毎日一冊! Kennie の読書日記

面白い本をガンガン紹介していきます!!

蜜蜂と遠雷

【作者】

 恩田陸

 

【あらすじ・概要】

 芳ヶ江国際ピアノコンクールで繰り広げられる、出場者たちのドラマ。

養蜂家の父と放浪生活を送りながら巨匠に見出され破天荒な才能を開花させた「風間塵」、幼少の頃から音楽の才能を認められていたが、家族の死をきっかけに音楽から離れていた「栄伝亜夜」、名門の音楽学校で著名な教師に師事するマサル-カルロス、楽器メーカに勤めながら音楽家への思いが捨てられず、制限年齢一杯でチャレンジする「高島明石」など、それぞれ背景の異なる出演者たちが、それぞれの思い、葛藤、苦しみを背負いながら、自らの音楽と対峙していく。

 

【感想・考察】

 圧倒的。

 長い本が好きでは無いこと、ピアノコンテストという題材自体が退屈な気がしていて、「本屋大賞」「直木賞」など評判にはなっていたが読む気がしなかった。

 が、読んで見て圧倒的に引き込まれた。

 例えるならバトル漫画のようなスピード感と爽快感だろうか。冒頭で「塵」がいきなりスカウターを振り切るようなパワーを見せたり、「亜夜」の眠っていた能力が「マサル」や「塵」との邂逅で「覚醒」したりする。「才能」の有無が決定的要素となりがちな音楽の世界で、サラリーマンとして日々の生活を送りつつ地道に鍛錬を重ね圧倒的な才能と競り合っていく「明石」は、サイヤ人だらけの戦場で渋い活躍を見せる地球人ヤムチャのような立位置か。

 音楽的にも「言葉で音楽をここまで表現できるのだ」と感嘆した。主人公たちは様々な思いを音楽に乗せていくが、この作者は音楽の心を言葉に落とし込んでいく。

 最初の方で音楽家と小説家の対話を挟んでいたが、「音楽にはこれだけ人の心を動かす力がある、私は文章で動かしてみせる」という決意表明だったのだろうか。

 

素晴らしい作品。

 

 

一生太らない魔法の食欲鎮静術

【作者】

 松尾伊津香

 

【あらすじ・概要】

 無理なく健康的な体系を維持するための「食欲鎮静術」を謳う本。

ポイントは食べ物をよく味わう「食事瞑想」を通じて「量ではなく質で満足する」体にしていくこと。

 

提唱しているのは以下の二点。

  1. 舌先に食べ物を当てて十分味わう
  2. 食べた後の胃の暖かさ、重さを味わう

 

舌先は味覚センサーが集中しているので、食べ物を舌先に意識して充てるだけでも味わいが深くなる。

舌先に食べ物を当てる動作は必然的に噛む回数を増やす。胃は温度や重量で満足感を感じるので、その感覚もよく味わう。本当の食欲を見極め、必要な量だけを食べるようにする。

 

 「食べてはいけないもの」は特に指定せず、「食べ物の原型に近いものがどちらかといえば望ましい」というざっくりした見解。むしろ「不健康な食材」と認識たものを全く食べられなくなる「オルトレキシア」と呼ばれる症状が近年大きな問題になってきているので、食べ物の種類からのアプローチは避けている。

 

また、ダイエットに取り組むときに、自分の現状を認識して取り組むことが必要。基本的には「食べ物」への取り組みから入り「運動」は次のステップとする。また現状で過食や不摂生が続いている「マイナス」の状態であれば、それを標準的な「ゼロ」の状態に持っていくことを目指す。ファスティングや玄米食など「プラス」に持っていくような努力を取り入れると成功しにくい。

 

 

【感想・考察】

 

 作者は拒食症や過食嘔吐などの摂食障害の患者と接しているので、食に対してアドバイスをする難しさを理解している。やることとしては「舌先に食べ物を当てる」という簡単な行為だけなので、まず試してみようという気にはなる。

