるとは忘れること

 「不測に立ちて無有に遊ぶ」という言葉を紹介し「どうなるか分からない状況で、意識せずに時間や空間に縛られずに遊ぶ」ことを説く。

牛刀捌きが巧みな調理人の寓話で「練習を重ねることで考えることなく自然の摂理に従うだけで、牛刀は適切なところを切り出すようになった」と伝え、無意識であることの重要性を伝える。考えることを忘れるほどの反復練習が大事で、理屈を忘れたときに身についたと言える。

 

  • 役立たずが役に立つ

 建築材として役に立たない木が、役に立たないからこそ誰にも着られることなく大木に成長したという寓話で「無用の用」を説く。本来のもちまえを活かし、大きなものになるためには「無為」であることが重要だとする。

 

  • 「もちまえ」とは何か

「性(もちまえ)」とは 持って生まれた自然の性質。仁義や是非、美醜などは当てにならない。もちまえを活かすことが本来のエネルギーを出すことに繋がる。

 

  • 万物斉同

すべてのものは「無」である 「道」から生まれいる。すべてが「無」であるから、全ては斉しい(ひとしい)ということだとする。現世レベルの対立や差別は不要で、差別を超えた自然の立場で和することを願った。

 

  • 胡蝶の夢

荘子は万物を区別しないのと同じく、生と死も「大きな変化の流れ」として区別しない立場をとった。 「胡蝶の夢」の寓話で「自分が蝶になった夢を見たのか、今の自分が蝶の見ている夢なのか分からない」という考え方を提示し、今の自分の生も確実なものではなく、見方によって現実は変わることを示した。

 

 

感想・考察

「効率を追うのは恥ずかしい」という「ハネツルベ」の話が出てくる。そもそも「目的」を設定することも、そのために「効率」を考えることも、賢しらで自然から外れた行為であり、創造性を阻害し本来の自主性から遠ざかっていると荘子は考えている。

昨今のビジネス書などでは「目的設定が大事」だとか、それを「行動目標落とし込んでPDCAを回しながら実践しよう」とか、あるいは「長時間木を切るより、ノコギリを研ぐことに時間をかけよう」とか、荘子の言葉とは相反するアドバイスが溢れている。

こういった指摘は、合理的に考えれば「その通りだよなぁ」と思わされるが、どこかに「ケツの座りの悪さ」を感じるのは、自分にも「老荘」的な思想が腹の底にあるからかもしれない。

自分自身は日本に生まれ育ち、中国で数年間暮らし、今はヨーロッパで暮らしている。日本と中国は道徳観などがとても近いと感じたが、ヨーロッパでは違う部分が目立つ気がする。

長期休暇を存分にとったり、残業は少なかったりするドイツやオランダが、ブラックな働き方が加速している日本より、一人当たりGDPなどの指標で上回っているのを見ると「木を切る前にノコギリを研ぐ」効率への意識が大事かなとは思う。だが、一歩進めて皆が効率化を極めたあとの世界を想像すると、殺伐としたイメージしかわかない。

 

個人レベルで考えると実践するのは困難な老荘の思想だが、「現実世界と折り合いをつける生き方」から視野を広げてみるのは面白い。

 

 

 

『余命10年』 小坂流加

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タイトル : 余命10年

作者   : 小坂流加

オススメ度

 20代女子度    ★★★★

 恋愛度      ★☆

 泣ける度     ★★☆

 総合オススメ度  ★☆

 

誰にもあと10年生きられる保証はない。今日を大事に生きようと思えました。

 

あらすじ・概要

 

20歳の茉莉は数万人に一人の難病にかかり、「この病気に治療法はなく、10年以上生きた人はいない」と伝えられる。2年間の入院闘病生活ののち、自宅に戻るが常に「余命10年」のタイムリミットを意識しながらの生活となる。

 

中学時代の同級生の沙苗に、アニメのコスプレ・同人誌販売を進められ、以前からの夢だった漫画に再挑戦をしてみたり、

優しい姉、桔梗ちゃんの結婚を心から喜びながら、変わっていく家族に寂しさを覚えたり、

小学校時代、仲が良かったのにイジメから救えなかった美幸に謝りに行ったり、

短大時代の友人たちの微妙なチャラさに苛立ったり、

小学校の同窓会でであった和人に告白され、時間をかけて恋に落ち、お互いを支え合う存在となったりしていく。

 

そして命の終わりに、茉莉は自分の選択で人生を作り上げていく。

 

感想・考察

「自分の幸せを実感できる楽しいことを見つける」

「自分の居場所を見つける」

10年の寿命の中で茉莉が追い求めたものはこの二つだと思う。

 

