毎日一冊! Kennie の読書日記

面白い本をガンガン紹介していきます!!

てつがくフレンズ 女の子の姿になった哲学者たちの哲学教室

「古代ギリシアを中心とした哲学者たちが

美少女キャラ化して学園生活を送る」という内容です。

前半は著名な哲学者の思想を紹介する

「マンガで分かる!哲学入門」のノリだったのですが

後半で近代・現代の思想とぶつかる中で

「人間とは何か」を問う物語になっていきます。

 

【タイトル】

てつがくフレンズ 女の子の姿になった哲学者たちの哲学教室

 

【作者】

原作:飲茶

作画:MAKO

 

【あらすじ・概要】

プラトンちゃんとソクラテスちゃんが中心となる。

 

前半では

「万物は回転」としたアナクサゴラス先生や

「万物は水」としたタレスちゃん、

「万物は空気」としたアナクシメネスちゃん

「万物は火」だとするヘラクレイトスちゃん

たちの思想を紹介する。

 

また学園にはびこるソフィスト集団、

ゴルギアスちゃん、プロタゴラスちゃん たちが説く

「この世に絶対的なものはない」とする相対主義と

ソクラテスちゃんは戦っていく。

 

そんな中で プラトンちゃんは

「例えばこの世の三角形は全て完ぺきではないが

心の中にある『三角形というイデア』が

世にある不完全なものを三角形と認識させている」

という「イデア論」に至り、

「相対的ではない絶対的な善もあるはず」と考える。

 

ピタゴラスちゃんやエンペドクレスちゃん、

パルメニデスちゃんやゼノンちゃんたちとの

数理的な会話からも、

プラトンちゃんはイデア論の考え方に確信を深める。

 

原子論を唱えるデモクリトスちゃんの登場から

ストーリーは動き始める。

 

 

あるクラスメイトが殴打される事件が起こる。

事件が起こった部屋には被害者とソクラテスちゃんの

二人しかいなかったため、

ソクラテスちゃんが犯人として逮捕されてしまう。

 

プラトンちゃんは、真犯人が透明人間の

グラウコンであることを見抜く。

グラウコンはプラトンちゃんにも危害をようとするが

ソクラテスちゃんは彼女をかばい怪我をしてしまう。

意識を失い目覚めたソクラテスちゃんは

プラトンちゃんの どことなくよそよそしい態度に

違和感を覚える。

 

ソクラテスちゃんは刺されて死んでしまっていたが

死んでしまったソクラテスちゃんと

全く同じ原子構成で記憶も引き継いだ

完全なクローンとしてよみがえっていた。

 

現代組のフーコーちゃんは、学園の「賢者の石」を使い、

デモクリトスちゃんの原子配列を読み取り再生する能力を

ソクラテスちゃんに使いクローンを作り出していた。

 

フーコーちゃんは物理的に全く同じものであれば

「全く同じ人間」ができるという。

そもそも「人間」という観念が数百年前にできた

新しいものであり、時代背景によって

人間と人間以外の区別は揺らいでいると考える。

 

蘇ったソクラテスちゃんを維持するため

プラトンちゃんは賢者の石を守護するが

ソクラテスちゃんは「正しいとおもったこと」を

追求するため意志を破壊しようとする。

 

 

【感想・考察】

「哲学者が美少女化」とか「学園もの」とか

軽いノリで始まったが、

著名な哲学者の紹介にとどまらず、

後半は結構重たく「人間とは何か」を問いかけている。

 

医療の進展により体の寿命が延びれば

身体と脳が健康である期間のギャップが広がっていく。

そうなったときに脳を器質的に補充していくと

人はどこまで「その人」であり続けられるのか。

近い将来に倫理的な課題となるであろうポイントだ。

 

「人間」という普遍的なイデアの奥に

個人を規定する何かがあるのか、

古代ギリシア時代からの問いかけには

まだ答えが見つかっていない。

 

 

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