 

 ダイエット法が数多く出ている分、その理屈の流れはテンプレート化してきている。

・従来のダイエット法は「意志力を使い継続できない」とか、「論理的におかしい」と問題提起。

・この方法は「記録するだけ!」とか、「糖質を制限するだけで肉や魚はたくさん食べられる!」などと簡単に取り組め、習慣化しやすいことを強調。

・ただ後半ではすべきことが徐々に増えていく。

 

その中では、心の面からアプローチし「質の良い食べ物を適量取る」という方向性は理解しやすい。

様々な方法から自分に合う部分をバランスよく組み合わせ、極端に振れないようにするのが最善なのだろう。 

 

シリーズ・企業トップが学ぶリベラルアーツ 宗教国家アメリカのふしぎな論理

 

【作者】

  森本あんり

 

【あらすじ・概要】

 「土着化したキリスト教」という観点から、アメリカの歴史を分析する。

 キリスト教も初期には「神が一方的に人に与える」片務的な教義であったが、「神を信じ従うものは救われる」という双務的な「契約」に変化してきた。更には人が現世で「成功し富を蓄積すること」は神からの祝福であり「正しい生き方をしていることの証左である」と捉えている。「プロテスタンティズムと資本主義の精神」でも語られているが、勤勉に働き富を蓄積することが神を讃えることに繋がると考えられている。

 アメリカは成立した時点から政教分離していて純度が高かった上に、宗教が政治から独立している分税金などで賄われることもなく、宗教自体がビジネス的なプラグマティズムを内包することとなった。

 「努力して成功するのは善なること」という信念が、自助努力の考えにつながり、「国民皆保険」や「銃規制」など国家によるお節介を嫌い、「経済的成功による格差拡大」を容認する風土となった。トランプ大統領は極端ではあるが、そういったアメリカの本音の部分に根ざし受け入れられた部分があるとしている。

 また、アメリカは建国当初から権威に対する異端として成立していて、知識階級が固定的に要職を占め富を独占するような「知性主義」に反対する風土もあった。インテリよりは人間としての機微に溢れる人物が好まれている。日本などでは政権の交代があっても実際の行政機能を司る官僚組織は政権とは別の仕組みで動き続けるが、アメリカでは官僚も大きく入れ替わる。知識レベルが落ちることによる損失よりも、固定的になることの弊害を嫌っている。

 

 またアメリカではポピュリズムが力をましている。ポピュリズムに陥らず「民主主義」をすすめるためには「民主」「自由」「進歩」のバランスが大事。「民主」だけが強くなると数の理論で少数民族の排斥や人種主義などが横行するし、「自由」が肥大すると際限なく格差が拡大していく。「進歩」を追求すると武力行使してでも「未開」の地域に進歩を促すようになる。 

 

【感想・考察】

 アメリカの政治を読み解くためには、やろうと思えば何でもできるという「意志力の賛美」があるということがよく理解できた。アメリカの「本音」の部分と、良識ある知識人とは乖離があり、トランプのような極端な人物が大統領となったのも、実は意外なことではなかったのかもしれない。トランプ大統領の極端な政策からは、いつか揺り戻しがあると考えていたが、これがアメリカの本音に根ざす動きなのであれば、長期固定化する可能性もあると見る必要があるのかもしれない。

 簡易な説明でアメリカの歴史の勘所が掴める良書だった。

 

 

人と組織を効果的に動かす KPIマネジメント 楠本 和矢

【作者】

 楠本和矢

 

【あらすじ・概要】

 KPI (Key Performance Indicator) は、事業目標を達成するために管理する指標であるが、KPI を適切に定め、管理運用していくことが事業戦略そのものであるとする。

 

 KPIの種類

 ・KFI (Key Financial Indicator) 財務的な成果指標、企業の場合は売上や利益など最終的な指標が KFI となることが多い。最終目的が財務的な成果出ない場合は、KGI (Key Goal Indicator) とすることもある。

