強い力と弱い力 ヒッグス粒子が宇宙にかけた魔法を解く
「シュレディンガーの猫が青酸ガスで死んでしまうのはかわいそう。青酸ガスの代わりにミルクにして、お腹が空いている猫と空腹の猫が重なり合って存在していることにしましょう」と言う著者がカワイイです。
この著者は前著の「重力とは何か」が、とても分かりやすかったので本書も期待して読んでみました。ですが、やっぱり素粒子論はハードルが高く、負けてしまった気分です。そのうち、再読再戦しよう。
【作者】
大栗博司
【あらすじ・概要】
・自然界にある4つの力
重力
電磁気力
弱い力
強い力
・粒子の相関
原子 → 原子核+電子(電磁気力の光子が力を伝える)
原子核 → 陽子・中性子(核力の中間子が力を伝える)
陽子・中性子 → クォーク(強い力のグルーオンが閉じ込める)
粒子には力を伝える「ボゾン」と、物質の構成要素となる「フェルミオン」がある。
・質量はどこから生まれるか
E=mc²の公式に示されるように、質量とエネルギーは相互転換できる。原子の質量は原子核と電子の質量の和だが、陽子・中性子の質量はクォークの質量の和とはならない。99%はクォークを陽子・中性子の中に閉じ込める「強い力」のエネルギーによるもの。
・力とは何か
力は運動の状態を変えるだけではなく、粒子の種類も変える。例えば「弱い力」は中性子+ニュートリノを陽子+電子に変える。厳密には陽子・中性子を構成するクォークの性質を変える。
中性子は(ダウンクォーク×1 + アップクォーク×2)だが、弱い力がダウンクォークの一つをアップクォークに変えることで、陽子(ダウンクォーク×2 + アップクォーク×1)に変わる。
・対称性の破れ
「弱い力」は時計回りにスピンする粒子にだけ働く。質量を持たない粒子であれば光速で動くので、観測者が追い越すことはできず、観測方向が変わらないので回転は常に一定方向であり得る。
例えば超電導の状態で電子の数は保存しない。もっとも低エネルギーの状態で安定し、対称性は保たれない。
【感想・考察】
残念ながら難しすぎる。素粒子論の標準模型で使われる用語に漠然とした印象を持てた程度だ。素粒子論について本書以上に簡単に説明されているものは、そうは無いと思うので時間をおいて再読してみよう。
【オススメ度】
★★★☆☆