小学校から短大時代までの友人、恋人、家族との人間関係を大切に扱い、「漫画を描きたい」という夢をギリギリまで追い求めた。

命の限りが見えたから茉莉は精いっぱい生きたのかもしれないが、自分のことを考えても後10年生きられる保証など実はどこにもない。今この時間を大事にしたいと思わされる。

 

作者自身も若くして亡くなったとのことだ。

友達関係や恋愛の始まりなど、とりとめのないバラバラとした描写が、かえって20代女子のリアリティを感じさせた。また病気で日々弱っていく心と体の描写にも鬼気迫るものを感じた。

泣かせるにくるキレイな小説も好きだが、とりとめのない語り口、まとまりのない粗削りさがリアルを感じさせ、読者の心を動かす本だ。

ちょっと長くて途中ダレるが、最後まで読み切るとその意味が伝わってくる。

 

 

『持たない幸福論 働きたくない、家族を作らない、お金に縛られない』 pha

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タイトル :持たない幸福論 働きたくない、家族を作らない、お金に縛られない

作者   :pha

オススメ度

 役立ち度      ★☆

 斬新な視点     ★★★

 緩い生き方度    ★☆

 総合オススメ度   

 

常識は変わる、新しい生き方の実践者!

 

あらすじ・概要

 

  • 働きたくない

ほとんどのことは「暇つぶし」。自分が退屈しない最低限の用事をこなしてい剣ばいいというスタンスもあり。やりたいことだけをやればいい。

人は目的に縛られ、自分が達成したこと、手に入れたものに縛られる。結果よりも過程を重視すればいい。

人間は自分に自由意思があり世界を変化させていると考えたい生きものだが、影響を与える規模は実はどうでもよい。

社会に合わせるうち自分を肯定できない状態に陥ったら、まずは「自分的にも社会的にもNG」な状態に入り、そこから「社会的にはNGだけど自分的にはOK」への移行を目指す。その後で「自分的にも社会的にもOK」な状況に戻れる。

 

  • 家族を作らない

人間は「遺伝子の運び屋」としての生物であるだけでなく、「文化としての遺伝子(ミーム)を広げていく」という方向性もある。自分自身で子供を残すのでなくても文化的なミームを残すことはできる。

「結婚」や「家族」というのは多機能で包括的なパッケージ。恋愛感情、性欲、共同生活、子供や病人、老人の世話や、家が持っている資産や家業の運営管理など、全てを一つのグループでやっていこうという盛りだくさんなシステム。

大半が農家など自営業だった時代には、資産管理や家業継承のため長子単独相続が合理的だったろうし、日本の高度経済成長期などでは「男性が会社で働き、女性が家事や育児を手掛ける」のが合理的だったのかもしれない。

今の社会状況をみると「家族」というシステムに全てを背負わせるのは無理があると著者は見ている。一方で「永続することの安心感」など、流動的な関係性では果たせない機能では「家族」が引き続き必要だともしてる。

 

  • お金に縛られない

生活コストは下げることができる。

家賃などのコストを下げる方法はいくらでもあるし、お金のかからない娯楽もたくさんある。

本来「必要なモノややりたいこと」は個人的なモノだが、「お金」という共通尺度が入ってくるとそのスピードに追い立てられてしまう。ハイスピードで動いていく社会に適応するより、お金以外の論理で動く部分を忘れずに自分のペースを保つことが大切。

 

  • 居場所の作り方

人生でやることの7割くらいは居場所作りなのではないかと著者は言う。

家族や会社などのコミュニティに縛られず複数の場所に顔を出し、自分と合わない人とは適度な距離を取る。そのために人間関係の流動性を保つことを意識する。

自分がコミュニティ主催者になってしまうのが意外と楽。

陽次が無くても気軽に集まれる場所を確保しておく。

 

感想・考察 

作者は

「孤立せず社会とのつながりを持ち続けること」

「自分は何が好きで、何をしている時が一番幸せなのかを把握すること」

の2つが人生において本当に大事なことだ、と言う。そしてこの2つを達成するため、常識に捉われない斬新な考え方を持ち込み、愚直に実践している。

物欲の薄さとか、一見すると「枯れた」感じも醸しているが、「楽しいことを仕事にする」ことや「心地よい居場所を作る」ことに対しては行動的でアグレッシブだ。シェアハウスや別荘などの運営にはそれなりの労力がかかるし、趣味のマネタイズも会社勤めより手間のかかる部分もある。それでも「やりたい」という行動力が見える。