 ・KRI (Key Result Indicator)  最終的なKFI に効果的につながっていく状態(Key Result) がどの程度成立しているかの指標。これにはステイクホルダーのInsightを深堀りし、言語改善の欲求をつかむことも必要。
 ・KAI (Key Action Indicator)活動指標
KRI を高めていくための具体的なアクションをどれだけ実施したかを把握するための指標。

 KPI はストーリーから考える
業績を高めるためのアクションが、どのようなメカニズムで連鎖していくのかがわかる「筋の良いストーリー」構築が必要。会社の置かれている状況など様々な要因を捉え通り一遍の教科書的解釈ではない個別のストーリーを作る。必要な情報が最初から集まることはないので、推論からストーリーを立て、検証しながら練度を高めていくのが KPI マネジメントの本質だとする。

 KPI マネジメントの失敗例
ネガティブな行動を誘発
例:「顧客単価だけ」をKPI にした場合、高額商品の強引な売り込みで長期的には顧客離れを起こすなど。
無意味なオプションを選んでしまう
例:「従業員の幸せ」を高めるため、定量的に捉えられる指標として「離職率の低下」を KPI としたが、売上向上との優位な関連性がみられなかったなど。
競争環境の変化に対応しない
例:新規サービスの導入時、「面」を広げるため「新規顧客獲得数」を KPI としていたが、市場成熟後も変更せず、「解約率低下」や「単価UP」といった指標に移行できなかったなど。
制御不能な要素が影響を与える
例:広告された製品の売上額に連動した広告代金としたが、売上増減には広告以外の要因の方が大きな影響を持っていたなど。
バイアスがかかる測測定手法
例:営業担当者の目の前でアンケートを記入してもらうことで、本音が表れにくいなど。
KPI が多すぎる
例:売上、利益率、損益分岐点比率、時間当たり生産性など多岐に渡り、つじつま合わせに終始してしまうなど。

ステイクホルダーにどのような影響を与えるか、「想像力」が欠如した KPI設定は失敗する。
教科書的なクライテリアとして
 S: Specific  具体的
 M:Mesurable 測定可能
 A:Achievable  実現可能
 R:Relevant   達成すべき目標との関連
 T:Time-Bound 期限がある

インサイトの探索
 人間的な視点に基づいた「インサイトの探索」が実効性あるKPI マネジメントに欠かせない。人は常に合理的に動くわけではなく、三重、損失回避バイアス、感情、習慣 など非合理な判断が重要な意味を持つ。よく使われるマーケティング理論のフレームワーク 3C(Customer、Company、Competitor)、STP(Segmentation、Targeting、Positioning)、4P (Product、Price、Place、Promotion)などでの分析は汎用的プロセスの構築に多大な貢献をしたが、「すべての人間が合理的な判断をする」という考えが前提となっているため、そこに落とし込むだけで思考停止に陥らないよう注意する必要がある。

 インサイト探索のアプローチとして、阻害要因を探索するネガティブアプローチ、対象に行動を起こさせた「心理」に着目するポジティブアプローチ の両方がある。

 実企業でのKPI マネジメント実例

JAL 定時到着率を KPI とする。顧客へ提供するサービスの本質を考え設定した。各部門の連携が促される。


丸井 女性従業員の意識「女性の上位職志向」、「女性活躍浸透度」をKPIとした。顧客、従業員とも女性が多い職場で女性の活躍が必要だった。


あさひ 自転車販売店だが、390円での安全点検「サンキュー点検」の顧客数を KPI とした。気軽に店舗に訪れる顧客が増え、買い替えや新規需要の掘り起こしにつながった。


小林製薬 新製品寄与率を KPI とした。新製品の開発モチベーションが上がり、既存の要素から新製品開発につながるケースも増えた。


サイゼリア 一人が一時間で生み出す粗利益「人的生産性」をKPI とした。無駄の削減につながっている。


ハウステンボス 「オンリーワン/ナンバーワン企画」の取り組みをKPI とした。景観型の施設であったハウステンボスは新規顧客をよぶ話題性に乏しかったが、オンリーワン、ナンバーワンという縛りがむしろ発想を広げ、顧客を増やした。


