毎日一冊! Kennie の読書日記

面白い本をガンガン紹介していきます!!

『君と時計と雨の雛 第三幕』 綾崎隼

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大切な人たちを、ただ大切にしながら生きて行けたなら。

きっと、それだけで彼女は幸せだったのに。

 

 

タイトル:君と時計と雨の雛 第三幕

作者  :綾崎隼

 SF小説度     ★★★☆☆

 恋愛小説度    ★★★★☆

 ミステリ度    ★★★★

 総合オススメ度  ★★★★☆

 

あらすじ - ネタバレあり

「君と時計と塔の雨」に続くシリーズ第3幕。

10月10日の学園祭当日に「杵上綜士が織原芹愛の死を知る」もしくは「鈴鹿雛美が古将成の死を知る」ことによる「絶望」がタイムリープを引き起こし、リープした人の大切な人が一人いなかったことになってしまう。

前作の最期では、織原芹愛もまたタイムリーパーであることが判明する。芹愛は姉の安奈の死を知ることで絶望し時を遡る。

 

芹愛は小学校時代に、綜士の付いた嘘のせいで孤立してしまったが、高校に入り新たな環境で多くの友人を得て、生まれて初めて幸せな時を送っていた。

ところが10月10日の学園祭の日、綜士から受け取ったものが原因で姉の安奈が死んでしまい、その絶望からタイムリープをしてしまう。

タイムリープを繰り返すうち、一人ずつ大切な友達が消えていき、また以前のような孤独に陥ってしまう。

安奈を守るため対策を練るが、毎回死因が変わってしまい防ぐことができない。なぜか綜士から送られたモノや綜士からの電話など、綜士が原因となることは変わらなかった。

 

雛美がタイムリープの原因について何か隠していると考えた、綜士と先輩の草薙千歳は、雛美の双子の姉 鈴鹿緒美に会いに行き話を聞く。

緒美の話によると5年前の地震のあった夜、父が記憶を失った雛美を緒美だと思い家に連れてきて家族として育て始めたという。

また、タイムリープによって消えた人間のことは、周囲から「5年前からいなかったもの」として認識されるが、何故か緒美だけは、いなくなった人についての記憶を保持していた。

 

今回、芹愛は雛美、綜士、千歳たちと協力し、安奈の死を防ごうとする。別の街のホテルに場所を変えてみたが、そこで火事にあい避難中に階段で怪我をして死んでしまった。だが今回の事故は綜士が原因とはなっておらず、芹愛がタイムリープを起こすこともなかった。

 

安奈を救うため、芹愛は綜士にある提案を持ちかける。

 

 

感想・考察

第3幕にきて伏線が回収され始め、展開が加速してくる。

SF的な理論の精密さはないけれど、タイムリープがストーリーで上手く生きている。いくつもの時間線が重なってもシンプルに理解しやすい構成も上手だ。

最後の「覚悟」は「ドラゴンボールがあるから、でえじょーぶだ!」って感じで少し醒めてしまったが。。

 

最終巻まで一気読みだ!

 

 

『現代語訳 五輪書 完全版』 水上基地 、 宮本武蔵

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武士が兵法を行う道は、何事においても他人より優れ、勝つことである。

一対一の斬り合いに勝ち、あるいは数人に囲まれる戦に勝ち、主君のため、己の身のため名を上げ、身を立てることに繋がる。

これが兵法の徳である。

 

 

タイトル:現代語訳 五輪書 完全版

作者  :水上基地 、 宮本武蔵

 役立ち度     ★☆☆☆☆

 納得度      ★★☆☆☆

 歴史的価値    ★★★

 総合オススメ度  ★★☆☆☆

 

要約

宮本武蔵が「二天一流」の兵法を伝えるために残した書の現代語訳。「地の巻」「水の巻」「火の巻」「風の巻」「空の巻」の5部で構成される。

 

「地の巻」は兵法の概要や、剣術だけでは真の道が得られないことを説く。

武器の特徴や、戦いのリズムである「拍子」について分析している。

 

