毎日一冊! Kennie の読書日記

面白い本をガンガン紹介していきます!!

鍵のない夢を見る

5編の短編集です。

どれも犯罪がらみの話でちょっと重いのですが

語り手となる女性主人公の心理描写が凄まじく

一気に引き込まれました。

 

【タイトル】

鍵のない夢を見る

 

【作者】

辻村深月

 

【あらすじ・概要】

 

仁志野町の泥棒

ミチルはかつての友人律子と再会する。

小学校時代に仲の良い友達だったが

律子の母に盗癖があり、地域で浮いた存在だった。

律子自身の万引きを目撃した後は疎遠になる。

 

今は明るくバスガイドとして働くミチルを見て

かつて彼女を許すことができなかった自分を思い出す。

 

石蕗南地区の放火

笙子は公共保険の事務所で働いている。

ある日、彼女の実家の対面にある消防団の

詰め所で火事があった。

 

保険金支払いのための調査で

火災現場に行った笙子は、

以前自分に積極的なアプローチをかけてきた

消防団員の大林に出会う。

 

笙子は 大林との連絡を絶っていたが

「火災を調査する立場である自分と会いたいから

大林が放火したのではないか」との疑念を抱く。 

 

美弥谷団地の逃亡者

 美衣は、陽次と一緒に海辺を巡っている。

かつて「相田みつを」の詩で、

ダメな自分を力づけてくれた陽次に惹かれ付き合い始め

陽次が暴力をふるっても離れることができないでいた。

 

芹葉大学の夢と殺人

大学教授殺害の被疑者 羽根木雄大が

かつての交際相手の 二木美玖を突き落としたという

ニュースから始まる。

 

「絵本を書きたい」とい夢を追いかけていた美玖は

同じように夢を追いかけている雄大と付き合い始めた。

 

「通っている工学部を辞め、医者になりたい、

その後はサッカー選手になりたい」という

雄大の夢の稚拙さを感じ始める。

 

やがて美玖は大学を卒業し、

雄大は大学に残ったまま医学部の試験を受け続ける。

雄大から別れを切り出したが、

それでも時々は会い続ける生活を続けていた。

 

 

君本家の誘拐

良枝はショッピングモールでも買い物の途中、

娘の咲良を乗せたベビーカーが無くなっていることに気づく。

「ちょっと目を離した」隙に居なくなった娘を探しながら

娘を授かるまでの苦労や

娘が生まれたからの生活の辛さに思いを馳せ、

「あなたのためならなんでもする」と思う。

 

 

【感想・考察】

女性視点から、あまりにも身勝手で

常識のない男たちが語られている。

 一方で「男の訳の分からなさ」に

振り回される女性たちの愚かさも描かれている。

 

どれも何だか閉塞感のある話で

「もう少し外の世界に目を向ければ

救われることもあるのに」と思い、

囚われ続けている男女に苛立ちも感じる。

 

とはいえ自分も、自分のかつての経験や

日常の世界に縛られて、不自由なんだなと気づく。

 

息苦しさから逃げ出したくなるような話だった。 

 

 

 

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