夏のストロボあるいは魔法
孤島で行われる大学のミステリ研究会合宿、そこで起こる密室殺人事件。というかなりベタなミステリの舞台設定ですが、最期は全くベタではない余韻を残した終わり方でした。
【作者】
赤井五郎
【あらすじ・概要】
大学のミステリ研究会に所属する中原一彰たちは、孤島に建つ大学の施設で合宿をする。いないはずの場所から出てくる先輩や、時間差で音を立てる空缶など、不思議な事態や、最後には密室での殺人事件が起こる。一彰は「探偵役」の自分に仕掛けられたトリックだと考え、謎を解き明かしていく。
【感想・考察】
30年ほど前の設定だろうか。現代とは少しずれた雰囲気が漂う。ミステリとしてきっちり伏線は貼られている。密室も含め最終的にはミステリ的な解決ではなくても、理詰めで考えていく楽しさは味わえる。
この作者の作品ではラストに会社の余地を残すパターンが多く、この作品でも最後は緊迫感を持ったまま幕を閉じる。映画インセプションのラストでコマの回転が見切れていたように、全て説明しきらないところが美しいと思う。
【オススメ度】
★★★★☆