「水の巻」では、水のように心を器に合わせて自在に変えることを説く。

心を平常に保つべきことや、刀の構え方、足使いなど、具体的な剣術を指南する。

 

「火の巻」では個人戦だけでなく、多人数での合戦での戦い方も分析する。

有利なポジションの取り方や、精神的に相手を押さえつけることの重要性を説く。

 

「風の巻」では、二天一流以外の流派について書き表す。

他流派の武器へのこだわりや、目の使い方に異を唱える。

 

「空の巻」では無形で知ることのできない心を「空」と見立てて語る。

 

 

感想・考察

誉田哲也さんの「武士道シックスティーン」が面白かったので、そこで出てきた五輪書に興味を持ち読んでみた。

 

未だ戦乱期だった江戸時代初期の書だけあって「勝つ」ことに徹底的にこだわった実践的な内容だ。

明治時代に残る「武士道」を描いた新渡戸稲造の書をみると、その頃には精神論や道徳論、あるいは政治理論となっていたが、宮本武蔵の時代には、まだ生々しい戦いの手引きだった。

 

 

現代とは時代背景が違いすぎて、技術的な部分で直接役立てることができる部分は少ないと感じたが、暑苦しいほどの「勝負への徹底したこだわり」を見せられると、自分が今「ぬるい生き方をしてるな」と思い知らされる。

戦国時代と比べるとオブラートには包まれているけれど「勝者総取り」のシビアさは、今でも変わらないのだと思う。

 

 

 

 

『君と時計と塔の雨 第二幕』 綾崎隼

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傷つくことも、傷つけられることも上手に避けて。

一番大切な言葉だけ口にできないまま、こうして大人になっていく。

 

 

タイトル:君と時計と塔の雨 第二幕

作者  :綾崎隼

 SF小説度     ★★★☆☆

 恋愛小説度    ★★★★☆

 ミステリ度    ★★★★

 総合オススメ度  ★★★★☆

 

あらすじ - ネタバレあり

「君と時計と嘘の塔」に続くシリーズ第2幕。

前作までで、10月10日の学園祭当日に「杵上綜士が織原芹愛の死を知る」もしくは「鈴鹿雛美が古将成の死を知る」ことによる「絶望」がタイムリープを引き起こすことがわかっていた。リープした人にとって大切な人が一人いなくなった状態で、もう一度やり直すことになる。

 

第1幕の最期で、織原芹愛の自殺を止められなかった綜士は再びタイムリープし、今回は母親の存在が消えてしまった。

 

高校の先輩である 草薙千歳 と、もう一人のタイムリーパー 鈴鹿雛美と協力し、今度こそは誰も死なないための作戦を実行する。

 

雛美はバンドのチケットを渡し、古賀が事故当日に現場となった学校に来ないよう対策を練った。また前回芹愛が自殺した時間に彼女を部室に閉じ込め、彼女の死も防いだ。

ところが、タイムリープの契機となる二人の死を防ぎ安心した直後に、また時間が巻き戻ってしまう。

 

雛美、綜士は 自分たち以外にもう一人のタイムリーパーがいることに気づく。もう一人のタイムリーパーを探し出し、その絶望の理由を知らない限り、二人だけがタイムリープを回避しても意味がない。だが、もう一人のタイムリーパーが分からないまま、事件の起きる学園祭当日を迎える。

雛美は前回と同じ対策で古賀の死を回避することに成功した。

綜士も芹愛を自殺する駅から引き離すことに成功したが、逆に芹愛から時計塔に呼び出される。

 

感想・考察

SFとしての設定は割とガバガバだけど、タイムリープを絡めたミステリというのはやっぱり面白い。

何度も時間を巻き戻すと因果関係が複雑になるが、登場人物が少なく人間関係がシンプルなうえに、説明役の千歳がいることで、とても分かりやすい。

 

