毎日一冊! Kennie の読書日記

面白い本をガンガン紹介していきます!!

ゲゲゲのゲーテ

水木しげる氏が大切にしていたゲーテの言葉を、

独特の視点で解説しています。

水木氏の力強さを感じる本でした。

  

【タイトル】

ゲゲゲのゲーテ

 

【作者】

水木しげる

 

【あらすじ・概要】

水木氏は太平洋戦争で徴兵を待つ時期に

戦場で死ぬかもしれないという恐怖を克服するため

本をたくさんよみ、その中でゲーテの言葉に惹かれた。

とくにゲーテとエッカーマンの対話集である

「ゲーテとの対話」は座右の書で、

戦地まで持ち歩いて何度も読み返し、

水木氏の地肉になっているという。

 

本書では、水木氏が大事にしている

「ゲーテの言葉」を抜き出し解説している。

 

「明晰な文章を書こうと思うなら

その前に、彼の魂の中が明晰でなければだめだし、

スケールの大きい文章を書こうとするなら、

スケールの大きい性格を持たなければならない」

ゲーテには人間や物事を大まかに見る

おおらかさがあり、大きく解釈して創作している。

ゲーテを読むうちに大きな視点を得ることができる。

 

「なにもかも独学で覚えたというのは、

褒めるべきこととはいえず、

むしろ非難すべきことなのだ」

先人に学ぶことの大事さを説く。

水木氏は「妖怪は伝承があるので

創作してはいけない」という。

先人への畏敬を忘れない。

 

「他の人々には青春は一回しかないが、

この人々には、反復する思春期がある」

ゲーテは終生健全でたくましく

70代になって10代の女性に求婚するくらい

活力にあふれていた。

水木氏も90歳を過ぎて活動的だった。

 

「精神の意志の力で成功しないような場合には、

好機の到来を待つしかない」

水木氏にも作品が売れず苦しむ時期はあったが、

人のために描くという考えはなく

自分のために面白がって描いていたから 

続けられたのだと語る。

 

「賢明な人というものは、

気を散らすような要求は一切退けて、

自分を一つの専門に限定し、一つの専門に通暁する」

水木氏は幼少の頃から「低能」と言われてきたが

それでも頑なに好きなことしかやらなかった。

 

「趣味というものは、中級品ではなく、

最も優秀なものに接することによってのみ作られる」

「人はただ自分の愛する人からだけ学ぶものだ」

水木氏は自分が感銘し、本気で尊敬できるものから

学ぼうとした。彼の場合新約聖書とゲーテから

多くを学んでいる。

 

「大切なことは、優れた意志を持っているかどうか、

そしてそれを成就するだけの技能と忍耐力を持っているかどうかだ」

漫画の場合、絵は描くほどに上手くなるが

ストーリーには才能がいるという。

水木氏の場合、描いても売れない時期が続いたが

絵を描くことが好きだったから猛烈に頑張って

運を掴み取った。

 

われわれがもうほとんど希望を

失ってしまっときにかぎって、

われわれにとって良いことが準備される

幸せに限りはないが、本人が納得して満足すればそれが幸せ。

幸せは感染する。

 

「剣豪とぼたもち」

 宮本武蔵は茶店で、自分より後に注文した客たちが

先にぼた餅を食べているのを見て心を乱される。

それでも品位を保とうとするが、最後のぼたもちが

取られそうになったとき、空腹に負け怒りをぶつけ、

客たちと争い彼らの耳を切り落としてしまう。

武蔵は「腹が空けば雲助も剣豪も同じことをする」と苦笑する。

 

【感想・考察】

水木氏の言葉から人物の大きさを感じられる。

戦地で腕を失いながら「妖怪」にこだわり続け

独特な作品を量産してきただけあり、

こだわりの強さと、流されない図太さがある。

 

ゲーテの言葉の解釈も面白いが、

巻末の漫画「剣豪とぼたもち」が良かった。

水木氏の作品はアニメで見たくらいで原作を知らないので

オリジナルの漫画を探して読んでみようと思う。 

 

 

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