SBI証券 コールセンターで顧客からお礼を言われる「ありがとう件数」を KPI とした。


KPI 策定の具体的ステップ

活動の大目的を KFI として設定する
その達成に向け「インサイト」の推論をする
成果につながるあるべき状態「KR」を導く
KRを作るためのアクション「KA」を検討する
KAを想定される波及効果でつなぎ「ストーリー」として取りまとめる
最後にそれを動かすための 「指標」を定める

KPIの測定
問いの立て方に気を配る。直接カウントできるものでない場合、アンケートなどを挟むがそれが効果的であるためには注意が必要。
 ある事象を直接カウントできない場合、代替指標を立てるのも有効だが関連性に気を付ける。

 KPI は硬直的なものではなく、運用によって練度を上げていくことを前提とすべき。


【感想・考察】
KPI は活動を測定するための「指標」であるが、その定め方や運用は「企業戦略の本質」であるとする。

 理論が先行するビジネス書は冗長なものも多いが、本書では具体的な事例を豊富に載せることが著者の KPIマネジメントの考え方を伝える助けとなっている。

KPI マネジメントはビジネスだけでなく個人的な目標管理にも使えるし、組織を動かすだけでなく、個人対個人の関係でも役に立つと感じた。

組織でも個人同士の関係でも「何をしたら評価されるのか」を明確に示すことで相手を動かすことができるのは間違いない。人を動かす方法としては非常に強力だ。

 「”あなたが” ~をしてください」という依頼では、束縛された感じを受け、自立心の強い人は拒否感を示すかもしれない。一方で、「”私は”こういう活動を評価しています」という私が主語になるメッセージであれば、判断は受け手側にゆだねられ束縛された感じはしない。

基本を学ぶには良い本だと思う。

 

勉強するのは何のため?--僕らの「答え」のつくり方

【作者】

 苫野一徳

 

【あらすじ・概要】

 「勉強するのは何のため?」という問いから哲学的な思索まで掘り下げている。

 

 本書のポイントは以下の二点に凝縮される。

 勉強するのは「自由に生きるための力をつけるため」

 学校という仕組みで教えるのは「自由を相互承認する感度をつけるため」

 

以下、個別の説明を要約する。

 

・問いの前提として「一般化のワナ」、「問いのマジック」にかからない

 経験は人それぞれ異なるので全てのことを一般化して述べるのは雑すぎる。「勉強するのは良い大学に入り良い企業に就職するため」という答えはある状況にいるある人にとっては真実だが、全てに当てはまるケースではない。「勉強自体が楽しい」という人もいれば「尊敬する先生と一緒にいたい」という人もいて、それぞれが正解なのだろう。

 また問い方として「勉強は役に立つか、立たないか」という二者択一で問われると「どちらかは正しい」というバイアスがかかってしまう。「積分」が実生活で役立つ人もいれば、学校を出てからは必要ない人もいる。最初は必要ないと思っていても状況に応じて必要になることもある。世の中の問いの大部分は「状況による」こととなる。

 

・それぞれの状況で異なる「問い」に、大多数の人がまあ同意できるような「納得解」を出そうとしてきたのが哲学の歴史

 例えばニーチェはキリスト教の揺らぎで「生きる意味」の絶対解が失われた時代に、絶対的な「生きる意味」が必ずあるものとして求め続け得られないことで「ニヒリズム」に陥るとした。その上で一度ニヒリズムに徹しきり、そこから「生きていて良かった」と思える経験に出会うことで、「その人にとって」の「生きる意味」が見いだせるとしている。

 

・改めて「勉強をする意味」に絶対の解はないが、納得解として「自由になるため」を挙げる

 自分が生きたいように自由に生きるために「知識」や「考える力」が必要。学びの本質は自由を得るための力をつけることと結論付ける。読み書き計算ができなければ不利な契約に縛られるかもしれないし、適切な判断力がないと誰かの判断に自分をゆだねることになってしまう。