前作の「君と時計と嘘の塔」で張られた伏線はまだ回収されないが、雛美の嘘、芹愛の嘘が少しずつ見え始めてくる。

 

だれもが嘘をつく。自分を守るため、時に誰かを守るため。

嘘をつく自分の弱さを見るのは辛い。でもそこから逃げずに直視することで、相手の弱さを理解できるようになる。

そんな少年少女たちの成長の物語だ。

面白い。

 

 

『8割を手放せばすべてうまくいく! 【全捨離のすすめ】』 櫻庭露樹

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「運気を上げて人生を好転させていきたいのであれば、家の中にあるモノを8割手放しなさい」

 

タイトル:8割を手放せばすべてうまくいく! 【全捨離のすすめ】

作者  :南章行

オススメ度

 役立ち度     ★☆☆☆☆

 斬新さ      ★☆☆☆☆

 行動を煽る力   ★★★★☆

 総合オススメ度  ★☆☆☆☆

 

要約

長く触れず使わないものは「衰気(運気を下げる気)」を放つという。家の中にある使わないものは運気を下げる。実際に使っているものは2割くらいだろうから、普段使わない8割は捨ててしまおう。という話。

 

実践編として「手放す、磨く、拡げる」を三原則とし、解説する。

 

玄関や下駄箱は運気の入り口なので最初にキレイにする。履かない靴や不要な小物などを捨てる。玄関には何も置かず靴箱にしまう。

クローゼットには旬の服だけを置く。1シーズン来ていないものは捨てる。

寝室の空気の透明度を意識する。ベットよりは布団の方がいい。布団であれば天日干しをし、ベットの場合はマットレスを定期的に交換する。

台所では食器や調理器具は必要最低限にする。

トイレはメッセージを受け取る場所。本やスマホなどを持ち込まない。

浴室もきれいにしておくべき。排水溝などは毎日掃除する。

 

またモノが減るとと収納のための大型家具も減らせる。床に置くものを極力減らし、床面積を広げることを意識する。

モノを手放し床面積が拡がったら「雑巾がけ」で磨く。朝に床を磨くことで運気が向上する。

 

感想・考察

断捨離系のライフハックだと思って読み始めたが、完全な自己啓発ものだった。

数字関係は滅茶苦茶だし、エビデンスが示されるわけでもない。論理的には完全に崩壊している。

それなのに読んだ人を行動に駆り立てる力は圧倒的だ。

「運を開く方法は実践のみ!!」

「開運の神様は『やると決めて行動した人』にほほ笑む!!」

「結果を出すのは『即行動』する人!!」

「成功者は『今やる!すぐやる!』」

と、とにかく熱く畳みかけてくる。

 

本の内容は全く腑に落ちないが、それでもゴミ袋に不要物をぶち込みたくなる。私も実際に服を数着捨てた。そして「不要物の整理や部屋の掃除」自体はかなり気持ちの良いものなので「書いてある通りに行動すると結構いいかも」と後付けで正当化しそうになる。

 

内容自体はともかく、「人にアクションを起こさせる」実例としてなかなか興味深い本だった。

 

 

『君と時計と嘘の塔 第一幕』 綾崎隼

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好きな人を、ただ、ありのままに好きでいる。

たったそれだけのことが、どうしてこんなにも難しいんだろう。

 

 

タイトル:君と時計と嘘の塔 第一幕

作者  :綾崎隼

 SF小説度     ★★★★☆

 恋愛小説度    ★★★★☆

 ミステリ度    ★★★☆

 総合オススメ度  ★★★★☆

 

あらすじ - ネタバレあり

5年前の祭りの日、12歳の杵上綜士は花火の写真を撮るため高校に忍び込んだが、そこで大きな地震に襲われる。規模のわりに建物や家具に影響のない不思議な地震だった。

 

その頃は、クラスで中心的な位置にいた綜士だったが、幼馴染の織原芹愛に徐々に注目が集まるのをねたみ始める。自分とクラスメートの持ち物を芹愛のカバンに入れ、泥棒の罪を着せようとした。身に覚えのない芹愛は最初否定したが、綜士の自演がばれそうになると「私が盗みました」と罪を被った。その事件以来芹愛は友達を失い、学校でも孤立してしまう。

