勝間和代のビジネス頭を創る7つのフレームワーク力
「成果を出すための考え方や、能力の鍛え方」を語る本です。
きれいに整理された構成や、丁寧な説明で分かりやすい本になっています。
期待を大幅に上回る面白さでした!
【作者】
勝間和代
【あらすじ・概要】
「ビジネス思考力」の定義
勝間氏はビジネス思考力を以下のように定義する。
・ビジネスの場を中心として
・限られた情報と限られた時間の中で
・より適切な推論・判断を行い
・より適切な行動を起こすことで
・より高い付加価値を生み出す能力
無駄なく動いて効率的に儲けることを目指す。
思考の6つの段階
教育学者 ベンジャミン・ブルーム博士の「思考の6段階」をベースとする。
・知識:事実ややり方などを知っている
・理解:内容を解釈、言い換え、推量したりする
・応用:知識を別の状況に移す
・分析:全体の中の部分を見つけたり、区分したりする
・統合:部分を組み合わせ統一された全体をつくる
・評価:情報の価値や使い道を判断する
「空・雨・傘」のフレームワークでいうと、
「空が曇っている」という認識が「知識」と「理解」
「雨が降りそうだ」と推論するところが「応用」と「分析」
「傘を持っていこう」と行動に移すのが「統合」と「評価」
本書では特に「分析」、「統合」、「評価」を伸ばす考え方を紹介している。
ビジネス思考力を鍛えることで得る5つの果実
「ビジネス思考力」をきたえることで、以下のような果実が得られるとする。
・将来予測の可能性が高まる
・リスク管理ができるようになる
・新しい行動がとりやすくなる
・より恵まれた仕事ができる
・無駄な作業を削減できる
7つのフレームワーク力
思考の6段階のうち、上位の「評価」「統合」「分析」に対し、必要となる7つのフレームワーク力を挙げている。対応は下図の通り。
分析のためのフレームワーク力
①論理思考力
MECE(もれなくダブりなく)に項目を捉える。
ピラミッドストラクチャー(ロジックツリー)で整理する。
上記に基づき仮説を立て検討する。
②水平思考力
直観や新しい組み合わせから仮説をイメージする。
「前提を疑う」「見方を変える」「組み合わせを変える」のがポイント。
統合のためのフレームワーク力
③視覚化力
ビジュアライズすることで理解しやすくなり、印象にも残る。
「画像のパワーを使う」「デザインの力を身につける」「文字と画像を組み合わせて使う」のがポイント。
④数字力
画像は多くを伝えられるが、共有した人が同じように内容を理解するのは難しい。一方で数字は厳密な共通認識を持ちやすい。
「数字の意味を知る」-数字の全体感を捉えその意味を把握すること、
「数字に分解する」-分析可能な単位まで数字を分解すること、
「統計を読む」-平均、分散、相関などを理解し、統計の意味を読み取る、
といったことがキーになる。
⑤言語力
言語には曖昧さが多く正確に認識を伝えるのは難しい。
「多くの知識を持ち」、「言葉に落とす習慣をつけ」、「比喩を上手く使う」ことで言語で伝える力は向上する。
評価のためのフレームワーク力
⑥知的体力
知能・心は脳だけではなく、体全体にあるという考え方から、心身ともに健やかにあることが必要だとする。
「身体と頭の関係を理解し」、「健全な精神が健全な発想を生むことを理解し」、「食べ物と知力の関係を理解する」ことを重要なポイントとして挙げる。
⑦偶然力
「予期せぬことを避けるのではなく、利用する力をつけよう」という視点。
「十分に準備することで偶然のチャンスを活かし」、「バラバラの情報から繋がりを見出し」、「批判を素直に受け格好をつけない」ことが大事だという。
【感想・考察】
勝間氏についてほとんど知らなかったのだが、ブログをみて「ガチのガジェットおたく」であることを知り、親近感を覚えた。
本書では、「簡潔に整理された構成」と「観念や方法の丁寧な説明」が組み合わさり、とても分かりやすい。
ビジネス書では頻出の話も多い中で、勝間氏独特の感性が垣間見れる部分もある。特にデザインや言葉の使い方など「相手にイメージを伝える方法」について、よく考えて実践されていると思う。
面白く有益な本だった。
【オススメ度】
★★★★☆