思考の整理学

【作者】

 外山滋比古

 

【あらすじ・概要】

 創造的で自主的な思考はどのように育てることができるのか考察した本。

 知識を得て答えを出して行く学校教育は、風に乗って飛ぶ「グライダー」を養成しているが、自分のエンジンで飛ぶ「飛行機」型の思考が必要だ、という提言。

 記憶したこと、考えていることを一度寝かせ発酵させる工程が、独自の発想を生み出す。それゆえ、一晩眠り朝に考えることは意味がある。編集することも創造的な行為であり、既知の考え方を独自の視点で組み合わせることにも大きな価値がある。例えば俳句などでは、自分の思いを前面に出すよりもイメージを惹起する単語をどのように並べ編集するかに個性が出る。俳句の作者は触媒のようなものであると述べている。

 この本は1983年と30年以上前に書かれたものであるが、その時すでに「記憶」優先の教育は、記憶再生の能力では人間を凌ぐコンピュータに取って代わられる、コンピュータにできない創造的な活動に人間の価値が見出されるようになると予言している。

 覚えることは大事だが、それ以上に「上手に忘れる」ことが大事だという考え方を提示している。うまく忘れるためには、大事なことを峻別する方法や、体を動かすなど一つの思考に拘泥しないやり方も説明している。

 また、ものを読むときに動的な流れが必要で、ゆっくり読んで流れに乗れないと帰って理解しにくいこと、考えるをまとめるためには、とにかく書いてみることも友好など、多くの具体的なアドバイスがあった。

 

【感想・考察】

 よりよく考えるためには身軽でなければいけない、積極的に「忘れる」ことが重要だという考え方には衝撃を受け、共感を覚えた。知識は多いほうがいいが、知識の蓄積だけでは意味がない。そこからどのような独創的価値を見いだせるかが大事で、そのためには知識の整理が大事だと思う。

 情報の整理方法として、新聞・雑誌のスクラップや、メモの整理方法について説明していたが、そこにはさすがに古さを感じた。Evernote に放り込む方が圧倒的に便利で、検索性も高い。ただ、一度自分の手で情報を編集してから保管する手間をかけることで、アイディアの発酵に役立つこともあるとも思う。少なくとも読んだ本や感銘を受けた部分は手をかけて記録するようにしたい。

 「考えること」について考えさせられる本。