毎日一冊! Kennie の読書日記

面白い本をガンガン紹介していきます!!

お金をちゃんと考えることから逃げまわっていたぼくらへ

コピーラーターの糸井重里氏が

「お金の神様」と言われた作家・事業家の 

邱永漢氏に お金について尋ねる対談集です。

 

日本人のお金に対する態度だとか

インターネットでのマネタイズなど

お金に関することから始まり

それ以外にも幅広く話が広がっていきます。

楽しく読めました。

 

【タイトル】

お金をちゃんと考えることから逃げまわっていたぼくらへ

 

【作者】

糸井重里

邱永漢

 

【あらすじ・概要】

日本でのインターネット黎明期に

「ほぼ日イトイ新聞」というサイトを成功させていた糸井氏が

そのサイトに寄稿していた「お金の神様」邱氏と

お金について語った対談集。

 

色々と話が飛んでいるので、面白いと感じた部分を抜き出す。

 

お金は怖いもの?

糸井氏は「お金に引きずられて生きる人」をたくさん見て、

また「自分はお金に対して能力がない」という思いから

お金を恐れ、避けて通ってきたと言う。

邱氏は「それは誰もが抱いている思いだ」とし、

「恋愛をする人が失恋を恐れるようなもの」で

思いが強すぎるから恐れが強くなっていると言う。

 

子供には一年分のお金を渡した

サラリーマンが多い日本では

「毎月もらう金額が決まっている中で、

どのようにやりくりするか」という考え方が主流。

子供に対しては「無駄遣いをしないように」という

教育になりがち。

 

邱氏はお金の使い方を子供自身に学ばせる。

子供が留学する際に、毎月の送金ではなく

一年分の費用をまとめて送った。

十分な額ではあるが追加の送金はしないので

使い方を考えないと生活が半たんしてしまう。

 

また「子供には贅沢を教えるべきだ」とし

思春期に高級な見せを経験させ、

お金の使い方、お金の力を見せていた。

 

お金は汚いもの?

日本には「お金は汚い」という信仰のようなものがある。

西欧でも他のアジアの地域でもない日本独特の考え方。

日本でも戦国時代まではお金に対する

現実主義的な見方が優勢だったが、

江戸時代の幕藩体制下で「決まった収入で生きる」

という考えが広がり、実より名をとる

サムライ的発想が広がってきた。

明治以降、全体としての収入は増えたが

未だに侍的な感じ方が残っているように見える。

 

事業は果樹園のようなもの

事業というのは米ではなく果樹を育てる果樹園のようなもので

収穫までに時間がかかるものだと見ている。

邱氏は株式上場して一時的な利得を得るよりも

経営の自主性維持を重視するなど、

自分の手がけた事業についてのプライドを持っている。

 

結婚という制度はダメになりかけている?

一人でいる方が生きるのが難しい、という状況もあるが

結婚ではなくなっている。

人生50年の時の制度を人生80年の時代に維持するのは難しい。

子供が独立してからまだ数十年の時間があれば

他の選択肢も出てくる可能性がある。

制度はつねに変わっていく。

 

 人生そのものがゲーム

糸井氏も邱氏も「人生そのものがゲーム」だと感じ楽しんでいる。

人生を粗末に扱っているわけではなく、

面白い要素を真剣に楽しんでいる。

 

人間の移り変わりはサイコロのようなもの

人は最終的に出た目で評価されるが、

いきている間はサイコロと同じで色々な面が出てくる。 

 人間は揺れ動くもの。

 

「人に信用されている」ことを最重視する

人を評価するときには「人に信用されている」ことを重んじる。

守れないことを約束してしまったり、

その場で追い詰められて嘘をつくのは「弱さ」で

 実行できないことは約束しないクールさが必要。

 

 

【感想・考察】

日本のインターネットの黎明期から

「ほぼ日刊イトイ新聞」を運営してきた糸井氏だが

今でもマネタイズに力を入れている感じはしない。

「ほぼ日手帳」などヒット商品はあるが

広告で儲けたり、ネットワーク自体を

お金に変えようという動きはなさそうだ。

 

本書が発行された20年近く前から

糸井氏はマネタイズに関心を持っているが

やっぱり「センスが良く、居心地のいいコミュニティ」を

作ることを最重視しているようだ。

 

そして、そういう雰囲気を心地よく感じる

「日本人的なお金観」も、20年近く経って変わっていない。

 

技術が人の感性を変えていくのだとは思うが

その歩みは技術自体が進歩するよりはずっと緩やかなようだ。

指数関数的な技術進歩のボトルネックは

それを受け入れる人間の感性になるのだろう。

 

自分自身は新しいものを取り入れていきたいと考えているが

「人はゆっくりとしか変われない」 ことも認識すべきなのだろう。

 

 

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