 

罪の意識を抱えた綜士も周囲との壁を築き、いつしか学校で孤立してしまう。中学に入るころ芹愛を意識するうちに、恋愛感情を覚え始める。努力をして芹愛と同じ高校に入ったが、ただ遠くから見つめているだけだった。

 

中学時代から周囲に溶け込めない綜士だったが、高校に入り海堂一騎が親友となった。だが「芹愛が死ぬ」という夢を見た翌日、学校から一騎の姿が消え先生も彼の存在を認識していなかった。

事態が把握できず困惑する綜士は、二回留年している三年生の草薙千歳に声をかけられ事情を聞かれる。千歳は高校中心に「時間の歪み」があったという仮説をあげ、綜士とともに一騎を探し始める。

その頃、綜士と同学年の 鈴鹿雛美が加わり、自分も綜士も「タイムリープ」しているという。

 

千歳は二人の話を聞き、雛美は「恋人である大学院生の死による絶望」、綜士は「芹愛の死による絶望」を原動力として過去に戻っていると分析した。またその際に、タイムリープした人にとって大切な人の存在が消えてしまうのだと考えた。

 

これ以上のタイムリープを防ぐため、雛美は恋人の、綜士は芹愛の死を防ぐため、それぞれ作戦を練った。

 

 

感想・考察

王道の タイムリープSF + 恋愛ストーリー。

本作は全4編のうちの第1幕で、全体の謎は明かされず、伏線が残り、それぞれの登場人物も秘密を抱えたままだ。

 

 ウジウジした主人公が、周囲の人々の支えに気づき、すこしずつ強く優しくなっていくのは、やっぱり感動的。

 

ひきこまれて、4冊一気に読んでしまった。
Kindle Unlimitedの1冊目無料、次から有料 作戦に負けた。。

 

 

『「幸せをお金で買う」5つの授業』 エリザベス・ダン、マイケル・ノートン

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幸福はお金で買える!

 

 

タイトル:「幸せをお金で買う」5つの授業

作者  :エリザベス・ダン、マイケル・ノートン

 役立ち度     ★★★☆☆

 分かりやすさ   ★★★★☆

 斬新さ      ★★★☆☆

 総合オススメ度  ★★★☆☆

 

要約

「より幸せになる」ためのお金の使い方として、以下の5つのポイントを紹介する。

 ① モノより経験

 ② ご褒美にする

 ③ 時間を買う

 ④ 先に払って、後で消費

 ⑤ 他人に投資する

収入を増やす方向ではなく、今あるお金を上手に使ってより多くの幸せを感じることを目指している。

 

 

それぞれのポイントを簡単に説明していこう。

 

 ① モノより経験

家などのモノへの投資は「幸せ」を感じる効果が長く続かない。長期的に見ればレジャーなど「経験的な買い物」の方が「幸せ」を感じるという。

また経験を通して、人間的なつながりを獲得することができるのも一つの効果だ。

 

 ② ご褒美にする

いわゆる「限界効用逓減」の話だ。

年収100万円から1100万円に増えた場合、1000万円の差は大きいが、年収100億円が100.1億円に増えても、それほどの差を生まない。幸せは量に比例するわけではない。

大好きなホワイトモカフラペチーノでも、毎日飲んでいたら、嬉しさは段々減ってしまう。例えば「週一回のご褒美」にするなど「幸せを感じる経験」に希少性を持たせると、同じ出費でより大きな幸せを得ることができる。

 

 ③ 時間を買う

「時間でお金を買う」考え方が根強く浸透している。高い時間給を得ている人ほど「時間に追われている」という感覚を覚えやすい。

通勤時間の短縮など「お金で時間を買う」考え方が幸せを増やす。

 

