クリスマスに少女は還る
クリスマス前に誘拐された少女たちと
十数年前の殺人事件に囚われ続けている大人たちの物語です。
読後に、タイトルが素晴らしいと思いました。
【タイトル】
クリスマスに少女は還る
【作者】
キャロル・オコンネル
【あらすじ・概要】
クリスマスを間近に控えたある日、
州副知事の娘 グウェン・ハブルと
聡明なホラーマニア サディー・グリーンの
二人の少女たちが誘拐された。
十数年前のクリスマス前に
双子の妹が誘拐され殺された経験を持つ
ルージュ・ケンダルが捜査に加わる。
「私はあなたのことを知っている」
という顔の片側に傷を持つ謎の女 アリ が
ルージュの前に現れる。
ルージュの妹が殺された事件では
「犯人」は既に逮捕され投獄されているが
アリ は今回の事件との共通点する。
その頃、捕らわれた少女は
犯人の家からの脱出を計画していた。
【感想・考察】
前半
かなり長い作品で、登場人物も多い。
視点も頻繁に入れ替わる。
そんな中で、叙述トリックを意識し、
「この描写は誰についてのものなのか」
騙されないよう警戒しながら読むのは
相当疲れた。。
中盤
クセの強い登場人物たちに感情移入し始める。
野球のシーンや住民たちの無言の訴えなど、
ミステリ的にはストーリーと直接関係ないシーンが
良い雰囲気を出している。
終盤
最後のオチはある程度読めていたが
驚きよりも感動を受ける展開だった。
あらためてタイトルを納得する。
ミステリというより群像劇という趣で
心に残る作品だった。