資本主義を次のステージに進めるのは「労働者の団結による闘争」ではなく「消費者の静かな離脱」なのかもしれない。

 

 

『法律事務所×家事手伝い1 不動正義と水沢花梨と最初のスイーツ』 川口世文

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タイトル : 法律事務所×家事手伝い1 不動正義と水沢花梨と最初のスイーツ

作者   : 川口世文

オススメ度

 ミステリ度    ★★☆☆

 ヒーロー度    ★☆

 雑司が谷度    ★★★

 総合オススメ度  ★☆

 

雑司が谷の正義の味方、家事手伝い独身40男のヒロイズム

 

あらすじ・概要

不動正義は父親の法律事務所で調査員として働いていた。継母の連れ子である 水沢花梨とその娘汐里が家に戻り新たな生活が始まった。

二人を迎えるため部屋を片付けていた正義は、不動家祖先の洒落斎が遺した「水蜜六」という地域別旅行ガイドの様な古い文書に興味を持った。

その頃、正義は娘を虐待死させた母親の公判を傍聴し報告するよう、その夫である大庭から依頼を受けていた。裁判傍聴のため立ち寄った川越で「水蜜六」にあった「紅赤丸」が気になり、和菓子店で話を聞くが分からないと言われる。その後、正義は裁判の公判で、その和菓子店の女性店主である初美の姿を見かけた。

正義は初美の主宰する和菓子作り講習会に参加し、裁判の話を聞いた初美は正義に近づこうとし、「紅赤丸」の試作品をもって彼の弁護士事務所に訪れた。

正義に傍聴報告を依頼した大庭は、面倒なことに巻き込まれるのを嫌い情状陳述への協力も拒否した。実子と妻が関わる事件に対してあまりに無責任な正義はいらだつ。

やがて大庭が軽傷を負う事件が起こったが、彼は事故だと主張し丸く収めようとしたが、彼を病院に連れてきた女性が、拘留中の彼の妻の名を記載していたことから、謎が深まっていく。

 

 

感想・考察

謎解きサスペンス+ファミリードラマという感じ。主人公の不動正義が中々癖のあるキャラで面白い。不器用だが自分の人生に責任を持って生きている正義と、全ての面倒から逃避しようとする大庭の対比が際立っている。やっぱり逃げる人生は格好が悪い。

既に10巻以上出ているシリーズで、全て Kindle Unlimitedで読めるようなので、順番に読んでみよう。

 

『1日ひとつだけ、強くなる。』 梅原大吾

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タイトル : 1日ひとつだけ、強くなる。

作者   : 梅原大吾

オススメ度

 格ゲー技術論   ★★★☆

 実用性      ★☆

 勝負諭      ★★☆☆

 総合オススメ度  ★☆

 

俺より強いヤツが多すぎた!

 

あらすじ・概要

プロ・ゲーマーで日本のe-Sportsを先導してきた梅原大吾氏の勝負諭。

 

  • 視点を高くする

勝負は「ポイント」を抑えたものが勝つ。場面ごとの最適解ではなく、対戦全体を見て「ポイント」を見付ける。抑えるべきところを間違えなければ場面ごとで播けても構わない。

上手くいかないから修正していては間に合わない。トッププレイヤーは、上手くいっている時にこそ視点を高く持ち、より良く修正している。

 

  • 感情を支配する

「怒り」の感情が反応速度を上げることはあるが、広く見る視点が飛んでしまい集中力は落ちるので、プレイが荒くなる。「怒り」は勝負プラスにならない。

「相手を支配したい」気持ちが怒りを生む。自分のできることに集中する。苦手な相手にも自分から関り、自分がコントロールするゲームとして楽しむ。

どうにもならないことは受け入れる。

劣勢になったときには、焦ってツッコむより一度引いて体制を整える。

負けるときも、自分の戦い方を貫いての負けであれば次につながる。

 

  • 成長とは変わること

「勝ち」だけを意識する取り組みでは成長できない。長期的には成長を重視する者が強い

人のアドバイスは、とりあえず聞き入れ試してみることに価値がある。正しいかどうかはそれほど重要ではない。「正しいやり方」を積み重ねた先の個人差が「個性」になる。

 

  • 飽きても続ける

一日1つだけ、成長をメモしていく。小さな成長でも良い。2つや3つと増やし、ハードルは上げてはいけない。

どれだけハードルを上げないか」が長く成長を継続するために重要。

「負けないこと」より「成長につながる発見がない」ことの方が怖い。

 

  • 「ここ一番」で勝つ

勝つためには「勝つ根拠」を見付ける。何かあるはずと思って探せば必ずどこかに可能性がある。

 

