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『犯人IAのインテリジェンス・アンプリファー―探偵AI 2―』 早坂吝

探偵AIのリアル・ディープラーニング」 の続編です。

探偵AIである相以と、そのシミュレーション相手として作られた犯人AIの以相が再び対決します。今回は相似と様々なAIが登場し「個性」が描かれています。

 

 

 

タイトル

犯人IAのインテリジェンス・アンプリファー―探偵AI 2―

 

作者

早坂吝

 

あらすじ・概要

前作「探偵AIのリアル・ディープラーニング」で、合尾輔(あいお・たすく)は父の遺作である探偵AIの相以(あい)と事件を解決し「AI探偵事務所」を開設した。

 

日本初の女性総理大臣である右龍都子(うりゅう・みやこ) には、公安警察で働く司法(かずのり)、与党議員の立法(たつのり)、外務省官僚の行政(ゆきまさ) の三つ子の息子がいた。

立法はAIに警察業務の一部を行わせる法案を進めており、テストケースとして相以たちに事件捜査に関わることを依頼する。相以と輔たちは早速、長崎県壱岐島で漁業組合会長が殺された事件の調査に向かった。

凶器と思われる斧や周辺に落ちていた硬貨には、対馬にゴムボートで漂着した死体の指紋が残っていた。さらにその死体は韓国を訪問していた右龍行政だったことが判明する。行政の妻と7歳の息子も

更には右龍司法も長崎県警公安に異動しており、その時期に対馬にいたことが判明した。

 

犯人AIの以相は、相以たちに「今回の事件、私は右龍と協力して3人を殺す」と宣言した。以相はどの「右龍」と協力するのか、そして3人のターゲットは誰なのか。

 

感想・考察

探偵AIが「人はどのように動くのか」を考えるのに対し、「実行犯」が必要な犯人AIは「人間をどのように動かすか」を考える。

人の知能を代替する AI (Artificial Intelligence) と、人の知能を拡張する IA (Intelligence Amplification)は排他的ではないが、それぞれの人間に対するアプローチで「個性」が出てくるというのは面白い。

前作では「人間と人工知能を隔てる壁」について語られ「表象されたものに注目すれば人工知能にも人格を感じられるよね」という話だった。

それに対し今作は「ある程度人工知能が普及した後の段階」を考え「マシンスペックや使われ方や育てられ方で、人工知能にも個性がでてくるのだろうな」という展開なっている。

前作では「自分を人間だと思っているAI」が出てきたが、 本作での様々なAI達との対比も面白い。

 

ミステリとしてのオチは早坂さんらしく「反則気味」なところはあるけれど、楽しめる作品だった。

 

 

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