服用危険 飲むと寿命が縮む薬・サプリ―――疲れ、息切れ、めまい、不眠、物忘れ
サプリや医薬品、様々な健康法の
効果・副作用について解説しています。
効果と害悪の両方について
「エビデンス」の信頼レベルを示して説明し
極力、科学的であろうとしています。
それでも、健康問題になると、
著者も読者の側でもどうしても、
バイアスがかかりがちということを
改めて感じました。
【タイトル】
服用危険 飲むと寿命が縮む薬・サプリ―――疲れ、息切れ、めまい、不眠、物忘れ
【作者】
鈴木祐
【あらすじ・概要】
サプリや医薬品には副作用もあり、
サプリや健康食品の大半には効果がないとし、
一方で、統計的に見て「確実に健康に効果があること」
は分かっているとする。
結論からいうと
・良い友人など社会的なつながりを大事にする
・カロリーの質に気を付け、加工度の低い食品をとる
・7500歩/日程度は歩く
の3点は、確実に健康に効果があるとしている。
サプリ・医薬品の残酷な真実
医薬品では健康被害の調査対象から高齢者は除外している。
代謝が落ちた高齢者でどのような副作用があるかは未知数。
サプリや健康食品については信頼に足るデータはほぼない。
エビデンスの信頼性
エビデンスの信頼度は以下の順に低くなっていく。
①メタ分析(多くの実験をまとめたもの)
②RCT(プラセボによる二重盲検などランダム化した試験)
③観察研究(一般の生活を観察するもの)
④専門家の意見
エビデンスを伴わない「専門家の意見」は
個人の意見と変わらないが、
それを根拠とする健康食品や健康法も多い。
効果のないサプリ、副作用のあるサプリ
・マルチビタミン
栄養状態が極端に悪い環境では効果があるが
一般的な状況で効果が確認された信頼に足る報告はない。
・ビタミンC
肉体を酷使するアスリートなどには免疫機能の効果がある。
ビタミンCがフリーラジカルとなり白内障のリスクが上がった
というレポートもあるが、因果関係が示されたわけではない。
・カルシウム
70代以上ではカルシウムサプリの服用で
かえって骨密度が下がるという報告もある。
また400mg/日以上の摂取で心臓病のリスクが高まることは
信頼性の高い調査で確認されている。
・ビタミンA/ベータカロチン
ベータカロチンの摂取量が多い人で肺がんにかかる確率が増える
という大規模で信頼に足る調査結果がある。
喫煙者でその傾向が顕著。
・フィッシュオイル
フィッシュオイルは心疾患の予防には確実に効果がある。
ただし、多価不飽和脂肪酸であるフィッシュオイルは酸化しやすく
市販されているものは大半が酸化し害のあるレベルだった。
・ビタミンE
400IU/日 以上のビタミンEを摂取する男性は
前立腺がんにかかる可能性があがるという信頼に足る調査がある。
・ビタミンB群
ビタミンB群の過剰摂取
(ビタミンB6-20mg/日以上、ビタミンB12-50mg/日以上)で
肺がんリスクが上がるという報告がある。
リスクのある医薬品
・NSAIDs
NSAIDsの痛み止めは消化器官、腎臓にダメージ。
必要な時はイブプロフェンかサルサレートで短期間に抑える。
・抗不安薬/睡眠薬
意識の混濁、物忘れなどのリスクがある。
SSRIへの切り替えを検討するべき。
・抗コリン薬
アレルギー対策などで使われるが
認知症リスクを上げる。
・H2ブロッカー
認知機能の低下などの副作用が確認されている。
・抗精神病薬
脳血管への障害などが確認されている。
必要な場合はできるだけ短期間に抑えるべき。
・エストロゲン
更年期障害の改善には効果があるが
乳がん、子宮がんの発症リスクを上げる。
リスクのある健康法
・糖質制限
長期で見るとカロリー制限と同等の効果しかない。
糖質制限食が死亡率を上げるという報告もある。
・ベジタリアン/マクロビオティック
野菜が健康に良いのは間違いない。
ベジタリアンに健康な人が多いことも統計的に確認されているが
因果関係ではなく、
「健康意識の高さ」を共通原因とする「並列関係」
一方で不足しがちな栄養素を補えるだけの知識がないと
たんぱく質やカルシウム、オメガ3脂肪酸など、
肉や乳製品以外からは効率よく摂取できない栄養素が不足しがち。
・腰痛治療
明確な損傷がある場合以外、腰痛の原因はほぼ分かっていない。
定期的なエクササイズで改善する確率が高い。
・ココナッツオイル
効果について信頼に足る調査はまったくない。
・がんの代替療法
代替治療は標準治療に対して明らかに死亡率が上がる。
大規模な調査で2.5倍となった。
意味のない健康食品/商品
・マウスウォッシュ
口腔内で硝酸塩を亜硝酸塩に変える「良い菌」も殺し
糖尿病などのリスクを上げる。
・サラダ油
製造過程で高熱を加えるので、参加ダメージが大きい。
・ヒアルロン酸
関節痛の治療など局所注射であれば効果はあるが
経口摂取では胃酸で分解され、ターゲットに届かない。
・栄養ドリンク
無水カフェインとアルコールの効果。
カフェインには耐性が付くので徐々に効果が薄まる。
・イチョウ葉エキス
高齢者の認知力低下を抑える可能性は高い。
ただ若年者のADHDや不安症への効果は十分なデータがない。
・グルコサミン/コンドロイチン
経口摂取では胃酸で分解され、必要な個所に届かず
全く意味がない。
・磁気治療
メーカ以外からのデータがなく、
プラセボ以上の効果は確認されていない。
健康のために何をすればいいのか
①良い友人を作る
友人との関係が良い中高年は全死亡率が50%下がる。
50万人の大規模調査で確認された信頼のおけるデータ。
②カロリーの質にこだわる
・加工度の低い食品
・多めの野菜
・質の良い肉と魚
が大事だとする。
③歩く
ぐっすり眠れて翌日に疲れを残さないのが適切なレベル。
最低限5000歩。
体形の維持に7500歩程度
長生き、メンタルの改善に10000歩
余力があれば12500程度。
【感想・考察】
薬品やサプリの「リスク」については確実ではないが
「効果」がそれほどではないことは理解できる。
ただ実際にはプラセボによる効果が強力なので
意味がないとは言えないと思う。
一方で推奨している「確実な健康法」は
分かりやすく納得性がある。
「加工度の低い食品」と「一日7500歩以上」は
意識していこう。
都会で暮らしていたときは12500歩くらいは
毎日歩いていたが、
自動車を使う生活になると
5000歩も歩かない日があって驚く。。