  • 才能を超える

「成功するかどうか」に関わらずやりたいならやればいい。好きなら不向きでも構わない。むしろ不向きなことへの挑戦は気付きをもたらす。

 

感想・考察

前作の「勝ち続ける意志力」は抽象度の高い勝負諭だったが、本作ではかなり具体的な話になっている。

格闘ゲームに馴染みがない人には伝わりにくいかもしれないが、経験のある人にはすんなりと入ってくる部分があるだろう。

ゲージゼロから春麗の鳳翼扇をブロッキングしたプレイは今見ても素晴らしい。大舞台で、それもギリギリまで追い詰められた状況で、シビアな判定のブロッキングを成功させる意志力はすさまじいと思う。

「えっ!そこで!?」というタイミングで撃つ波動拳は、その場面だけを見る悪手だが、全体局面を考えると、相手に与えるプレッシャーや選択肢を絞らせない効果などで有益となることもあるのは理解できる。

 

私も昔は格闘ゲームが好きだったが、ある程度以上は上達しなかった。

考えるとゲームだけでなく、どんなことでも器用貧乏で、ある程度までの上達は早いが、すぐに成長が頭打ちになってしまう。

「負けることよりも、成長するポイントがない方が良くない」という梅原氏の捉え方は斬新だった。負けないために守りに徹するよりも、その場では負けても変化し続けることが成長につながるのだろう。ゲームの話で説明されるとより深く納得できる。目先の負けを受け入れられないのは「弱さ」だ。

久しぶりにストリートファイターⅣを起動した。

 

 

『すべての知識を「20字」でまとめる 紙1枚!独学法』 浅田すぐる

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タイトル : すべての知識を「20字」でまとめる 紙1枚!独学法

作者   : 浅田すぐる

オススメ度

 役立ち度      

 実践しやすさ    ★★★

 分かりやすさ    

 総合オススメ度   

 

自分の言葉に噛み砕いた理解、アウトプット、他者への貢献を紙一枚にまとめる。超実践的な学習法!

 

あらすじ・概要

  • 学んだことを忘れてしまう理由

「学び」が消費になっているから忘れてしまう。目的を明確化して「投資型」の学習をすることが重要。整理整頓しながら自分の言葉で端的な要約にまとめる。

①目的の明確化

②思考整理

③端的な要約(20文字以内)

を1枚の紙にまとめる「20文字インプット学習法」を提案する。

 

  • アウトプット力を高める学び方

アウトプットとは人に説明できること。人に説明できるレベルまで理解を深める。

分かるためには「What」「Why」「How」の3つの質問を解消することが必要。

①インプット時の要約

② What 何を?

③ Why どうして?

④ How どうやって?

を一枚の紙にまとめる「3Qアウトプット学習法」を提案する。

 

  • なぜ学びを仕事に行かせないのか

売上を一人で上げることは絶対にできない。

「働く」とは「傍(はた)」を「楽」にすること。周囲の他者を助けることが仕事の本質。「自己実現」ではなく「他者貢献」を肝に銘じるべき。

①Who 「誰」のために?

②P/W どんな「問題/願い」を解決するのか。

③PQ その「目的」を達成できる「質問」は何か?

④1P その「質問」の「答え」を一言でいうと?

⑤3Q その「答え」を説明する「3つの疑問詞」

を一枚の紙にまとめる「1枚コントリビューション学習法」を提案する。

 

上記それぞれのフォーマットと具体的な記入例を示し使い方を説明していく。

 

感想・考察 

説明の仕方を解説する本だけあって、流れが明確で分かりやすい。実に説得力がある。考え抜き自分の言葉に噛み砕いた20文字のフレーズは、実にすんなりと頭に入ってくる。

 

具体的な動作にまで落とし込んでいるので、実際の行動につなげやすいのが良い。例えば「徹底的に考え抜く」というのは「一行で言えるレベルまで何度も表現を書き直す」のように「何をするのか」というレベルまで説明が及んでいる。

 

また、仕事の本質は「他者貢献」だという姿勢が徹底している。本書を読んでいても「読む人のため」という視点がぶれず「いかに分かりやすく、具体的な行動につながるような説明ができるか」を意識しいていることが伝わる。

 

是非一読して欲しい本。 

 

 

『街道をゆく 35 オランダ紀行』 司馬遼太郎

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タイトル : 街道をゆく 35 オランダ紀行

作者   : 司馬遼太郎

オススメ度

 役立ち度      ★☆

 読みやすさ     ★★

 面白さ       

 総合オススメ度   

 

日本の古き良き友人、オランダを紹介!

