毎日一冊! Kennie の読書日記

面白い本をガンガン紹介していきます!!

未来の年表 人口減少日本でこれから起きること

人口減少局面に入った日本は、

将来どのような問題に直面する

可能性があるのか分析した本です。

 

【タイトル】

未来の年表 人口減少日本でこれから起きること

 

【作者】

河合雅司

 

【あらすじ・概要】

日本の人口が減少局面に入り

多少出生率が上がっても、出生数は増えず

人口減少は確定的であるとみる。

その上で、将来に起こりうることを予測し

日本を救うための提言をしている。

 

人口減少カレンダー

 

 

・2020年 女性の50%が50歳以上に

4人に1人が高齢者となり、中でも75歳以上の

高齢者が増加し始める。

平均寿命の長い女性は特に高齢層へ偏る。

出産できる年齢層の女性の絶対数が減り、

出生率が上がっても人口減を食い止められない。

 

・2022年 一人暮らし社会の本格化

独居世帯が3分の1を超える。

人口が減っても世帯数が増える状況がしばらく続く。

生涯未婚率の高まり、子供と同居しない高齢者の増加、

離婚の増加が原因。

 

・2023年 企業の人件費がピーク

労働人口は300万人近く減るが、

団塊ジュニア世代が50代となり賃金ピークを迎える。

 

・2024年 超高齢化社会へ

3人に1人が65歳以上、6人に1人が75歳以上となる。

老老介護や、子供と親の両方を同時に世話する

ダブルケアも増えていく。

 

・2025年 東京都も人口減少へ

若い世代の状況や、子供を頼る高齢者が

東京に集中する傾向が当面は続くが、

2025年以降は東京でも人口減となる。

東京一極集中は介護施設の不足も引き起こす。

 

・2030年 百貨店、銀行が地方から消える

若者の都会への流出、高齢者の死亡により

地方都市の人口は急速に減少する。

病院を維持できる人口規模は5500人、

設備の充実した緊急告示病院では3万7500人、

銀行を維持できる人口規模は6500人 となっている。

必要な施設を維持できない都市が増加していく。

 

・2040年 自治体の半数が消滅の危機

平均寿命の延びが少子化を覆い隠してきれなくなる。

地方を中心に自治体の半数が消滅する可能性がある。

東京圏でも、青梅市や足立区などでも人口減に転じる。

 

・2042年 高齢者人口がピーク

65歳以上の高齢者が4000万人とピークを迎える。

一方で勤労世代は1200万人以上減る。

 

・2050年 世界的な食糧争奪戦に巻き込まれる

農業従事者の高齢化、後継者不足が継続し

放棄農地が増加する。

人口は減るが食料生産が追いつかなくなっていく。

 

・2065年 無人の国土に外国人

国土の19%は居住者のない無人地域となる。

海洋資源確保に重要な意味を持つ島嶼部で無人地域が増え

主権が不明確になる。

 

日本を救う処方箋

著者は「移民の増加」への不安を持ち、

AI・ロボティクスの実用も限定的と見ている。

縮小は止められないものとして

「戦略的な縮小」を提言している。

 

①高齢者を削減

高齢者区分を65歳以上から75歳以上に引き上げ

65歳から74歳の准高齢者は社会の支えてとして捉え直す。

 

②24時間社会からの脱却

便利すぎるサービスから脱却し、労働力の無駄遣いを排する。

 

③非居住エリアの明確化

人が住む地域と非居住地域を明確に区分し

今日中地域だけでコンパクトに運用する。

 

④都道府県を飛び地併合

人口減で維持できない規模となった自治体を合併する際

地理的な隣接を条件とせず、相互に利益があれば

離れていても飛び地としての合併も行う。

 

⑤国際分業の徹底

得意な分野に資源を集中させる。

他国に委ねる仕事と日本で行う仕事を区分する。

 

⑥匠の技を活用

「大量生産・大量販売」から高付加価値製品の

「少量生産・少量販売」に移行する。

 

⑦国費学生精度で人材育成

付加価値の高いイノベーションを起こすため、

どれくらいの人材が必要なのかを把握し、

国費でエリート教育を行っていく。

 

⑧中高年の地方移住推進

リタイア後に地方大学で生涯学習を行い、

介護・療養が必要になったら、大学病院で

ケアするプランを示し、地方に中高年層を誘導する。

 

⑨セカンド市民精度の創設

主たる居住地区以外に、定期的に訪れる

第2の故郷を作り、一人が複数の自治体を支える体制とする。

 

⑩第3子以降に1000万円給付

 「子育て支援」から「少子化対策」に舵を切り

第2子以降に傾斜配分する。

3人目の子供は教育無償+1000万円程度の補助を行う。

 

 

【感想・考察】

人口減少は「見えている未来」だが 、

筆者が論じているよりも多様なパラメータがあると思う。

 

移民について、筆者はかなり否定的な見方をしているようだ。

 

労働力を補うことを考えるなら、物理的に移動しなくても

ICTを使った業務の分割というのも現実的になっていると思う。

 

実際に移民が増えている地域では、

「低賃金で働く移民に仕事を奪われている」

という感覚があるのだろう。

 

それは「IT・ロボティクスに仕事を奪われる」という

恐怖感とも共通するものだ。

 

ただ、本質的には、

「現地民 対 移民」、「人間 対 機械」の争奪戦ではなく

「発生した付加価値の分配の問題」に過ぎないと思う。

 

同じレベルの豊かさを享受できるのであれば

「ロボットが面倒な仕事を受けてくれるから、

自分は好きなことに集中できる」状況は幸せだろう。

「不足している労働力を移民と協調して埋めていく」

こと自体も恐れるようなことではないと思う。

 

文化的な純粋さと多様性については

様々な視点があり、正解があるわけではないが

バランスを取りながら、良いとこ取りをする強かさを

持つべきだと思う。

 

 

 

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