 

・それぞれが自由を追求すると他者の自由を制限する。「自分が自由であるのと同様に他社も自由である権利を持つ」という「自由の相互承認」の感性を持つことで争いを回避すべきというのが、ここ数百年で現れた新しい考え方

 学校での教育には問題点も多いが、それぞれの自由が衝突する経験を通じ、「自由の相互承認」の感度を育むという面で、様々な人が直接出会う場は有益だとする。

 

・とはいえ現行の学校制度には「教師のレベルが不均一」、「人間関係が固定されているのでいじめなどがあると逃げられない」、「一斉教育では生徒の理解度に応じた教育ができない」といった問題点もある。

 それこそ「状況による」問題で絶対の解はないが、ネットワークを利用したレベル別教育や、プロジェクトごとに流動的なチームを組む組織体など改善の余地はあるとしている。

 

【感想・考察】

 「勉強は自由のため」「学校は他人の自由を知るため」というのはシンプルだが完全に納得できる。私は「いろいろなことを知りたい」という好奇心が強いほうだが、その根底には「誰かに判断をゆだねず、自分の生き方は自分で決めたい」という思いが確実にある。知識もお金も「自由のため」だと考えてきた。

 「世の中の問いの大半には絶対の正解はない」というのも共感できる。そのうえで諦めずに「大多数が納得する解を探求していく」ことが哲学の使命なのだろう。

 平易な言葉で書かれているが考えさせらる本だった。

 

明日に疲れを持ち越さない プロフェッショナルの仕事術 ビジネスライフ

【作者】

 渡部卓


【あらすじ・概要】
 ビジネスマンの観点から主に仕事に絡めて、疲れをマネジメントする方法を書いた本。いかのような章立て。

疲れのメカニズムと現状把握
疲れには以下の3種類がある。
・「肉体的疲労」-エネルギー切れ
・「精神的疲労」-人間関係などのストレスによるもの
・「神経的疲労」-環境の影響などで視神経や脳の緊張によって引き起こされる
   疲れレベルのセルフチェック
   次のサイトでの自己診断を推奨
   http://kokoro.mhlw.go.jp/check/
 

疲れをためない生活習慣
疲れをためない睡眠のために
・朝日を浴びる
・7〜8時間をターゲット
・22時から2時の睡眠は成長ホルモン分泌を促す
・眠る3時間前から入浴や、ディスプレイを見ないなど準備を始める
・オフの日も遅くまで眠らず、早寝で調整する

   食事については
   ・エネルギー利用のためビタミンBの摂取
   ・朝食をとる
 
   運動も必要とする
   ・日常生活に運動を取り入れる
   ・電車の中での体幹トレーニング、ドローイン等

   TAGを遠ざける
   ・たばこ、アルコール、ギャンブルをストレス解消の手段としない

   マインドフルネスの実践
   ・腹式呼吸を行い、「今ここ」に意識を向ける瞑想

   紫外線対策
   ・紫外線による疲労の蓄積は侮れない。サングラスや帽子など

ストレスコントロール
適度なストレスはやる気を増進させるが、過度になると心身を害する。
ストレスはある程度自分でコントロールできる。
   ・「ABCDE理論」
     Activating Event 実際に起こった出来事
     Belief その受け止め方
     Consequence その結果どうなったか
     Dispute それでよかったのか自問自答する
     Effect それによる効果や影響
   具体的な例を挙げると、
A上司に書類のミスを指摘される
    B1 「上司が自分を嫌っているからだ」と捉える
    C1 業務の改善につながらない
    E1 仕事のやる気を失う
   という流れに対し、D自問自答の段階を入れる
    A 上司に書類のミスを指摘される
    B1 「上司が自分を嫌っているからだ」と捉える
    D それ以外の捉え方がないか自問自答する
    B2「上司は自分に目をかけ、特に期待してくれている」と捉える
    C2 積極的に業務改善を行う
    E2 仕事のモチベーションが上がり成果につながる 

