毎日一冊! Kennie の読書日記

面白い本をガンガン紹介していきます!!

われ笑う、ゆえにわれあり

バカバカしく笑えるエッセイです。

屁理屈の多彩さに哲学者の神髄を見た気がしました。

「深い洞察風の単なる屁理屈」に憧れます。

 

【タイトル】

われ笑う、ゆえにわれあり

 

【作者】

土屋賢二

 

【あらすじ・概要】

コメディ的エッセイなので「あらすじ」は書きにくい。

 

特に面白かったのは、

・会議への招集通知を見なかったことにしたい教授と

 嘘をつきたくない助手の論理戦が楽しい「助手との対話」

 

・自逆風自慢風の自虐になっている

「私のプロフィール」

 

・「他人に笑われるような人間になれ」というのは

 多分本気で言ってるなと思われる「汝みずからを笑え」

 

・ワープロを皮切りとしたテクノロジーの話だが

 初出1994年ということで時代の流れが感じられる

 「あなたも今日からワープロが好きになる」

 

・「反事実仮定節では事実に反することを述べる」という

 論理について話す教授と

 「てゆうか、あなたの言い草は失礼だ」という学生の

 白熱した対話が楽しい「学生との対話」

 

・どこかの国による勘違いした「日本紹介」の紹介で

 相手と日本を両方茶化す

「デタラメな日本紹介記事に抗議する」

 

「人気教授になる方法」で紹介された

 内容のない本を知的に見せる方法は応用が利きそうだ。

 

 論理的にはシンプルでも意味が分からない言葉を載せ、

 説明になってなくてもイメージができる具体例を加える。

 

 例えば

 「超出者が共振すると創出が起こる。

 しかしこれを解体と勘違いしてはいけない」

 という文は論理的にはシンプルだが意味が分からない。

 (実際に特に意味はない)

 

 これに対応する具体例として

 「何年もあっていない友人に

 思いがけなく人ごみの中で会った時、

 相手も自分に気づくという経験を持った人もいるだろう。

 この出会いによってそれまでになかった新しいものが生まれる。

 しかしだからといってそれまでに存在していたものが

 失われてしまうわけではない。

 わたしはこの種の経験がもつ意味を取り出そうとしているのだ」

 というような具体例を加えると

 なんだか高尚なことを述べているような感じがするが

 その実なんの意味もない。

 

 こういう手法は文学とか映画とか宗教などでも

 多用されているのだと思う。

 

 こういう論理の遊びは実に面白いと思う。

 

【感想・考察】

ある意味高度な哲学書なのかもしれない。

哲学的で論理的な思考をアイロニカルにからかいながら

結局理詰めで追い込む可笑しさがある。

 

ここまで縦横無尽な屁理屈が浮かんでくるのは

「何ごとも鵜呑みにせず、疑って考える」という

哲学的思考のたまものなのだろう。

自分の弱みを笑いにしてしまうのも

「モノゴトを深刻に捉えすぎない」という姿勢が

結実したものなのだと思う。

 

 

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