 ④ 先に払って、後で消費

クレジットカードは「先に消費して後から払う」スタイルを定着させた。これは「今心地よい経験をしたい。苦痛はできるだけ後回しにしたい」という人間の本能にかなっている。

だが「旅行そのものより、計画しているときの方が楽しい」ということもあるように「楽しみな経験を先延ばしにする」ことで、より多くの幸せを引き出すことができることもあるという。

また「支払う」苦痛を先に持ってくることで、消費をより心置きなく楽しむことができる。

 

 ⑤ 他人に投資する

自分用のモノを買うよりも他者に与える方が、より多くの幸せを感じられる。なかでも「他者とのつながり」を感じられる投資の効果が最も高い。

 

 

感想・考察

 

「幸せを増やす」という観点からの、お金の有効な使い方だ。

生活に不足のない程度の収入のあることが前提だが、それ以上は収入を増やす努力より、より有効な「お金の使い方」が大事だという考え方。

 

「もっと頑張ってここから抜け出そう」とするだけでは、追いつめられて疲れてしまう。バランスの良い考え方が必要なのだと思った。 

 

 

『武士道シックスティーン』 誉田哲也

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世のためを思い、他人を敬い、精進を怠らない。

その三つを忘れなければ、人はどこでも、いつの時代でも生きていける。

その一つでも欠いたら、生きる資格はない。

 

タイトル:武士道シックスティーン

作者  :誉田哲也

オススメ度

 女剣士の成長   ★★★☆☆

 友情の物語    ★★★★☆

 支え合う人々   ★★★★☆

 総合オススメ度  ★★★★☆

 

あらすじ

磯山香織は警察で剣道を教える父を持ち、3歳の頃から兄と一緒に剣道を習ってた。宮本武蔵の「五輪書」をボロボロになるまで読み込むような剣道オタクで、中学では全国二位の成績のエリート剣士に育つ。

香織の兄は小学生の頃、父の教え子に打ち負かされてから、県道から離れてしまった。それ以降、香織はより「勝敗」にこだわるようになる。

 

もう一人の主人公、西荻早苗は姉とともに日本舞踏を習っていたが、中学から剣道を始めていた。

早苗の父は発明を大企業に盗られ、裁判でも負けて自暴自棄となり、離婚して家を出ていってしまった。それ以降早苗は「勝敗」から離れようとする。剣道を習っていても勝ち負けより「剣道自体を楽しみ自分の成長を楽しむ」ことを目指していた。

 

中学時代最後となる試合で香織は早苗と対戦する。全国二位の実績を持つ香織は、未だ無名の早苗に負けたことに大きなショックを受ける。

香織は多くの高校から剣道の実績による推薦の打診を受けていたが、さなえのいる高校を選んだ。

 

早苗の戦績にムラがあり勝ちに対するこだわりがないことに香織はいらだつ。

早苗はクラスでも剣道部でも浮いている香織に話しかけようとするが、香織は冷たい態度を崩さない。

 

香織は実力を買われ剣道部でも重要な位置を占めるようになり、早苗も徐々に才能を開花させていく。

全く違うスタイルを持つ二人の剣士が、反発しながら徐々に重なり合っていく。

 

感想・考察

清々しい「青春スポーツ物語」だった。ちょっとダークな作品の多い誉田哲也さんにしては、珍しく爽やかな話だ。

章ごとに二人の主人公の視点が切り替わる構成も、テンポが良く読みやすくて面白い。

 

不器用な頑なさを持つ香織だが、両親や部活の顧問、道場の師匠や武道具店主など、多くの人に見守られ支えられながら生きている。

勝つことに執着し自分自身の強さに頼る香織だったが、生きる意味を見失ってしまった時、彼女を支えたのは「人とのつながり」だった。

 

香織とは対極的で気楽に見える早苗も、過去へのこだわりから抜け切れていない。彼女を救うのもまた、家族や周囲の人間、そして香織だった。

 

続編が出ているようなので、そちらもそのうち読んでみよう。 

 

 

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