   ・70点主義
     成果主義といっても70点を超えれば大丈夫、と考える。

仕事の効率化
疲れをためないため仕事を効率化する

・終わりの時間を意識したタイムマネジメント
 会議などでも始まりだけでなく終わりの時間をきちんと決め結論を出す

   ・Quick and Dirty でとにかく仕上げ次工程に上げ、ミスを修正しながら進める

   ・「しずかちゃんタイプ」のさわやかなアサーションで断る
     のび太君は人を気にしすぎる非主張型、ジャイアンは自己主張ばかりの攻撃型
     これに対ししずかちゃんは自分のことを第一に考えながら他者も配慮する自他尊重型
    できない仕事はうまく断り、渡せる仕事は人に任せる。

人間関係のストレス回避
ビジネスの場における人間関係について。

・正しい手続きを踏み、上下に報告連絡し、とことん話とことん聞き、失敗を重ね経験値を高め、自分の問題と他社の問題を腑分けし、どうにもならない状況なら逃げる。

   ・コミュニケーションの基本は「聞く」こと
    批判、反論をせずにまずは聞き続ける「傾聴」
    相手の話に「肯定的関心」を持ち受け止める
    自分の考えはわきに置き、まずは相手の立場に立って眺める「共感的理解」
    指示ではなく、どうすれば相手はそれをしたくなるのか考える「非指示的アプローチ」

   ・叱るときは「かりてきたねこ」
    かー感情的にならない
    りー理由を話す
    てー手短に
    きーキャラクタ(人格)否定はしない
    たー他人と比較しない
    ねー根に持たない
    こー個別に伝える

休み方
休むことに罪悪感を感じる必要はない。

・自分が気にするほど他者は自分を見ていない。休む時は堂々と休む。
・4つのR
  Relaxation 瞑想、アロマなどで脳や神経を休める
  Recreation 運動や音楽など好きなことを楽しむ
  Rest    睡眠や温泉など体をじっくり休める
  Retreat   森林浴など場所を変えて心身を休める
  

【感想・考察】
 「疲れを持ち越さない」というタイトルだが、どちらかというとビジネスで効率的に動く方法を語り、ビジネスで成果を上げることを目標とした本。「ABCDE理論」、叱るときの「かりてきたねこ」等、頭に残りやすい説明が多く有益だった。 

 

スウェーデン館の謎

【作者】

 有栖川有栖

 

【あらすじ・概要】

 雪が深く積もる冬の裏磐梯のペンションに取材旅行に来たミステリ作家の有栖川。

 児童文学作家リョウとその妻ヴェロニカが住む「スウェーデン館」を訪れる。夫妻は数年前に当時7歳だった息子のルネを亡くし悲嘆に暮れていた。

 有栖川が訪れた日、ルネを亡くした当日にいた面々がスウェーデン館に集い、和やかな会話が交わされていた。だがその日の夜、離れで殺人事件が起こる。夜中前に止んだ雪のため、本館と離れの間には「被害者が離れに行った足跡」と「第一発見者が発見時に往復した足跡」しか残されていなかった。

 有栖川の要請でスウェーデン館に合流した犯罪学者の火村は「足跡トリック」の謎に挑戦する。

 

【感想・考察】

 テンポ良く読みやすい作品。

 「罪刑法定主義は犯罪の価格表のように捉えられることもある。最大で死刑というコストを払えば殺人しても良いという見方だ」という視点は面白いと思う。そう考えると、特に経済犯などでは、犯罪が露見する期待値を掛け合わせれば、十分に「割りに合う」犯罪というのもあり得るのだろう。

 語り手の有栖川が情に流され苦しむ中、探偵役の火村は冷徹に犯罪を追いつめるが、また別の苦しみを抱えているように見える。

 

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