毎日一冊! Kennie の読書日記

面白い本をガンガン紹介していきます!!

文系でもよくわかる 世界の仕組みを物理学で知る

 「リンゴが落ちるのは何故だろう」という疑問から

 ニュートンは万有引力の存在に気が付く。

 

 「万有引力があるのは何故だろう」とい疑問から

 質量が時空をゆがめることで重力が生まれることに

 アインシュタインは気づく。

 

 そして今「質量が時空をゆがめるのは何故だろう」

 という謎に対し諸説が入り乱れている。

 

 世界の仕組みの謎を一つ解くと、また次の謎が現れる。

 だからこそ面白い。

 

 

【タイトル】

文系でもよくわかる 世界の仕組みを物理学で知る

 

【作者】

松原 隆彦

 

【あらすじ・概要】

物理学の視点で日常現象を説明したり

物理学界のトレンドを概説したりしている。

 

いくつかの項目を取り上げて紹介する。

 

・物理学を応用した投資判断

 物理学者であるジェームズ・シモンズが設立した

 投資会社ルネッサンスは、金融の専門家を雇わず

 物理学者や統計学者の手による会社。

 驚異的なパフォーマンスを上げていた。

 個別ではなく全体の傾向を見る統計力学を用い

 エントロピーの増減に着目しているのではないかと

 著者は推察している。

 

・ラプラスの決定論から確率へ

 ニュートン力学の世界では、初期条件が決まれば

 結果はすべて確定するという決定論が一般的で

 世界のすべてを知るものを、提唱者の名から

 「ラプラスの魔物」と呼んでいた。

 ところが量子論の世界では、

 初期条件が決まっていても

 粒子がどこにあるかは観測するまで定まらず

 それまでは確率的にしか分からない。

 ミクロな世界では未来は一つに決まらないと言える。 

 

・メールはどうして届く

 メールは主に電波を介して伝わる。

 波には「周波数ごとに分解できる」とい性質があるため

 多くの情報を一つの波に乗せて伝えることができる。

 

・4つの力とは

 「重力」「電磁気力」「強い力」「弱い力」の4つに

 宇宙で働くすべての力は集約される。

 

 「重力」はもの同士が引き合う力で極めて弱い。

 

 「電磁気力」はマイナスとプラスの電荷が引き合い

 マイナス同士、プラス同士が反発する力。

 原子が崩壊しないのは、プラス電荷の原子核と

 マイナス電荷の電子が引き合うのから。

 重力より圧倒的に大きな力なので重力下でも

 原子は崩壊しない。

 

 「強い力」は原子核の中で陽子と中性子を

 くっつけている力。

 プラス電荷をもつ陽子が複数集まれば

 電磁気力により反発するはずだが

 それを上回る「強い力」が引き合わせている。

 

 陽子を中性子に、中性子を陽子に変える

 β崩壊を引き起こすのが「弱い力」

 

 人間の身の回りのレベルで実感できるのは

 「重力」と「電磁気力」で、

 「強い力」と「弱い力」は原子核の中で働くミクロの力。

 

・空が青く見える理由は

 比較的波長の短い青い光は散乱しやすいため空が青く見える。

 大気の層は8㎞程度だが、夕方や朝方に太陽光が斜めに射すと

 大気を通過する距離が長くなるため、散乱しにくい

 赤い光だけが残って届く。

 

・地球の自転軸が公転軸に対して傾いているのは

 自転軸と公転軸に相関関係はなく、

 「たまたまそうなった」ということ。

 天王星などは90度ほど傾いているので

 極地ではずっと昼間、ずっと夜となっている。

 

・偏光レンズでクリアに見える理由は

 自然光はあらゆる方向に振動しているが

 地面や水面に反射した光は販社面と水平方向に振動する。

 縦方向の振動だけを通過させる偏光フィルターを

 通すことで反射によるギラツキを避けることができる。

 

・素粒子は不滅か

 宇宙ができて0.00001秒後までは限られた種類の素粒子が

 ごちゃ混ぜになって存在していた。

 0.00001秒を超えたくらいからクォークが集まり

 陽子と中性子ができていった。

 4分後くらいになると陽子と中性子が結合し原子核ができる。

 当初はほとんどがヘリウムと水素の原子核だった。

 

 素粒子は非常に安定していて、

 崩壊するところを観測できていない。

 今までの宇宙年齢よりは長い寿命を持っていると思われる。

 

・意識はどこから生まれるのか

 「すべてが素粒子でできている」のであれば

 人間の意識も電気信号のやり取りに過ぎないのか。

 脳の仕組みを回路で再現出来れば、

 意識を移植することができるのか。

 意識の本質はまだ理解されていない。

 

・特殊相対性理論と一般相対性理論

 「特殊相対性理論」は等速直線運動の場合

 光の速さを基準として時間と空間、エネルギーが

 相互に互換であることを示した。

 

 「一般相対性理論」は全ての動きに当てはまるよう

 一般化した。中でも重力が「時空間の歪み」に

 よるものであると説明したのが画期的。

 

 時空の歪みは日食時の星の位置のズレにより

 証明されている。

 またGPSなどの機器は、相対性理論をベースとして

 「重力による時空の歪み」を補正することで

 実用化されている。 

 

・量子論とは

 量子論とは素粒子などミクロの世界を説明する理論。

 「素粒子は並みと粒子の両方の性質を持つ」とか

 「素粒子のふるまいは観測するまで決定しない」とか

 マクロの世界とは異なる原理で動いておいて

 日常感覚では理解しにくい。

 

・多元宇宙理論

 量子の世界では、観測をした瞬間に

 それまでは確率に過ぎなかったものが

 確定した現実となる。

 逆に「あり得る観測結果の数だけ

 別の結果を見ている別の観測者がいる」という

 多世界解釈をエヴェレットは提唱した。

 

・宇宙の始まりと量子論

 宇宙の始まりの「ビッグバン」理論が優勢だが

 そもそも「時空はいつできたのか」

 ということは説明できていない。

 量子論の「トンネル効果」を外から観測したように

 無に見えるところに、急に「時空」が生まれたのではないか

 という理論をスティーブン・ホーキングらが提唱している。

 

 

【感想・考察】

 

 「宇宙物理学者」である著者による超入門書。

 概説的だが大きな地図を見るようで全体像が見やすい。

 

 基礎がないと細かい説明を聞いていても分からなくなるので

 全体像が見えるような基礎概説書はありがたい。

 「グルーオン」の細かい説明を読んでいても

 「で、そもそも、それって何だっけ」となってしまうので。。。

 

 

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