毎日一冊! Kennie の読書日記

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「粗にして野だが卑ではない」石田禮助の生涯

三井物産を経て国鉄総裁に就いた石田禮助氏の伝記です。

 

「粗にして野だが卑ではない」という

生き方を貫こうとしているのは格好いい。

今の時代には合わないかもしれないけれど

むさ苦しいくらい生命力がある人間というのも

突き抜けると格好良く見えるものですね。

 

【タイトル】

 「粗にして野だが卑ではない」石田禮助の生涯

 

【作者】

 城山三郎

 

【あらすじ・概要】

石田は明治末期に西伊豆で生まれた。

22歳で三井物産に入社し、大連で9年間駐在。

その後アメリカでシアトル、ニューヨークに赴任し

業績を上げる。

 

日米関係が悪化したころ、戦争回避を強硬に唱えたが

どこからも反応はなく、直後に辞表を書いている。

その後、戦中にかけ交易営団の総裁となり

国策上必要な物資を調達する機構を監督した。

終戦後、石田は「ブルジョア的」として交易営団から

追われ引退し、国府津に買った土地で農業を行っていた。

 

池田内閣の時期、国鉄総裁への財界人起用を決めたとき

既に78歳となっていた石田に白羽の矢が立つ。

当時の国鉄は非常に困難な経営状況で、それ以前の総裁も

不審死をしたり事故や予算問題で任期中に退任したりと

不遇であり、敬遠されていたポストだったが

石田は「パブリックサービス」をすることで

「天国への旅券」を手にすることができると引き受ける。

 

「営利企業として能率的に経営する」ことを目指して

政治的圧力による不採算路線を廃止したり

東京圏の殺人的な通勤ラッシュを見て状況の改善に努めた。

 

国会などでもはっきりとした物言いをしたが

与野党の議員や官僚、マスコミからも魅力が理解されていった。

 

【感想・考察】

「私心なく公益に尽くすこと」が格好いいという感性が見える。

最後は自分が可愛くて自分を守っているところもあるが

美学として「卑しいことはしない」と考えていることは伝わる。

 

息子や嫁への態度や組合への強権的な対応などをみると

現代であれば通用しない生き方かもしれないが、

正しいと信じた方向へ引っ張っていく強さは魅力的だ。

 

自分とは違う感性を持って生きた人の記録には刺激を受ける。

 

 

 

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