毎日一冊! Kennie の読書日記

面白い本をガンガン紹介していきます!!

この嘘がばれないうちに

コーヒーが冷めないうちに」の続編です。

本作も過去に戻れる喫茶店「フニクリフニクラ」での

物語四編の短篇集です。

 

前作は「過去と他人は変えられなくても

自分と未来は変えられる」という話でしたが

本作は「自分の幸せを願ってくれる人のために

自分は幸せならなければならない」というテーマです。

 

 

【タイトル】

子の嘘がばれないうちに

 

【作者】

川口俊和

 

【あらすじ・概要】

過去に戻ることができるという喫茶店

「フニクリフニクラ」で起きた4つの話。

 

1.『親友』

二十二年前に亡くなった親友に会いにいく男の話

千葉剛太郎が、連帯保証になっていた知人の会社が倒産し、

路頭に迷っていた22年前、友人の神谷に助けられた。

千葉は神谷の経営する定食屋で働いていたが

神谷とその妻は1歳の娘 遥を残し交通事故で死んでしまう。

 

以来、千葉は遥を自分の娘として育ててきたが

今度遥が結婚するに際し、戸籍を見て実の親では無いことが

分かってしまうと考えた。

そこで千葉は、22年前の神谷に会いに行き

遥への結婚祝いのメッセージを録画して

自分は遥から離れることを決意していた。

 

2.『親子』

母親の葬儀に出られなかった息子の話

陶芸家を目指していた三田幸雄は著名な陶芸家の元で

修行をしていたが、良い作品が作れず苦しんでいた。

幸雄の母親 絹代に癌が見つかったが

絹代は幸雄のことを考え、病気のことを伝えなかった。

 

その後、幸雄は詐欺に遭い、多額の借金を抱えてしまった。

絹代の訃報を聞いた時も、葬儀に向かう交通費も工面できず

実母の葬式にも参加できなかった。

幸雄は生前の母に会うため、フニクリフニクラを訪れた。

 

3.『恋人』

結婚できなかった恋人に会いにいく男の話

倉田克樹は2年半前からやってきた。

倉田は当時付き合っていた森麻美との結婚を考えていたが

急性白血病にかかっていることが判明した。

倉田は信頼できる上司に2年半後に森麻美を

フニクリフニクラに連れてきて欲しいと頼んだ。

そして、「2年後、僕が死んでいなかった場合」もしくは

「森麻美が、僕の死後結婚して幸せになっていた場合」には

彼女を連れてこないで欲しいと依頼した。


4.『夫婦』

妻にプレゼントを渡せなかった老刑事の話

老刑事の万田清は30年前に亡くなった妻の公子に

誕生日のプレゼントを渡そうとしていた。

 

当時、刑事を辞めたいと考えていた万田は

公子をフニクリフニクラに呼び出して話そうとしていたが

急に入った仕事ですっぽかしてしまった。

閉店時間まで待っていた公子は遅い時間に家に戻ったが

帰路、強盗に出会い頚動脈を切られ死んでしまった。

 

時田数が淹れたコーヒーでは時間を超えることができなくなり

7歳になったミキが始めて時間旅行を司る。

 

【感想・考察】

 前作の「コーヒーが冷めないうちに」よりも好きだ。

 

誰かを幸せにできなかったり、

誰かの期待に応えることができなかったとき

「自分は幸せになる資格がない」と考えてしまうことがある。

ただ「俺だって不幸なんだ」アピールは負の連鎖を起こすだけだ。

 

「自分が不幸であれば、相手は安心するだろう」と感じるのは

相対的な位置を気にして、相手の幸せを喜べない心を、

自分が持っているからだろう。

 

「相手は自分の幸せを望んでいる」と信じ、

図太く自分の幸せを求められるようになった時に

人の幸せを喜ぶことができるようになるのだろう。

 

「人の幸せを願い、人の不幸を悲しむ」ことができる

強い人間になりたいと思った。

 

 

 

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