 

あらすじ・概要

鎖国時代、日本にとって唯一の西欧文化の窓口だったオランダ。

自由と自立を尊ぶ質実剛健な国民性や、レンブラントやゴッホなどの芸術家を輩出した背景を、司馬遼太郎氏の筆致で伝える紀行文。

興味を覚えた項目を紹介する。

 

オランダ人はみな英語が上手

母国語を大事にしない訳ではないが、学術書などは英語で書いた方が多くの読者に役立つと考え、名より実を取る。

オランダの英語での正式名称は Netherlandsだが、これは低地という意味のほか、冥界・地底の地獄という意味もあるが気にしていない。

 

世界は神が作ったが、オランダはオランダ人が作った

オランダの国土の大半は海抜以下。堤防と風車で水を防ぎ汲み出してきた。国土は自分たちで作ったものだという自負がある。

 

オランダは商人の国

商品経済が質と量を厳密に

 

レンブラントとゴッホ

レンブラントの時代17世紀の絵画には写実が重視されていた。富裕な人間には肖像画を書かせることがステイタスとなっていたため、画家がビジネスとして成り立っていた。レンブラントは才能溢れる芸術家には珍しく常識的な人間だった。

一方、19世紀後半のゴッホの時代には写真が実用化され写実的である以上の芸術性が絵に求められるようになってきた。ゴッホの生前には彼の絵は全く売れず、人間としても奇矯で実弟に支えられていた。ゴッホの作品を守り死後に評価されるきっかけを作ったのも実弟とその妻だった。

 

オランダのコロッケ

じゃがいもを使いながらクリームのように軟らかく、香ばしく揚げた厚めの皮が美味しい。司馬遼太郎氏曰く、オランダの旅で一番美味しい食べ物だった。

 

やわらかい国境

オランダ・ドイツ・ベルギーの国境は柱状の石柱1本だけだったりする。本書が描かれたのは1980年代と40年ほど前でまだEUはなかったが、この頃から国境を無くそうという動きは始まっていた。あるいはそういう考え方がすでに存在していたと言える。

 

フランダースの犬

日本ではアニメ化されたこともあって有名な話だが、舞台となったベルギーではあまり知られていない。「年端のゆかない子供だったから不幸な状況に流されるしかなかった」という設定が19世紀末のヨーロッパの時代の雰囲気に合わなかったのだろうと分析している。一方日本では「忠犬」という設定が忠義を重んじる傾向が当時はまだあったため受け入れられたのだろうとみている。

 

温暖化対策

国土の大半が海抜以下にあるオランダでは温暖化による海面上昇は死活問題。30年前となる1990年にはすでに率先して二酸化炭素排出制限に取り組んでいた。

 

感想・考察 

オランダ人は自由と自立を大事にする。大麻や売春が合法だったり安楽死が認められていたりと「自分のことは自分で決め自分で責任を取る」という考え方が徹底している。

オランダ人と付き合っていて、相手の生き方に口を出されることはない。アジアの湿っぽさとは対局的だと思う。飲み会での飲酒強要が当然なアジア文化に慣れていると、飲酒を強いることはまずなく、なんなら水でもジュースでも気にしないというオランダの飲み会は超快適だ。

 

華美を嫌う質実剛健さも心地よいが、食べ物はちょっと地味すぎるかもしれない。。

キベリングとかハーリングなど海鮮系は美味しいし、イタリア料理や中東料理の美味しいレストランはたくさんあるが、オランダ料理として特筆するものはないかもしれない。司馬遼太郎氏が「コロッケが一番美味しかった」と言ったのも、まあ理解できる。。

あとは、あるレストランに「めずらしく」美しい女性がいたという描写も相当失礼だが、まあ理解できる。。。

 

今日でこそEUのシェンゲン協定圏では国境を意識することがないが、本書が書かれた30〜40年前でも国境が「やわらかかった」というのは面白い。日本のような島国にいると国境はもう少し固い。島国であるUKはEUに属している時期でもシェンゲン協定から外れ国境を維持していたのも、島国の感覚なのだろう。それでも徐々に国境はやわらかくのだろうなと思う。

 

温暖化対策への取り組みが早かったことも分かった。今日でもその姿勢は明確だ。自転車を徹底して優遇して自動車の数を減らしたり、センサー満載の信号システムで渋滞を回避したりと、取り組みが本気だ。先日もトラクターによるデモがあったが、市民の環境に対する意識も高い。

 

なかなか面白い、学ぶべき点の多い国だと思う。

 

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